ロック音楽のサブジャンル「Yacht Rock」を題材にしたボードゲーム『Yacht Rock(ヨット・ロック)』を紹介してみる。
前回、日本未発売と思われるボードゲーム『Clipcut Parks』
のnoteを書きました。
今回も日本未発売であろうボードゲームを紹介します。
それが、
『YACHT ROCK(ヨットロック)』。
2020年にアメリカのFunko Games社から発売されました。
ゲームを製作したのは、Prospero Hall(プロスペロ・ホール)。
個人ではなく、ボードゲーム開発チームになります。
Prospero Hallは、版権関係やファミリー向けのゲームを製作しています。
『Yacht Rock』の数カ月後には、『PAN AM(パンナム)』を出しています。
こちらのほうが有名かもしれません。
ついでに、2019年は『Jaws(ジョーズ)』を製作してますね。
サメ好き垂涎。
さて、今回の『Yacht Rock(ヨット・ロック)』ですが、実は個人的なタイトル買いです。
おそらく、「ヨット・ロック」を知っている方は、そう多くないと思います。
日本では2019年に「ヨット・ロック」の書籍と、コンピレーションCDが発売されたので、つい最近です。
音楽「Yacht Rock(ヨット・ロック)」とは?
ヨット・ロックはどのような音楽を指すのか。
まずは英語版Wikipediaからの引用。
【引用】
Yacht rock (originally known as the West Coast sound or adult-oriented rock) is a broad music style and aesthetic commonly associated with soft rock, one of the most commercially successful genres from the mid-1970s to early 1980s.
【適当な翻訳】
ヨット・ロック(元々はウエストコーストサウンド、または大人向けロック(AOR)として知られていました)は、 1970年代半ばから1980年代初頭までのジャンル。
ソフトロックともいう。
乱暴に言うと、今まであったAORやソフトロックの別名、です。
「ヨット・ロック」というフレーズは、2005年に制作されたとある動画番組のタイトルでした。
そのへんの解説で大変参考になるブログが以下になります。
番組『Yacht Rock』の内容はコメディタッチで、揶揄したというか茶化した意味で使われていました。
が、2015年頃から、ヨット・ロックに括られた音楽全体を高く再評価するようになり、名称として定着しつつあります。
そのような流れの要因であると考えるのが、2010年代初頭にあらわれた「Vaporwave(ヴェイパーウェイヴ)」です。
80年代のポップ・ディスコ・R&Bなどの楽曲を、BPMを下げて編集した音楽動画です。
ちなみに、BPMを落とすのは「12インチシングルあるあるの再現(アナログレコードのEP盤速度45回転で聞くべきなのだが、誤ってLP盤速度33回転でかけてしまう)」です。
ヴェイパーウェイヴによって、動画そのものだけではなく、ガッツリ編集されてしまった原曲自体にも焦点があてられて、再評価されるようになりました。
ヴェイパーウェイヴから発展した「Futurefunk(フューチャーファンク)」では、編集された原曲のジャンルは、シティポップ(日本の70・80年代音楽)が中心です。
ここ最近、シティポップが日本を離れた世界中で再評価されているのは、このような経緯もあると思います。
そして、シティポップがベースとなるインスパイアされたジャンルをたどると行き着くのが、AORやウエストコーストサウンドだったりします。
では、なぜAORやウエストコーストサウンドと呼ばずに「ヨット・ロック」と呼ぶのか。
動画番組『Yacht Rock』がYoutube配信だったからではないかと思います。
ヴェイパーウェイヴも同じく、Youtube配信で発展したのでイメージがリンクしやすかった、かも知れません。
ボードゲーム『Yacht Rock(ヨット・ロック)』とは?
