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【回想録】フィレンツェでの居場所が出来てくる中、将来を模索する日々。

留学の際、常にネックとなるビザや滞在許可証。
イタリアに関しては留学開始時にはもちろん学生ビザの発行を日本でする必要があります。
そしてイタリア到着後、EU圏の滞在許可証を申請するのですがイタリア留学・滞在中はこの滞在許可証がすべてのベースとなります。
取得した学生ビザの種類によっては日本に帰国することなくイタリアの滞在許可証を延長・更新することによって滞在が可能。
自分の場合も1年目は1年のみの学生ビザでしたが2年目以降、2回目のビザ取得の際は延長可能なタイプで最長4年間まで滞在が可能でした。

イタリアに残りたいという気持ちがあれば学生としてとりあえずは残る事が出来るんです。

家具修復の仕事は修復するものとの巡り合わせもあって長くいればいるほど数多くの経験が出来ます。
技術はもちろんですが何より様々なコンディションの修復経験が欲しいという気持ちでいっぱいだったので師匠の工房に通いつつ自分でもアンティーク市で家具を購入して自分で修復するというのを繰り返していました。

そして毎年滞在許可証を延長していく中、友人の紹介で椅子張り職人の工房に通うことになります。

家具修復は基本的に分業で椅子やソファなどを修復する際、木部のフレームは師匠のような修復工房で磨きまで仕上げて椅子張りの工程は専門の工房で作業します。

自分は椅子張りの工房で木部の修復の担当をしながら、あいた時間で木象嵌の作品づくりもさせてもらうという理想的な環境でした。

その工房はアデルというエジプト出身の職人さんが一人でやっていて最初に「こんなものは出来るか?」ということで箱の塗り直しと革張りを試験的に課題として出されて自分はそれを一晩で仕上げてすぐに合格。
アルバイト的な感じで作業をさせてもらうようになりました。

エジプト人の親方は30年以上フィレンツェで椅子張り工房を続けているやり手の職人でとにかく商売が上手い。
椅子張りの技術はもちろん、外国人がフィレンツェで生きていく術など本当にいろいろなことを勉強させてもらいました。

この頃には自分の技術もかなり安定してきていたので木部に関しては自分がプログラムを組んで修復する、親方は椅子張りをするという工房内での完全分業で仕事としてすっかり任せてもらうようになっていました。

フィレンツェに着実に居場所が出来ていく中、この先どうしていくか?という事を具体的に考えるようになっていきます。。。

続く

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