□□□とボードゲーム(2.4)〜フィボナッ詩
前回の記事はこちら。
数学詩には、数学用語や語彙を用いた内容的なものもありますが、今回は特定の数列――フィボナッチ数列――にこだわった詩を追ってみます。
フィボナッチ詩
ということで、実例です。
Punya Mishra(プニャ・ミシュラ)さんのサイト「Mathematichal Poetry」にあげている「Fibonacci’s Poem(フィボナッチの詩)」があります。
googleで翻訳するとこんな感じ。
ですが、これだと意図を無視したダメダメ翻訳詩です。
最初の何行かを引用します。
お察し、と思いますがそれぞれの行の単語の数は、
0、1、1、2、3、5、8、13……
と、3行目からは、単語の数が前の行とその前の行それぞれの単語の数を足した数、となっております。
つまり、詩の形式が、フィボナッチ数列を用いて構成されています。
なので、日本への翻訳も詩の形式をフィボナッチにあわせたい。
全くの拙訳ですが、たとえばそれぞれの行を漢字の数で構成すると
なんかお経みたいですな。
できるだけもとの詩の意味を汲み取るようにしました。
あるいは、かな文字(一部数字)で構成。
かなしか使えないのでがっつり意訳しております。
最後の行はもとの詩で費やした数字の桁数にあわせると、実質使えるかなの数は9字でした。
ひぇ〜。
フィボナッチ詩、個人的に勝手に省略するとフィボナッ詩。
ところが、もっと略した呼び名があるのです。
Fib
英語版Wikipediaに項目が存在しています。
その呼び名は「Fib(フィブ)」。
諸説あるのですが、1974年にJohn Frederick Nims(ジョン・フレデリック・二ムズ)さんが、フィボナッチ詩の概念や形式をとなえたようです。
2006年4月1日に Gregory K. Pincus(グレゴリー・K・ピンカス)さんが、6行20音節(シラブル)――それぞれの行が1/1/2/3/5/8音節――で構成されたの定型詩を発表しています。
この詩の形式が標準的なFibの形式として、詩作する方にはまさに俳句のようにあつかわれているようです。
しかも、フィボナッチ詩を「Fib」と記したので、呼び名の定着の一端になったのでは、と思われます。
ちなみに、「Fib」。
略称や呼称ではなく、通常の単語としても使われており、意味は「嘘」です。
The Fib Review
しかし、そんなFibなんて作られてないだろう、と思うじゃないですか。
調べてみるとビックリした。
なんと、フィボナッ詩ばっかしのサイトが存在しております。
「The Fib Review」。
創刊は2006年の秋。
そうです、Pincusさんの詩が発表されてわずか数ヶ月のスピードなのです。投稿でFibを募集しており、年3回(夏・秋・冬)更新。
2024年9月現在最新では夏の48号を刊行。
掲載されたFibの総数、
685篇
ななななんという数でしょうか。
標準的なFib形式以外にも、さまざまな形式(増減したり単語の数など)のFibが作られています。
締め
ということで、今回はフィボナッ詩を紹介しました。
いや、まさかこんなにたくさんあるとは思わなんだ。
次回もなんか探してみます。
では。