「ふか〜く息を吸って!」企画書
キャッチコピー:応援される/するだけはもう古い!いまは夢を追いかけるし、応援もする!「さぁ、ふか〜く息を吸って!」
あらすじ:この春に吹奏楽部の部長になった"ヒメ"こと姫川亜都(つぐと)は、"ダメ金"だった去年のコンクールの雪辱を果たすために毎日練習に励み、授業中も考えるのは音楽のことばかり。一方、"ナイト"こと内藤ちひろは、花形の女子サッカー部キャプテン。中学からサッカークラブで活躍していたちひろは、スカウト経て、上村学園へ入学してきた逸材。推薦入学にも関わらず成績も優秀な彼女は、学級委員もこなし、彼女のお陰で女子サッカー部は"より"優遇を受けていた。あるきっかけを機に交流をすることになったふたりは、それぞれの"夢"に触れて衝撃を受ける。
第1話のストーリー:同じ高校のサッカー部の試合の応援の途中、"ヒメ"は熱中症で倒れてしまった。
朝まで「譜読み」をしていたことを後悔しつつ、起き上がることができない。
顧問の小野寺が声を掛けているのを認識できても、呼びかけに応えられない。
「日陰に運んで休ませよう」と言う顧問を止めたのはサッカー部の"ナイト"だった。
「先生、辛うじて意識はあるようですけど、自力で水が飲めないときは救急車呼ばないとダメです。」
そんな大げさなと思いながら小野寺は「ナイトが言うなら」と119番をし、「練習で倒れた部員で慣れてますから、ここは任せてください」という"ナイト"に"ヒメ"を頼んで、コートの入口へ向かった。
"ナイト"が試合が中断になった部員たちに「涼しい場所に運ぶから手伝って!」と叫ぶと、それに反応した部員たちが一緒にグラウンドの陰に"ヒメ"を運ぶ。
"ナイト"は、"ヒメ"のシャツのボタンを外すと、躊躇なくベルトに手を掛け、それを外す。
「!!!」
"ナイト"の行動にビックリしつつも、"ヒメ"は動くことができない。
そして"ナイト"はズボンに手を掛け、ボタンを外し、チャックを下ろす。
(「マジで何すんだよ!コイツ!!!!」)
「みんな扇げるものを何か持ってきて!なにもなければタオルでいいから!」
その言葉に部員たちが飛び出していくと、"ナイト"はユニフォームを脱ぎ、それで"ヒメ"を扇ぐ。
(こんなことなら"いいパンツ"履いてくるんだった)
"ナイト"は、扇ぐ手を一旦止めると、"ヒメ"を見ながら、ボソボソ呟いた。
「何が"吹部は運動部だ!"よ。自分の体調管理すらできないんじゃない。」
(「したくもないサッカー部の応援に駆り出されてその言いぐさはなんだ!どこが"ナイト"だよ!」)
「こんなのが部長になるくらいなんだから、勝てないのよ。勝てないのに何のために音楽なんかやってるの?私にはわからない。」
言いたい放題の"ナイト"に言い返したいが、"ヒメ"は動くことができない。
「ナイト〜持ってきたよ〜って、え!あんた扇ぐのにユニフォーム脱いだの!?バカじゃないの!?早く着なよ!!!」
"ナイト"は離れると、隅でさっきまで"ヒメ"を扇いでいたユニフォームを着た。(汗でキモチワルっ!)
部員たちがタオルやら下敷きやらで"ヒメ"を扇ぐ中、救急車のサイレンが聞こえてくる。
第2話以上のストーリー:サッカー部の応援中に倒れたヒメは、救急車で運ばれたものの、ナイトの処置もあり、翌日には退院ができた。
母親にこっ酷く叱られたヒメは、助けてもらったナイトと女子サッカー部の部員たちにしぶしぶ謝罪とお礼を言うために部室に向かう。
練習試合を中止させてしまったこともあり、さぞ怒っているだろうと思ったヒメだが、ナイトをはじめ、部員たちは心配はしてもヒメのことを決して責めなかった。
もし部員たちが文句でも言ってきたら、「試合の前日になって吹奏楽部が突然応援に駆り出されたこと」や「これまでサッカー部の応援で練習ができなかったこと」など、今までの鬱憤を晴らしてやろうと思っていたが、拍子抜けしてしまったヒメ。
その後"視聴覚室"に戻る途中で、ヒメは女子サッカー部の青木に声を掛けられる。
「ナイトが言うからさっきは何も言わなかったけど」と前置きをしながら、自分はヒメが倒れたせいで練習試合が中止されてしまったことに怒っていること、あの練習試合がとても重要なものだったことを伝えてきた。
「応援がうるさくて試合に集中できなかったから、結果的に中止になっても良かったかもしれないけど。」とまで言う青木にヒメは「コンクールが近いのは吹奏楽部も同じで前日に応援に行けと言われて迷惑だった上、入院されるハメになるなんて最悪だ。」と言い返す。
そして怒りが止まらなくなったヒメは、"あのとき"ナイトが「体調管理すらできない」と言ったことに「人でなし」とぶちまける。
ナイトのその発言に、「あの子がそんなこと言うなんて珍しい」とビックリする青木。
前から授業中にも楽譜を広げてろくに授業を受けないヒメのことをナイトはなぜかよく話していたらしく、「"ちひろ"はもしかしてあんたのこと気になってるのかもね」と言う。
「あんたに弁解する必要もないけど」と言いながら青木は、「"ちひろ"はね、あの通り本当に"いい子"なの。非の打ち所がないくらいね。でもなんでそんな風に振る舞ってるか知ってる?それは全部"サッカーのためなの"。」と話す。
"ナイト"がサッカーをしながら、テストで良い点を取り、生徒会もこなすのは、エースでキャプテンである自分が"いい子"であれば学校ももっと女子サッカー部を応援してくれて、よりサッカーに集中することができるからそうしてるだけであって、本当は勉強も苦手だし、人付き合いも得意ではないのだという。
「そこまでするちひろに私たちはついていきたいし、ちひろのためにも絶対優勝がしたい」と言い、"ナイト"がそんなことを言ったことは誰にも言わないで欲しいと青木は頭を下げた。
その話を聞いてヒメは、ナイトの情熱と彼女のために頭まで下げる青木を見て衝撃を受ける。
呆然とするヒメをよそに、青木は「ぜったいに誰にも言わないで!」とまた言って、グラウンドに戻っていった。
(今まで自分は、音楽さえあればいいと考えていたけれど、自分の音楽のための努力をちゃんとしていたのだろうか?)
