今季の外国語映画賞ダークフォース/アキ・カウリスマキ監督『枯れ葉』
アキ・カウリスマキ監督といえば「過去のない男」です。
カンヌ映画祭でグランプリと女優賞を受賞し、フィンランドとして初めてアカデミー賞の外国語映画賞(現在の国際長編映画賞)にノミネートされました。
自分はこの「過去のない男」しか知らなくて、正直ほとんど作品を存じ上げないのですが、日本では人気があり、大ファンだという『孤独のグルメ』の松重豊さんがトークイベントに参加するほど。
(俳優が自分が出演しない映画のプロモーションに参加するとかあまり聞いたことない…)
それもあってか新作『枯れ葉』の公開を記念して、先週末より「愛すべきアキ・カウリスマキ」の名を冠した特集上映がユーロスペースにて開催されています。
正直期待していなかったけれども…
今回先行上映に参加させていただいた『枯れ葉』、今年度のアカデミー賞を頂点とした賞レースで快走しています。
今年は'Anatomy of a Fall'、'The Zone of Interest'という超強力作があるため、受賞は正直難しいと思いますが、アカデミー賞の国際長編映画賞ノミネートの可能性は非常に高いことから、観てみることにしたのです。
上映後すぐは「これはちょっと合わないかもしれない…」と不安になったのですが、ラストシーンでは感動すらしてしまって、「これは今年のトップ10入りする!」とまで思いました。
もちろん映画ですから、都度出来事は起こるわけですが、それもまぁ日常の延長にあるもので、ラストシーンも心を揺さぶるようなつくり方をしているわけではないんです。
なのになぜかウルウルしてしまったのでした。
特別な体験も
上映後に入られたのか全然気づかなかったのですが、この先行上映には主演のアルマ・ポウスティさんのトークイベントがついていて、なんと一緒に鑑賞をしていたという!
トークイベントより、主演女優と映画を共に観たという体験が貴重で嬉しかったです。
東京国際映画祭なんて、自国なのに俳優が一切出てこないという全然盛り上がらないイベントになっているのに…。
トークイベントでは「ありがとうございます」など日本語も披露。
京都にも行かれたそうで、外国人の京都人気はほんとすごい。映画祭も京都でやればもっと来日してくれそう…。
Q&Aコーナーは、挙手方式じゃなく、Googleフォームでの事前入力制で、これは頭いいな…と思いました。当てたひとがやべえ人なリスク回避できるもんな…。
その中でタイトルについてのものがあり、「(登場人物が)"晩秋"の時期というのもありますが、"落ちていく葉"というところに生命というか、意味を感じている」と答えられていましたが、それを聞いて邦題タイトルやっちまったな、と思いましたね。
原題は'Kuolleet lehdet'で北米タイトルは'Fallen Leaves'なのですが、日本だと『枯れ葉』。そこは「落ち葉」だろうがよって思ったけど、誰も気づかなかったのかな…。
映画の中ではほとんど笑顔を見せないアルマさんですが、イベント中は終始笑顔でとっても素敵でした。
本日の一曲
映画にも出演しているMaustetytöt(読めねえ…)
仏頂面で唄う美人姉妹なのですが、その名前の意味は「スパイス・ガールズ」だったり、シュールな歌もなかなか風刺が効いています。
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