『ハイキュー!!』で感動したこと
マンガを読んでいるときに、感動する一瞬があります。マンガを読むときは、ストーリーの展開について考えながら読むことが多いです。ただ、『ハイキュー!!』では、ストーリーではなく、その絵に感動しました。ちなみに、ジャンプはアプリで読んでいます。
『ハイキュー!!』のおもしろさ
この作品は、古舘春一先生によるバレーボールを題材としたマンガです。メインは高校の部活としてのバレーボールで、大会を勝ち進む姿がかっこよく描かれています。
ジャンプらしく、強者対強者の真っ向勝負、ポジティブなメッセージを受け取ることのできる熱血系マンガだと思います。ダーティなプレーが少なく、『神様のバレー』とはかなり違う方向性を持っていますね。
登場人物それぞれのドラマも面白く、人物の名前や、学校名などにこだわりが現れています。対比を巧みに使うことで、人物たちの特徴を浮き彫りにしています。
画力に驚く
マンガを描いている先生の画力には毎回驚くことはありません。マンガを習慣的に読んでいる身としては、慣れているわけです。それでも時折、感動する絵に出合います。
今でも覚えているのが、『ハイキュー!!』の主人公、日向のレシーブの場面です。日向はレシーブが苦手でした。様々な出会いを通して、助言を受け、気づき、レシーブが上達しました。試合の中では、その片鱗を少しずつ見せて(この展開も好きです)、試合の終盤、大事な場面で、強烈なスパイクをきれいにレシーブします。この場面の絵に感動しました。
絵の下方に主人公の日向。真ん中あたりにボール。大きな体育館のギャラリーが背景ですが、ボールの周辺だけ真っ白。「これが引き算か」と感動したのを覚えています。
ボールの軌道を示すのに線を書き足します。衝撃の強弱を表すのに、線を書き足します。マンガで音を感じるという特殊な感触でした。音と言っても、静寂です。主人公のチームの主将である澤村が、他チームの素晴らしいリベロを日向に紹介し、ほめた時に使った言葉「静か」。これを日向が体現しました。アクロバティックなプレーではなく、ボールが来るところにいて、当たり前のように、Aパスを上げる。日向の先輩である菅原が「泣きそう」と言っていたあの台詞は、もはや読者の代弁でした。
マンガの一コマをあんなに長い時間眺めたのは初めてだと思います。細かい描写の細部を見極めたいということではありません。ずっと眺めていられました。日向の成長を見てきたからというのもあります。また、他の描写では、臨場感を出すのが上手だと思っていたのもあります。「変人速攻」と作中で呼ばれているものも、速度を上手に表現しているからこそ、伝わっているわけです。力強いジャンプや、ハイスピードのブロードなど動きの激しい描写には感動し慣れていました。そこに来てあの静かなレシーブはグッときます。
以上、ストーリー重視で読むマンガ好きが、ただただ画力にひれ伏したお話でした。引き算がすごい!
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