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代打の神様の引退

教員時代、正教員ではなかった僕は、常に誰かの代わりでしかなかった。

毎年誰かの代打を教育委員会から頼まれ、言われるまま働いてたら、産休代理で3回、病休で2回入り、9年で小中高に特別支援学校など15校を巡り、小1から高3までの生徒を教えていた。

経験にはなったし、これが本当の野球なら、ベンチから少ない出番で確実に結果を残す玄人好みのプレイヤーだ。
ファンから代打の神様と呼ばれていたかもしれない。

だが、ユーティリティよりスペシャリストが必要な教育界では、採用試験に受からない限り、代打の神様はいつまでも「代打」以上の存在にはなれない。

それに気付いて絶望していた僕が、今は転職後5年も同じ企業で働いて、無期の正社員になろうとしている。

36歳にもなってこんなことで喜んでちゃあいけないんだけど、これは僕の人生の中で、とても大きな一歩だ。

僕はもう代打じゃない。
誰の代わりでもなく、僕が必要とされているからここに居る。
働きたい場所で、働きたい人達と、やりたい仕事ができている。
その喜びと自覚を持って、残りの会社員生活を送っていきたい。

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