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□□□とボードゲーム(2.4)〜フィボナッ詩

前回の記事はこちら。

数学詩には、数学用語や語彙を用いた内容的なものもありますが、今回は特定の数列――フィボナッチ数列――にこだわった詩を追ってみます。


フィボナッチ詩

ということで、実例です。
Punya Mishra(プニャ・ミシュラ)さんのサイト「Mathematichal Poetry」にあげている「Fibonacci’s Poem(フィボナッチの詩)」があります。

googleで翻訳するとこんな感じ。

【翻訳】
(!)
1つ
言葉
始まります
ゆっくりだけど確実に
数値的に拡張し、さらに追加する
理由を尋ねずに、計算して前に進みます
この行と前の行の単語の比率を知ると、ファイに等しくなります。
エレガントで、創発的で、魔法のような数字。ひまわり、貝殻、音楽的な模様に見られます。その完璧さは荒々しく異質である。意味のないパターンが増えていく
容赦なく、終わりのない流れ (1.61803398874989484820456)。不条理な夢、二度と繰り返さない!

引用:https://punyamishra.com/2019/12/11/fibonaccis-poem/(翻訳)

ですが、これだと意図を無視したダメダメ翻訳詩です。
最初の何行かを引用します。

【引用】
(!)
One
Word
It starts
Slow but sure
Expanding out numerically, adding more
Marching forward, doing the math, not asking why
Knowing the ratio of words, in this line and previous, will equal Phi!

引用:https://punyamishra.com/2019/12/11/fibonaccis-poem/

お察し、と思いますがそれぞれの行の単語の数は、

0、1、1、2、3、5、8、13……

と、3行目からは、単語の数が前の行とその前の行それぞれの単語の数を足した数、となっております。

つまり、詩の形式が、フィボナッチ数列を用いて構成されています。

なので、日本への翻訳も詩の形式をフィボナッチにあわせたい。

全くの拙訳ですが、たとえばそれぞれの行を漢字の数で構成すると

【漢字バージョン】


開始
超丁寧
数拡大加算
遮二無二加算加算
前数値対次数値比率即黄金比
美麗淡麗華麗数 華殻曲顕現 冷厳珍妙意味不意味
非緩無理数 一.六一八〇三三九八八七四九八九四八四八二〇四五六 未終未期!

※ただし、空白、記号は数えない

なんかお経みたいですな。
できるだけもとの詩の意味を汲み取るようにしました。
あるいは、かな文字(一部数字)で構成。

【かなバージョン】


たつ
じみち
たしてたす
たしてたしてたす
さっきのとわればおうごんひ
しぜんのあれこれにひそむきれいでへんなかず
1.61813398874989484820456ばらばらおわらない

かなしか使えないのでがっつり意訳しております。
最後の行はもとの詩で費やした数字の桁数にあわせると、実質使えるかなの数は9字でした。
ひぇ〜。

フィボナッチ詩、個人的に勝手に省略するとフィボナッ詩
ところが、もっと略した呼び名があるのです。

Fib

英語版Wikipediaに項目が存在しています。
その呼び名は「Fib(フィブ)」。

諸説あるのですが、1974年にJohn Frederick Nims(ジョン・フレデリック・二ムズ)さんが、フィボナッチ詩の概念や形式をとなえたようです。

2006年4月1日に Gregory K. Pincus(グレゴリー・K・ピンカス)さんが、6行20音節(シラブル)――それぞれの行が1/1/2/3/5/8音節――で構成されたの定型詩を発表しています。
この詩の形式が標準的なFibの形式として、詩作する方にはまさに俳句のようにあつかわれているようです。
しかも、フィボナッチ詩を「Fib」と記したので、呼び名の定着の一端になったのでは、と思われます。

【引用】
One
Small,
Precise,
Poetic,
Spiraling mixture:
Math plus poetry yields the Fib.
【翻訳】


正確
詩的で
螺旋混合物:
数学たす詩フィブ。

引用:https://gottabook.blogspot.com/2006/04/fib.html

ちなみに、「Fib」。
略称や呼称ではなく、通常の単語としても使われており、意味は「」です。


The Fib Review

しかし、そんなFibなんて作られてないだろう、と思うじゃないですか。
調べてみるとビックリした。
なんと、フィボナッ詩ばっかしのサイトが存在しております。

「The Fib Review」。
創刊は2006年の秋。
そうです、Pincusさんの詩が発表されてわずか数ヶ月のスピードなのです。投稿でFibを募集しており、年3回(夏・秋・冬)更新。
2024年9月現在最新では夏の48号を刊行。
掲載されたFibの総数、

685篇

ななななんという数でしょうか。
標準的なFib形式以外にも、さまざまな形式(増減したり単語の数など)のFibが作られています。

締め

ということで、今回はフィボナッ詩を紹介しました。
いや、まさかこんなにたくさんあるとは思わなんだ。

次回もなんか探してみます。

では。

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