吹奏楽コンクールの予選まであと2か月。
ヒメは今までの自分のやり方を変えようと心に決める。
一方ナイトは、練習試合が中止されてしまったことを内心不満に覚えながら、ヒメのことが気になっていた。
ヒメは授業中、ほかのクラスメイトが教科書に隠してマンガや別の教科の参考書を読んでいたりする中、堂々と楽譜を広げながら、机の下で親指に別の指を変えながら、繰り返し当てていた。
そしてたまに唇を震わせたり、ナイトにとっては何をしているのか意味不明だったが、少なくとも音楽のことを考えているのはわかった。
できれば自分も授業なんか受けずにサッカーボールを蹴りたいし、サッカーの試合を観たり、筋トレやストレッチをしたい。
ただ勉強があまり得意ではないナイトは、授業中も気が抜けない。
「"内職"なんかしていたら教師に目をつけられるかもしれない。」
「サッカーに集中するため、優勝するためなら何でもする」
それでも何故かヒメのことが気になって、あの試合中も彼が応援の中にいることに気がついた瞬間、ヒメが突然倒れたため、ナイトはビックリして足が止まってしまったのだ。
その時は必死になっていたから何も思わなかったナイトも、"見せ下着"とはいえ、二人きりの中、自分のユニフォームで彼を扇いでいたのを思い出すと恥ずかしく思っていた。
「どうか、染み込んだ汗の匂いはしていなかったように…!」
サッカーに"全振り"するナイトに「なんでそこまでするの?」とチームメイトのさやかには言われるが、なぜなのかナイトはわからない。
でも授業中に堂々と"音楽のために"奇妙な行動をするヒメになら、それがわかるかもしれないと思っていた。
(サッカーのことはわからないだろうけど)
青木からナイトの話を聞いたヒメは、翌日から授業中に内職をするのをやめた。
そんなヒメを見て、顧問の小野寺は「突然どうしたんだ?」と聞いてきた。
「先生の授業が実は面白いと聞いて」と答えると、「嘘つけ」と言いながらヒメは小野寺は少し嬉しそうな顔をした気がした。
(もしこれで小野寺の機嫌が良くなったら、楽器の買い替えを許可してもらえるかもしれない)
ナイトもまたそんなヒメの様子を見て驚いたが、同時に何だか物足りない感じがした。そして長くは続かないだろうとも思った。
ところがヒメはそれから毎日真面目に授業を受け続け、その結果なんと期末テストで10位に食い込んだ。
これにはナイトも心底驚いた。本当かはわからないが、授業を真面目に受けている以外は何もしていないという。そう、実はヒメは頭が良かったのだ。
授業中ヒメの観察をしていたナイトは、すぐにやめるだろうという予想を裏切って真面目に授業を受け続けているヒメに、我慢ができず、ヒメの奇妙な行動(ナイトにとっては)に、1週間も経たないうちに「一体どうしちゃったの?」と直接本人に聞いた。
「別に…推薦枠は貰えないだろうし、受験するなら勉強しないと、と思っただけ。」と言うだけで「それはそうかもしれないけど」と思いつつ、あの音楽に対する熱意というか執念めいたものは何だったのか、ナイトは腑に落ちなかった。
ヒメはといえば、ただ真面目に授業を受けるようになっただけで、周りの様子があまりにも変わったことにビックリした。
そして真面目に聞いていると、関係がないと思っていた教科にも音楽の話が出てきたりして、最初は不純な動機だったものの、自分の音楽にいい影響があるかもと少し楽しくなった。
英語の教師が風邪で休んだとき、観"させ"られた『サウンド・オブ・ミュージック』で歌われていた曲が「これもこの映画の曲なん!?」とすべての曲を聞いたことがあることには驚いた。
あと「ドレミ」って日本語じゃないんだ!?とも。少し考えてみれば日本語はハニホヘトイロハだし、英語はCDEFGABで音楽をちゃんとやっていると「ドレミ」は使わないので気がつかなかった。
ヒメの様子が変わる中、ナイトがそれを見て驚き、そんなふたりを見て不安に思う"さやか"も同じクラスにいた。
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