では切り替えます。
ボードゲーム『Yacht Rock(ヨット・ロック)』の紹介へいきます。
プレイ人数は3〜6人です。
ゲーム全体の簡単な流れは、
プレイヤーはカードを取り合い、そのカードを使って勝利点を取り合う。
そのようなやり取りを3ラウンド行って、合計勝利点が1番大きいプレイヤーの勝ち。
そんなゲームです。
下の写真は、ゲームボードとプレイ中のカードを配置している状態です。
ボード右上のカードは、本来左上のカードの向きに置きます(見栄えとして置いています)。
プレイヤーは、盤面の円周に置かれている、5つのカードの束のうち1つを選んで手持ちにします。
ボードの下にある2枚のカードを取りました。
プレイヤーはカードを取ったあと、取った場所とその左右の3箇所にカード1枚づつ補充をします。
裏になったカードが、補充したカードです。
補充したカードを表にして、
次のプレイヤーが取れるようにしましょう。
手持ちにできるカードは2種類あります。
1つは「衣装カード」。
帽子・サングラス・上着・ズボン・靴の5種類あります。
これとは別に、色が赤・青・紫の3種類+金の1種類があります。
ラウンド終了後に、各プレイヤー手持ちの衣装カード(5種類それぞれごとに分けます)のポイントの合計(右上にポイントが書かれている)が1番大きいプレイヤーに、勝利点が入ります。
ただし、自分のプレイヤー番のときに手持ちの衣装カード1枚を捨てると勝利点1点がもらえます(合計ポイントが低いと全く勝利点にならないので、救済策として使えます)。
また、色についても、ラウンド終了後に勝利点が得られます。
ただし、条件の書かれた「ソイリーカード」2枚のうち、1枚を選びます。
上の写真が、ソイリーカード。
ゲーム中は、上のカードのように勝利点は書かれていません(ただし、勝利点が得られる衣装カードの色と、シングルトークン(後述)が2種類ある(カード右下にある)ことがわかります)。
ラウンド終了後、カードを裏返すと下のように勝利点の条件が書かれています。
それぞれカード1枚、トークン1個あるごとに、勝利点がもらえます。
ちょっと、いやらしいのがカードに書かれていない3つ目の勝利点条件があります。
・右のカードは、各色(4種類)のカードそれぞれ1枚づつ集めると1点。
・左のカードは、特定の衣装カード(帽子・サングラス・靴)を1枚集めると1点。
運要素が強すぎるので、嫌いな人もいるでしょう。
ただし、この隠れた条件の衣装カード(帽子・サングラス・靴)は、
・2色持っているカードもある
・それ以外の上着・ズボンには黄色がない
と、非常に集めたい特徴をつけたカードになっています。
取り合いで分散するようにデザインしています。
長くなりました。
もう1種類のカード、「音楽カード」です。
7種類あります。
このカードを使ってレコーディングをします。
レコーディングは単独でもできますが、交渉してデュオもできます。
交渉の際、マーカーを使う(まあ、使わなくてもできる)のですが、
ギターピックです。
シングルには3種類の「音楽カード」のアイコンが書かれています。
・単独1人でレコーディングする場合(右):
手持ちに、3種類のアイコンに該当する3枚の「音楽カード」がないといけません。
レコーディングできると、8点の勝利点とシングルトークン1個がもらえます。
・デュオ(2人)でレコーディングする場合(左):
手番のプレイヤーが、他のプレイヤーを交渉します。
レコーディングは、3種類のアイコンのうち、かぶらないように1種類づつの「音楽カード」がないといけません。
レコーディングできると、2人のプレイヤーにそれぞれ3点の勝利点とシングルトークン1個がもらえます。
こんな感じです。
細かい点をいくつか省いています。
おおよその説明ということで、ご了承いただけるとありがたいです。
終わり
ということで、『Yacht Rock(ヨット・ロック)』でした。
ちなみに、
ゲームデザイナーの名称が「Prosupero & Hall」になっているのは、Daryl Hall & John Oates(ダリル・ホールとジョン・オーツ)のオマージュと思います。
では。
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