見出し画像

漢字の音読みは何種類?

漢字には音読みと訓読みがあります。音読みにもいくつかの種類があります。今回は、音読みの種類を、特徴と一緒に紹介してみようと思います。

音読みの種類

紹介する音読みは5種類です。基本の3種類と、応用の2種類です。

①呉音
②漢音
③唐音
④慣用音
⑤国字の音読み

音読みの基本

漢字の音読みは、中国語の発音に由来しています。漢字は、中国で生まれ、日本に伝わりました。その時の発音を、日本語風にしたものが音読みです。日本に伝来した時期によって、発音が違うため、音読みに種類があるんです。最も古い音読みが「呉音」、最も新しい音読みが「唐音」です。中間が「漢音」です。ですから、「呉音、漢音、唐音」と、この順序で、セットで覚えておくとよいかもしれません。

基本の音読みの特徴

呉音は、仏教文化とともに日本に伝わりました。「修行」は「シュギョウ」という読み方をします。「修」を「シュ」と読むのはあまり見慣れないですよね。「お経」も「キョウ」です。「経度」のときは「ケイ」です。「欣求」は「ゴング」ですが、「欣喜」は「キンキ」です。仏教用語として、いつもと違う読み方をしていると思ったら、それは呉音の可能性が高いです。

漢音は、いつも使う音読みです。遣隋使、遣唐使などによってもたらされました。中国の王朝が栄えていて、日本文化も戦乱が少なく平和で、文化的な発展があった時期です。「修」は「シュウ」、「行」は「コウ」、「経」は「ケイ」、「欣」は「キン」、「求」は「キュウ」です。日本では、熟語を新たに作るときは、基本的に漢音を使うことになっています。

唐音は、日本で熟語がしっかりと使われるようになった後に入ってきた音読みです。唐宋音とも呼ばれます。熟語と一緒に伝わってきました。「行灯」を「アンドン」と読むのは唐音です。「灯」の漢音は「トウ」です。普段は漢音で読むので、「蛍光灯」「白熱灯」「街灯」「灯籠」などの熟語のときは「トウ」を使います。「ドン」は唐音であって、「行灯」は最近(時間の感覚には個人差があります)の発音だということです。「行脚」も唐音です。その熟語のときにしか使わない音読みが唐音です。

日本人による音読み

中国語の発音を由来とするのが基本の音読みですが、日本人による音読みもあります。

慣用音は、音読みを間違った結果、広く定着してしまった音読みです。代表例は「消耗」の「耗」です。「モウ」が音読みだと思いますよね。「毛」というパーツもあるし、音読みを「モウ」だと思うのは、漢字の成り立ちを知っているからです。形声文字の作り方を知っているから「モウ」と読みます。しかし、漢音は「コウ」です。これはなかなか知られていないことです。みんな間違ってるし、訂正したら混乱するので、「消耗」は「ショウモウ」と読みましょう。「本当はショウコウって読むんだよ」なんて言ってはいけません。そして、他の例が全然わからないという。

国字とは、日本人が作った漢字です。中国文化に概念がないので、日本で作るしかなかったものです。代表的なものとしては「畑」「峠」「裃」「辻」「働」などでしょうか。中国で作られたものではないので、中国語の発音がありません。音読みは中国語の発音から作っているので、国字には音読みがないことが当然なんです。しかし、特殊なものもあります。「働」です。「労働」という熟語は「ロウドウ」です。訓読みが「はたらく」、音読みが「ドウ」ということです。「動」を声符としています。

まとめ

漢字の音読みは大きく分けて5種類です。とはいえ、日常生活で使っているのは呉音と漢音がほとんどです。そして、呉音と漢音なら、「どの分野の語句か」という判断ができれば読み方を理解できると思います。

「行」は「修行」か「行動」かどちらの意味で使っているのかで判断できます。仏教に関する語句といっても、かなり広範囲です。生活の一部ですから。しっかり判断することは難しいです。日本の伝統的な行事などでは、語句として残っているので、気にしてみてはいかがでしょうか。本当に昔から日本で使われている語句なんだな、と思ったりして楽しめます。

たまに、基本的な音読みが呉音の場合もあります。「聴」がそうです。漢音は「テイ」、呉音が「チョウ」です。「テイ」と読むことありませんよね。

つまり、わからんってことです。絶対的な基準はありません。あくまで目安ですので、気にしすぎず、漢字文化を楽しみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?