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□□□とボードゲーム(1.94302)〜デュシャンのチェスプロブレム(中)
前回の記事はこちら。
1943年につくられた、マルセル・デュシャンのチェスプロブレム(詰めチェス)について書いております。
前回は、詰むとしたらこんな手筋、という内容でした。
詰むとしたら。
今回は、どうして詰ないのかという手筋をみていきます。
うん、詰まらん
いや、結構面白い話ではあるんですがね。
1943年につくられた、デュシャンの問題はこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1721517233637-BkqKm0F8pX.png)
前回の最後に、こちらを何手か進行した途中図(白6手目まで)を残しました。
それがこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1721517298956-q2IExc7Nz0.png)
さて、黒の手番。
前回は、黒はルークでポーンを取る手から、白の勝ちに至りました。
じゃ、逃げますか。
![](https://assets.st-note.com/img/1721517529409-AdXHDLvBIp.png)
次の白番で、動かすことのできるのは4つのコマです。
詰まらんその1
ポーン昇格の手筋から。
![](https://assets.st-note.com/img/1721518263801-hlz7nUE20T.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721518339067-me8Nt9rG9P.png?width=1200)
前回と同じく、コマの取り合いとなりました。
前回の状況と異なるのは、キングが最上段にいます(前回は上から2段目)。
この位置だと、黒唯一のポーンの昇格を阻止することができません。
![](https://assets.st-note.com/img/1721518607806-xjeLHIugXf.png)
結果、双方のポーンが昇格して、互いにクイーン1個を持つ状態となり、互いに詰めの手はなく引き分けとなります。
詰まらんその2
もう1つの別のポーンを動かしていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1721519116657-qQdgmsmJkv.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721519195499-6vJ1fNcjTP.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721519261717-zxVqAZwWAM.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1721519396400-lneu7eFY1A.png?width=1200)
こちらも、黒唯一のポーンの昇格を阻止することができません。
さて、このプロブレムについて書かれた記事では、この詰められない2つの手筋の紹介していますが、書かれていない他の手も追ってみます。
詰まらんその3
キングを動かします。
![](https://assets.st-note.com/img/1721519677666-8qEXF0Lsok.png?width=1200)
次の白番は、ポーンを守るためにキングが前の位置に戻ります。
ありゃ……どうやら千日手ですね。
詰まらんその4
ルークを動かしてみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1721519920032-oXkEvvrQvX.png?width=1200)
もう1つのポーンにも浮気して仕掛けようとすると、逃げられてしまい昇格を助けてしまいます。
ならば他のマスに移動しましょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1721520331228-DdRmVhFDQx.png?width=1200)
黒はキングを動かして安全を保ちながらポーンを守ります。
前回の記事で、
ところで、白のルークはチェック(下図の左)ではなく直接昇格間近のポーンを阻止を狙って一番右の筋に移動して〈黒5手目〉とおなじ配置にする手も(下図の右)あります。
これだと、手番が逆(次は白ではなく黒の手番)になります。
問題ないんでない?と思われた方、これ、相当問題あります(のちのち説明予定)。
![](https://assets.st-note.com/img/1721520637805-vHpGkcGqvN.png?width=1200)
と書きました。
よくよく見ると、右の図は黒のルークの位置が異なるだけで、今回の4つ目とほぼ似たような状況なのです。
結果、詰まらんのです。
またも中締め
ということで、デュシャンのつくったチェスプロブレムは、解けない問題だったのです。
しかし、なんでこんなの作ったのか?
前回紹介したサイト(特にToutfaitの「A Problem With No Solution」)では、その経緯が書かれております。
もともとは、画廊ジュリアン・レヴィで行われた小さな展覧会「Through the Big End of the Opera Glass」の告知広告で使われたものでした。
広告に印刷されたこの問題の裏側には、デュシャン自身が描いた天使が重なっています。
で、これ、何?
次回あることないこと書きます。
では。
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