動物園を減らせ!動物好きな旅人が思う日本の動物園の問題点
今週も来週も来月も動物園に行くほど、動物大好きな僕。
これまで国内外100を超える動物園や国立公園を旅人として訪問してます。
最近はTwitterやInstagramといったSNSで発言することで、たくさんの繋がりが増えてとても楽しいと感じています。新しい知識や意見を得ることは面白い。
そんな中、下記のような投稿を目にする機会も増えました。
ごもっともな意見が多く、アニマルウェルフェアの考えが浸透してきたなと感じています。
実際に僕もこのような発言をしたこともあります。
2020年には動物園、どう思う?という朝日新聞によるアンケート調査も行われ、動物園に対する国民の考えや価値観を理解することができました。
一方で、SNSやアンケートは匿名での発言が可能であり、また愛が強すぎるが故の過剰すぎる意見もあり、モヤモヤをかかえることがあります。
そして一番のモヤモヤの原因は、皆さんの発言に対し「日本の動物園の問題はそこじゃない」と僕自身が思っているからです。
本記事は皆さんの意見に反対するモノではありません!
世界と日本の動物園を旅し、そして観光業界に6年ほど携わっている僕から見た日本の動物園の問題点を述べたいです。
それは、「数が多すぎる」そして「入園料が安すぎる」という点です。
世界と日本の動物園の数
世界にどれくらいの動物園があるかご存知ですが?
1,000~10,000以上と言われており、正確な数値は誰にもわかりません。
なぜなら動物園という定義自体が非常に曖昧だからです。
動物を飼育している場所=動物園と仮定すると、遊園地のふれあい広場や牧場、カフェや保護施設なども入ってきます。
そのため日本の動物園の数も漠然としています。
しかし、日本動物園水族館協会(JAZA)というものがあるため、そこに加盟している園数を日本の動物園の数と置き換えることができると思います。
この90という数、みなさんはどう思いますか?
これまで日本と海外の50を超える動物園に訪問した僕が思うに、この数は“非常に多い”と感じました。
「動物園、国名」という形で旅中に検索し、訪問先を決めてきましたが、
動物園がない国や国に一つしかないなどは日常茶飯事です。(その分野生動物天国だったりしますが)
一方で日本は、大体の人が車で1時間行けばJAZA加盟の動物園に行けるくらい点在しています。
ではこの90という数は実際に多いのか。世界各国の動物園の数を調べてみました。
動物園の多い国と動物園密度
「世界 動物園の数 ランキング」「Countries with many zoos 」というキーワードを検索すると多くの結果が表示されます。
しかし、結果はてんでんばらばら。
前述したとおり、どこまでを動物園とするかで数値に大きく違いがでます。
各情報共に何を基に計算した数値かはわかりません。
ただどうやら、アメリカ、ドイツ、日本、フランス、オーストラリアの5ヶ国は動物園の多い国であろうということがわかりました。
そこで、日本の動物園の数を前述のJAZA加盟数の90とし、上記5ヶ国の動物園協会に加盟している園の数で比べてみることにしました。
その結果、
一部目視や独断と偏見で計算したため多少のブレはあるかと思いますが、
1位:アメリカ 163園
2位 :日本 90園
3位:フランス 87園
4位:オーストラリア 65園
5位:ドイツ 56園
という順位になりました。
また動物園密度を計算すると、
日本が堂々の1位となりました。
“2,000km²の動物園密度”という数値がわかりにくいかと思いますが、東京都(2,194 km²)にいくつあるかという風にとらえていただきたいです。(それでもわかりにくいかと思います。すみません)
アメリカの約15倍、ドイツやフランスの約1.5倍、オーストラリアの約24倍。
今回の計算に含められなかった動物園や動物園か否か不明な施設を計上した場合でも、国土の大きさを踏まえると、日本もしくはドイツが動物園密度世界1位という結果はおそらくぶれないでしょう。
日本は「世界で一番動物園に行きやすい国」であるということがわかりました。
世界各国の動物園入園料
続いて、世界各国の動物園の入園料を調べてみました。
海外の動物園に行き始めた頃は「高いなー」と思っていたのですが、訪問数を重ねるごとに「あれ、もしかしたら日本が安すぎるのでは」と疑問を抱えたので、満を持しての調査です。
前述の5ヶ国の主要な動物園(都市部、歴史ある、有名など)に加え、シンガポール動物園やシェーンブルン動物園といった世界の動物園ランキング上位の園、実際に僕が訪問したことある園を調べました。
その結果は下記の通り。
調べた動物園の入園料を平均すると2762円となりました。
アフリカや南米の動物園は物価が低いので安いですが、物価の近い国(先進国)の中ではあまりにも安すぎませんか?
