人の繋がり知財分析

特許の書誌事項には権利者として企業名、発明者として人情報があり、人の繋がりを分析を見るために良く利用されています。
今回はソーシャルネットワークを考察するエンベデッドネス理論に当てはめします。

エンベデッドネス理論とは、ビジネスは取引先、投資家、融資先、顧客、従業員など「人と人の関係性のネットワーク」の範囲内で成立し、その影響を受けながら意思決定を行っていることを説明します。つまり、人脈やネットワークに注目する理論です。

知財では共同出願により他社の外部関係性を分析しています。

日本の系列企業

三菱○○など名前が似ていたりして、知財担当は名寄せに困りますが、企業グループは共同出願も良くしています。

元マツダの延岡一橋大学教授が自動車メーカーのサプライヤー分析していて、系列が日本の強みだと言っていました。少し前の再編前ならトヨタ自動車にアイシン精機、トヨタ紡織、アドヴィックス、アキュームレータを作る会社に、ネジ1つを作る町工場までピラミッドが作られています。

今ではその製品をドイツなど欧州のメガサプライヤーから納品されており、共同出願にもそれが表れています。自動運転を構成する装置はCONTINENTAL、BOSCH、バレオなどが席巻しているのが出願件数にも現れはじめています。

Googleが自立走行のウエイモをやってたとき、スタンフォード大学とカーネギーメロンとの共同開発や卒業生の流入が特許調査から現れたと聞いた記憶が有ります。

共同研究

自動運転でも使われるAI認識SenseTimeの知財分析を過去に調べたときのデータです。

通常、特許調査で炙り出すのですが、技術領域によっては論文調査を行います。

中国が誇る認識システムの企業としてSenseTimeの論文調査を日本特許庁のHPで行いました。

主な共同研究先 中国以外の大学⇒企業>

KAIST:7 高次元カラー変換と局所空間支援による顕著な領域の検出

University of Sydney:6 量子化模倣:物体検出のための非常に小さいCNNに向けて

南洋理工大学:6 University of California San Diegoと共同、顔認識のための大量未標識データにおけるコンセンサス駆動伝搬

大阪大:3産業技術総合研,KAIST(7)と2件共同もあり WRS2018におけるピッキングのフレームワーク

和歌山大2件

残り一件だが相手が有名な企業群。

NAIST,滋賀大学

University of Toronto

Carnegie Mellon University: 姿勢誘導型人間ビデオ生成

MIT CSAIL,Samsung Telecommunication Research

The State University of New York

Univ. of California at Irvine

University of California at Merced,Tencent AI Lab

Singapore Management Univeristy

台湾大学、Texas at Austin

Google

IBM T. J. WatsonほかUS大学と共同

Facebook Inc., 慶応大学

本田技術研究所

Intel Labs

OMRON Social Solutions :ヒト走行検出:ベンチマークとベースライン

NVIDIA Research

ちなみに論文を見ていくと海外では無いですがテンセントグループが目立ちます。

Tencent AI Laboratory/YouTu Lab,/Holdings:9

http://chizai-patent.jugem.jp/?eid=79&pagenum=3

名だたる所と、共同研究していたと分かります。

人の繋がり

ソーシャルメディアの人脈として、PayPalマフィアが有ります。

このペイパルマフィアは、13人が映った一枚の写真から言われだした。

著作権の関係で、下記の記事を直接見てほしいのですが、PayPalの関係者はその後、名だたる企業に関わります。

外部出典:

このメンバーが作った企業が凄い。

画像1

このような繋がりはユニコーンの生態にも大きな役割を果たし、ベンチャーキャピタルや連続起業家、エンジェルの一員です。

自分たちが創業したPayPalで作ったノウハウと、人脈を使ってエコシステムと言えるぐらい協力して、資金も出し有っています。

他のベンチャーへの投資家もここが入って居るなら安心感が有り、1つのブランドです。

AIのマフィア

なお、安宅さんのプレゼンで有名になったディープラーニングのカナディアン・マフィアは苦節何年間を経て花開きました。

冬の時代にも地道に開発を続け、ディープラーニングを開発して、分析精度のコンテスト荒らしをして世の中を席巻します。ディープラーニングが入れば株価が上がる風潮まで作りました。

2018年度のチューリング賞受賞者でもあります下記の3名が有名です。

ジェフリー・ヒントン Geoffrey E. Hinton:Google Brainエンジニアリングフェローとトロント大学教授を兼務。

 ヤン・ルカン Yann LeCun:Facebookの人工知能研究所所長、ヒントンの研究室に博士時代所属した。

ヨシュア・ベンジオ Yoshua Bengio:モントリオール大学教授、AT&Tベル研究所にて、ルカンとベンジオは一緒でした。

このカナダに師事した人々が今の活況を支えています。

外部出典:


自分にエンベデッド

過去の資料とエンベデッドですね。


色々調べ物をしていたと感慨深いです。

知財分析をしながら、新たな視点を探していますが、人の繋がりは最低限しか分からないというのが実感です。

Aさんと、Bさんが仮にある出願の発明者に名を連ねても、何処まで開発に関わっていたのかは不明です。

有名な話として、トヨタ自動車のハイブリッド自動車プリウスの開発者を特許分析したら、Cさんがヒットします。しかし、この方は知財担当なんですよね。

特許としては他社にとり痛い部分を権利化をしていますが、開発に何処まで関わるのか不明です。

フェースブックなどSNSの繋がりを見た方がリアルな繋がりは分析出来るだろうし、

GPSの具体的な位置関係をプロットしたら、物理的な接触も分析出来るだろうと思います。

日本では倫理的な話で出来そうに無いですが今回のコロナ感染対策で、感染者の訪れた場所でアラートを出したりしています。

何か遠い分野の情報と知財の人の繋がりを組み合わせて見るのはブルーオーシャン、かもしれないでしょう!


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