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コンポーネント(ゲーム用具)がすごく少ないアブストラクトゲームについてあれこれ書いてみる

この記事はアブストラクトゲーム Advent Calendar 2022の5日目の記事として書かれました。

はい、どうも。
珍ぬと申します。
3年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれ250本近く書いています。
よろしくお願いします。

コンポーネントが少ないゲームとは


今回の記事のきっかけとなったのは、1日目、2日目につづきまして、またもや加藤香流さんがnoteで書いた記事「アブストラクトの最小ボードは何マスか」です。

関連する内容の記事を、数年前にBoardgamegeekで見つけていました。
それが「Games with (very) few components」です。

コンポーネントの大小関係なく、個体で数えるので、コマも1個、サイコロも1個、でかい盤面も1個として扱います。

なので、囲碁の盤面もマス数なんて関係なく、1個は1個、となかなか潔い数えっぷりなのです。


コンポーネントが少ないゲーム(常識的編)

さて、アブストラクトゲームで、コンポーネントが少ないものは何個くらいなのでしょうか。
おそらく4個ないし5個ではないかと思われます。
内訳は、
◆コマ(プレイヤー2人に対して2個)
◆盤面(1枚あるいは不要)
です。

香流さんの記事でも紹介されていたのは『Horseshoe(ホースシュー)』です。

コマ4個(各プレイヤー2個)と盤面1個で5個です。
こちらの説明は省略します。

他にもあります。
Edward Charles Francis Publius de Bono(エドワード・チャールズ・フランシス・パブリウス・デボノ)さんが考案した『L Game(Lゲーム)』です。


de Bonoさんは、なんと「ウミガメのスープ」でおなじみ、「水平思考」の提唱者であります。
『Lゲーム』は、1968年に出版した『The Five-Day Course in Thinking(水平思考5日間コース)』で登場します。

『Lゲーム』のコンポーネントは、
◆盤面(正方形マス4×4)
◆コマ(Lテトロミノ型:各プレイヤー1個)
◆コマ(大きさ1マス分:2個)
合計5個です。

先手後手と交互にプレイをします。
ゲームの目的は、相手の受け持つLテトロミノ型のコマを動かせないようにすると、勝利です。

手番のプレイヤーは、1つないし2つのアクションを順番通りに行います。

1つ目のアクションは、自分の受け持つLテトロミノ型のコマを盤面からとり上げ、動かす前と異なる置き場所にふたたび盤面に戻します。
Lテトロミノ型のコマは、回転や裏返しにしてもOKです。
もちろん、他のコマと重なってはいけません(そして、ちゃんとマスにあわせておきましょう)。

2つ目のアクションは、大きさ1マス分のコマのどちらか1個をとりあげて、ふたたび盤面の空きマスに置きます。
このアクションは行わなくても構いません(言いかえると、動かす前と同じ位置に置けば一緒です)。

ところが、de Bonoさん。
すごいことに1996年にコンポーネント4個のゲーム『3SPOT Game(3スポットゲーム)』も考案していました。

特許も出願登録されています(2015年で権利切れになっています)。

『3スポットゲーム』のコンポーネントは、
◆盤面(正方形マス3×3)
◆コマ(ドミノ型:各プレイヤー1個、共用1個)
合計4個です(ただし、スコアを付けるので、筆記用具があるとよいので、コンポーネントはさらに1、2個ふえます……が、努力して暗記するということで、今回は見なかったことにします)。

盤面の9マスのうち3マスには、丸の記号(スポット)が描かれています。


ゲーム開始時のコマの配置図。
緑プレイヤーと黄プレイヤーで争う。
赤は双方共用のコマ。
3つの丸の記号(スポット)は、コマで隠れていません。
画像引用:
https://boardgamegeek.com/image/179494/3-spot-game

おおまかなゲームルールを書きます。
・手番のプレイヤーは、自分の受け持つコマか、共用のコマのどちらかを移動します(移動前と移動後が同じ状態になってはいけません)。
・移動後は、盤面を確認し、コマがのって隠れていない丸の記号(スポット)の数を得点として記録します。
・(ゲーム終了の判定がありますが、後述しますので)これで手番が終了となり、相手の手番となります。

ゲームの終了ですが、プレイヤーの手番終了後に互いの得点の合計を見ます。
プレイヤーのどちらかが合計12点以上獲得すると、ゲーム終了です。
勝敗ですが、もう一方のプレイヤーは
・合計点数7点以上だと、負け。
・合計点数6点以下だと、勝ち。
となります。
要は、合計点数の少ないプレイヤーの状況次第です。

『3スポットゲーム』よりさらにコンポーネントが少ないゲームは、香流さんの記事でも紹介された『Bushi Shogi(武士将棋)』になります。


こちらの紹介は、割愛します。



コンポーネントが少ないゲーム(卑怯編)

コンポーネントの工夫次第で、もっと少なくすることができます。
そのなかでも、非常にメジャーなものは、


紙とペン

です。
コンポーネントはたった2個です。
ゲームプレイ中、コマが移動しない置くだけであれば、ほとんどのゲームに対応します。
消しゴムなどの修正するコンポーネントがあると移動や排除もできますが……それなら普通にたくさんコンポーネント用意して遊びましょう。

それならば、


スマホやPCのアプリ

もあります。
これだとコンポーネント1個……ですが、電源(アダプター)を考慮すると2個かなと判断します。

じゃあ、コンポーネント1個のアブストラクトゲームがあるのかといえば、あります。



オセロです。

いやいやいや。
あれ、コマ64個もあるでしょ。
その通りですが、「大回転オセロ」があります。

コマが盤面と一体化しているので、コンポーネントは1個と勘定します。
先に上げた、Boardgamegeekの「Games with (very) few components」でも登録されています。


コンポーネントが少ないゲーム(究極編)

さて、これで終わりかと思ったのですが、まだあります。
コンポーネント0個のアブストラクトゲームです。
実は、マンガでもとりあげられています。



嘘喰い』です。
第36巻に登場する「ハンド・チョッパー」です。

このゲームは、双方の両手の指を使用するのでコンポーネント0個なのです。
「ハンド・チョッパー」のベースとなったのは、「戦争」「割り箸」「マッチ」「プラフィン」「いちいち」「指殺し」などの別名があります。
Wikipediaでは、項目「手を用いた遊び」の中でとりあげられています。

お互いの指の状態を公開した完全情報なので、アブストラクトゲームなのです。

※記事の最後に、ネタバレを書きます。


締め

ということで、コンポーネントの数が少ないアブストラクトゲームを追いかけてみました。
いろいろと探しているうちに、まさかコンポーネント0個に辿り着いてしまいました。

次回のアブストラクトAdvent Calendarの予定は、7日目(誰か割り込みます?)。
天空薙さんになります。
よろしくお願いします。

では。


【#ネタバレ】
『嘘喰い』の「ハンド・チョッパー」では、主人公の斑目貘(まだらめ・ばく)が勝利するのですが、その過程がコンポーネントから見てみると、これまた面白いのです。
コンポーネントないはずなのに、まだ減るんかい

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