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源泉

今年流行った曲の言う通り、嗅覚によって思い出される情報量はすさまじいものだ。

10月末にバレエを観に行った。
大好きな作家、三島由紀夫の没後50年を記念して「M」を再上演するとのことで、かねてより横尾忠則の同作品ポスターに惹かれていた私はなけなしのお金でS席を取り、ワクワクしながら上野に向かった。

ホールに入った瞬間、

昔習っていたバレエの上演前の、舞台裏と楽屋をつなぐ冷たい廊下の匂いだ!
あるいは、高校でやっていた演劇の準備に行った時の誰もいない客席の匂いだ!

リノリウムの冷たさ、ビニールテープの手に残る粘着剤、空気中の埃がライトに照らされつつ漂って…
無人の舞台の「まだ色の付いていない感」が大好きだった。



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