せまゲー生半可集(4)~「〇次元盤面」ゲーム『Pantareï』
せまゲー生半可集の前回の記事はこちら。
尻切れトンボで終わってしまった感がありますが、その続きの雰囲気でまいります。
今回は、とあるボードゲームを紹介しつつ、さらに一次元盤面について考察していきます。
『Pantareï』
そのゲームとは『Pantareï(パンタレイ)』。
2014年にClaude Leroy(クロード・レロイ)さんが考案しました。
『パンタレイ』は、以前にこのゲームの出版元Cosmoludo(コスモルード)の記事を書いた際に取り上げました。
『パンタレイ』の日本語版や海外輸入版はないのですが、ラディアスリーのYoutubeで、ルール紹介・リプレイの動画がアップされています。
さらに、日本語に翻訳されたルールブックもあります。
ぴーかんさんが、BoardgamegeekにPDFファイルをアップしています。
日本語で『パンタレイ』を知る環境は結構整えられており、ある意味幸運なゲームだと思います。
『Pantareï』の大まかなルール
とはいえ、この記事で何もフォローせずにすすめるのは、ちょいと無粋なので、『Pantareï(パンタレイ)』のルールをざっくり書いてみます。
『パンタレイ』のコンポーネント:
白のコマ(表に、数字のⅠ(1)) 3枚
白のコマ(表に、数字のⅡ(2)) 3枚
白のコマ(表に、数字のⅢ(3)) 3枚
黒のコマ(表に、数字のⅠ(1)) 3枚
黒のコマ(表に、数字のⅡ(2)) 3枚
黒のコマ(表に、数字のⅢ(3)) 3枚
生成りのこま(表記なし) 1枚
合計19枚
ゲームの準備:
19枚のコマを適当にひとつながりに並べます。
盤面はありませんが、仮想の一次元盤面に並べている状態となります。
ゲームの勝利条件とコマについて:
すべてのコマは、他のコマの上に積み重ねること(積み重なった状態をスタックと呼びます)ができます。
いわゆる、スタッキングができます。
コマを7段積み上げたスタックをつ
くったプレイヤーが勝ちとなります。
手番プレイヤーのアクション:
白・黒を受け持つプレイヤーは互いに手番を行います。
プレイヤーのアクションは「コマを動かす」ことです。
プレイヤーがアクションできるのは、スタックの1番上のコマが自分の受け持つ色になってるものです。
ようは、真上から見たら「自分の色のコマ」のスタックです。
プレイヤーは、アクションできるスタックから1つ選び、1番上のコマ1個、もしくは、1番上のコマとその下のコマ2個、を1番上のコマにかかれた数字だけ動かして、その先にある他のスタックの上に重ねておきます。
手番プレイヤーのアクションの補足:
・コマが1個しかない状態も、スタックとして扱います。
・スタックからコマを全て取って動かしたあとに、コマがなくなって隙間ができた場合、離れた2つのスタックは間を詰めて隣接させます。
以上が、大まかなルールとなります(紹介したものとは異なる、コマを動かすルールがあるのですが、割愛します)。
スタッキングも一次元盤面とみなす
前回の記事で「一次元盤面」を定義したときに2つほど例をだしました。
両端がある盤面と、円環につながった盤面です。
これらの例とは別なものとして、片方だけ端がある盤面があります。
具体的な例としてあげると、実はスタッキングです。
スタッキングを踏まえて、一次元盤面のコマとマスの隣接関係を図にすると、以下のようになると考えます。
勝手にプロトタイプ『Pantareï』を思いつく
とまあ、今回の記事を書く事前にどう書こうか構想を練っているときに、ふと、違和感に気づきました。
『Pantareï(パンタレイ)』には、白でも黒でもないコマが1個だけあります。
これって、必要なのでしょうか?
おそらく、ニュートラルなコマを追加することで、先手後手の勝率が一方に偏らない緩和の効果があるかもしれません。
この説と、全く異なることを考えてしまったのです。
これ、コマじゃなくて、
マスだった
んじゃないの?
なにを言いだすやら、でしょうね。
たとえば、下のようなゲームの初期配置を作ってみます。
生成りのコマはマスです。
つまり、一次元盤面だと思っていたら、本当は(バックギャモンのように)平面にのびているスタッキングでした。
この盤面から、勝手に『パンタレイ』の前身となるゲームをでっちあげてみます。
ルールは通常の『パンタレイ』にならいますが、大きく2点変更します。
◆生成りのコマはマスとして扱い、他のコマと同じように動かすことはできない。
◆ゲームの勝利条件は、マスの上にコマを一定数(7~10個くらい)積み上げてスタックを作ったプレイヤーの勝ち。
一応、遊ぶことはできます。
『パンタレイ』の初期配置は、蛇になぞられて(それゆえ、コマも「Scale(鱗・うろこ)」と呼んでいる)います。
勝手にプロトタイプゲームは、ゲームが進行するにつれ、マスに次々とコマが積み上がっていくので、蛇が鎌首をもたげているように見えてきます。
ところで、加藤香流さんの書かれたnoteの記事に「アブストラクトの最小ボードは何マスか」があります。
記事中で紹介されたゲームのなかで、最小マス数は2でした。
最小マス数が1のゲームなんて無理だ……と思っていたのですが、
勝手にプロトタイプのこのゲーム、
マス1個しかない!
……結構強引なのですが。
なにせ、スタッキングのコマに異なるスタッキングをつくる二重構造なのですから。
まあ、とにかく。
最小マス1個のゲームは存在しました(やっぱり強引)。
ついでのおまけです。
勝手にプロトタイプのゲームの初期配置で、下のようなものも考えていました。
これ、遊べるけど……相当面白くないです。
なんというか「運動会の玉入れ」しているようなものです。
締め
ということで、
「ゼロ次元盤面」ゲーム
勝手に『Pantareï』プロトタイプ(仮)
の紹介でした。
いつの間にかタイトルと違ってますね。
マスが1つしかない盤面なので「ゼロ次元盤面」です。
前回の記事で、一次元盤面の定義を書きました。
盤面にある全てのマスが、1つないし2つのマスと隣接しているものを、一次元盤面と呼ぶ。
少し手を加えると、
盤面にある全ての(スタッキングできるマスである)ゼロ次元盤面が、1つないし2つのマスと隣接しているものを、一次元盤面と呼ぶ。
となるでしょうか。
……やっぱり強引です。
今回の記事は説の一つとして、いろいろ考えてみたり意見していただけるとありがたいです。
次回は、他の話題にしようと思います。
では。
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