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超動くマンカラ(2)~みんなが「マンカラの特徴=豆まき」と思っているので隠れてしまっている、重要なもう1つの特徴

前回のマンカラ話は、カラハのお話。

今回は、マンカラをゲームのメカニズムからみた話です。

マンカラの特徴=豆まき

マンカラ。
この語源は、アラビア語の「動かす」の名詞形です。

【Wikipedia「マンカラ」より引用】
マンカラという言葉はアラビア語で「動かす」(نقل, naqala)を意味する動詞から派生した名詞 منقلة,manqala に由来する。

盤面上に置かれたたくさんの豆(石だったり、貝だったり、糞を丸めたのだったりいろいろですが)を動かすアクションは、Sowing(英語で「豆まき。播種(はしゅ)」)とか、Count And Capture(英語で「数えて捕獲」。)と呼ばれたりしています。

主にボードゲームについてのメカニズムをまとめた『ゲームメカニクス大全』では、上記アクションの項目を「マンカラ」としています。

このメカニズムを用いた新しいボードゲームも次々と考案されています。
その中で、個人的に1番成功しているのは、第0回目のnoteでも紹介した『くだものあつめ』です。

いやあ、面白いゲームです。
しかし、改めて考えてみると『くだものあつめ』は、多くの伝統的なマンカラがもつある特徴を外して再編集したゲームなのです。


マンカラの隠れた特徴

伝統的なマンカラで使われる用具はーーゲーム盤以外だとーー(代表して)豆です。
豆は、1種類しかありません。
大きさとか、形とか、色とか、材質とか、好き嫌いとか、なんだかんだあるけど、豆は全部おんなじ1種類、として扱います。
加えて、もう1つ。
伝統的なマンカラは基本的には1つのゲーム盤を用いて2人で遊びます。

2020年にドミノについて記事を書いた際に「世界◯大ボードゲーム」をあげました。
一応、4大ゲームだと、Chess(チェス)、Backgammon(バックギャモン)、Playing Cards(トランプ)、Dominoes(ドミノ)になります。
世界と言っていますが、欧米の範囲内で、と考えるとより納得できると思います。
もし、5大ボードゲームするならば、この4つにマンカラを加えてもよいのではないか、と思います。

さて、これら5つのゲームを、いろいろなカテゴリに当てはめて比べてみると、マンカラは他の4つのゲームのコウモリ的立場になりがちできます。

盤以外の用具の利用:
1人のプレイヤー専用……チェス、バックギャモン
プレイヤー全員の共用……トランプ、ドミノ、マンカラ

用具の公開:
すべての用具を公開……チェス、バックギャモン、マンカラ
プレイヤーのみ公開(手札など)……トランプ、ドミノ

盤の利用範囲:
プレイヤー全員の共用……チェス、バックギャモン
1人のプレイヤー専用の場所……マンカラ、トランプ、ドミノ

プレイヤーが使用する用具の種類数:
1種類のみ……マンカラ、バックギャモン(サイコロ除く)
2種類以上……チェス、トランプ、ドミノ

いくつか書きましたが、非常に大雑把に分けると、

ボードゲーム(チェス、バックギャモン)
と、カードゲーム(トランプ、ドミノ)

です。
マンカラは見た目ボードゲームよりなのですが、カードゲームよりの要素ともあります。

用具の所有を場所で区分する

ことです。
なにか小難しく書いていますが、じゃあマンカラの他にそんなボードゲームってあるのか、しかも、カードゲーム以外にあるのか、って話ですよ。

隠れたマンカラよりのボードゲーム

あるんですわ、これが。
実は、以前noteに書いていました。

Andrew Looneyさんが考案した『Martian Chess』と、その元となったこれまたAndrewさん考案の『Monocrome Chess』です。

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『Martian Chess』

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『Monochrome Chess』

ゲーム盤のプレイヤー側半分が自分の領域になり、そこにあるコマすべてが自分のコマになります。
なので、相手プレイヤーが自分のコマを獲ってきたので、取り返してやる……と思ってもできません。
なぜなら、獲ってきた相手プレイヤーのコマは、すでに自分のコマになってしまっているから。

どちらのゲームも終了の条件は、どちらかのプレイヤーの自身の領域からコマが全てなくなったときです。

『Katarenga』+『Mancala』?

Andrewさんのような、ゲームはまだ作れるのでしょうか?

1年半前に書いたnoteがあります。

紹介したゲームは『Katarenga』。
このゲームは半年前にも、この記事で登場しました。

『Katarenga』のゲーム盤のサイズは8×8ですが、4×4のボードを4つ組み合わせてつくります。
なので、『Martian Chess』のように、

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2つの4×4ボードを合わせて、互いのボードが自分の領域として扱うことができます。
コマは計16個梱包されていますので、互いの領域それぞれ下段2列に並べればきっちり収まりのいい初期配置となります。

『Katarenga』に
隠れた『Mancala』要素を加えて
Katarencala(カタレンカラ)』。

とはいえ、これがゲームになるのか?というところですが、あらたに番外編の記事を設けて考えてみたいと思います。

締め

いい文量になったので、今回はここで締めます。
番外編も書きつつ、次回はマンカラーー特にカラハ(Kalah)を遊ぶときにあらわれる「マンカラ数列」について取り上げてみます。

では。


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