日本は「動物園の入園料が安すぎる国」と定義づける証拠としては十分かと思います。
いつでも行ける。安く入れる。
「世界で一番動物園に行きやすい国」「動物園の入園料が安すぎる国」
この2点が引き起こすこととはそう、「地元の動物園で満足してしまい他の園に行かない」「いつでも簡単に安く行けるがゆえ旅行中に行かない」ということ。
近くの安い動物園のみで満足する人や旅行中に現地の動物園を訪問しない人が増えます。
旅行先で美味しいモノがたくさんある中でマクドナルドを食べる人や近くに安いスーパーがあるのにもかかわらず、わざわざ2時間かけて違うスーパーに買い物に行く人は数少ないかと思います。
これこそが日本の動物園の問題点ではないでしょうか。
誰も来ない→入園料が入ってこない→資金難になる→施設改修ができないといった負のループが続きます。
寄付文化が浸透してない日本の動物園の収入源は、1/3が入園料、2/3が自治体のお金と言われています。税金の使い道も問われる今、資金集めは非常に苦しいのではないかと思います。
動物園を減らせ。入園料を上げろ。
そこでタイトル通りの話になります。あくまでも僕の個人的な意見かつ机上論ではありますが、動物園を減らし、入園料を上げるというのはどうでしょうか。数を減らすことにより必然的に希少性が生まれるからです。
希少性というのを言い換えると、そこにしかない景色、そこでしかできない経験があるということ。そして、そこに人は集まり、お金を落としていきます。
今現在、旅行や地方に行った際に訪れたいと思われる(観光地のひとつ)となっている施設は、動物園だと北海道の旭山動物園や東京の上野動物園、水族館だと沖縄の美ら海水族館、大阪の海遊館くらいでしょうか。
希少性を出すことで「私の住んでいる地域には動物園がないから旅程に加えよう」「せっかく○○方面に行くなら寄ってみよう」という意識は増えるのではないでしょうか。
またそれに伴い入園料を挙げるのはどうでしょう。
ディズニーがどんなに値上がりしても、USJがどんなにオプションを付けても、そこでしかできない体験なのでお金を厭わないですよね。
おわりに
色々と書いていきましたが、僕は動物園が大好きです。そして無くならないでほしいです。できれば今ある園は全て残ってほしいとは思っています。
動物園は五感をフル活用し喜怒哀楽を感じれる場所です。
絵本やテレビの中の動物が間近で広がっている場所です。
可愛いや綺麗といったことに加え、汚いや臭い、恐いといったマイナス感情も抱ける場所です。
動物保護やネイチャーガイドといった活動に従事するきっかけになる場所です。
そして、人が集まることにより、周辺の交通機関や宿泊・飲食事業の活性化にも貢献できる場所です。
しかし、造りや雰囲気が酷いところ、資金難の一面を見るとすぐに閉園すべきだと感じる場所もたくさんあります。
ITの発達により、動物園に行かなくとも自宅で動物を簡単に見ることができる時代です。
時代に淘汰されないためにも、動物園業界も今こそ取捨選択が必要なのではないでしょうか。
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Mamo|動物に会いに日本と世界を巡る旅人
Twitterでは日々思ったこと、Instagramでは国内外動物園の備忘録を投稿中!
世界の国立公園・動物園の情報サイト「Zooっと旅しよう!」もぜひ!
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記事を書いてみての気づき
①動物園存続のためには?
言及した通り、希少性を持たせることが重要だと思います!各園の特徴をインターネットで調べると「アジアゾウが人気」「ふれあい広場がある」といった文が多いです。しかし、そんなのはどこの動物園にもあります。少しひねりを出してでも、その動物園“だけ”の特徴を作る、そしてアピールすることが大切です。
実は僕、観光系のマーケティング会社で働いてます!「観光(旅) × 動物 ×マーケティング」という自身の経験やスキルを活かし、何か動物に貢献できないかなとこの頃思っています。もし興味ある動物園関係者様、動物関係者様いらっしゃいましたらぜひお話の機会いただきたいです!TwitterまたはInstagramのDMよりお気軽にどうぞ!
②海外の動物園の公式サイトにはほとんどの場合Topページ上部にDonete(寄付)ボタンがある
逆に日本の動物園のサイトに付いているところは見た限りだと無かったです。文化の違いはありますが、最近はクラファンなども浸透してきたので、付けておくに越したことはないのではないでしょうか?
③無料の動物園
公立の動物園で無料な場所があるのは日本くらいかなと思っていましたが、アメリカのSmithsonian’s National Zoo(スミソニアン国立動物園)やフランスのZoo de Lyon(リヨン動物園)など、海外にもありました。
④Association of Zoos and Aquariums (AZA)
アメリカ動物の園協会ですが、シンガポールのSingapore Zoo(シンガポール動物園)や韓国のSeoul Grand Park(ソウル動物園)も加盟していました。
⑤都道府県の動物園の数
中部エリアの県が多いとのこと。
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