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AI時代のキャリア論
2023.1.4 初稿
はじめに
2022年11月30日、Chat GPTが全世界に無料で公開され、瞬く間にユーザー数100万人を突破しました。
↓簡単にアカウント登録出来るので、ぜひ試してみてください。
https://chat.openai.com
何気なく触ってみたところ、その精度、正確にはAIの進化スピードと、それにより近い将来起こりうる激変について直観的に脅威と焦りを感じました。
従来のキャリアプランが数年後には無価値となり得る未来を見据え、一度自分の中で整理と咀嚼をする為にこのnoteを執筆することにしました。
想定されるシナリオを構造的に捉え、新時代のキャリア地図を再定義する事を本記事の目標とさせて頂きます。
「AIに積極的」「経済合理性の追求」という態度で話を進めていくので、
より現実的なシナリオにアップデートするため、人間の可能性やAIの限界をベースにした意見を頂けるとありがたいです。
出来るだけ多くの人に見て頂きたいので、煽るようなタイトルにしてしまい申し訳ございません。
この記事のスコープ
AI化が進んだ社会における、キャリア論の方向性の定義をゴールとします。生産活動の焦点を明確にした上でAIの特徴を整理し、その構造の中でキャリア論へと話を進めていきます。
AIに関連した論点はたくさんあると思いますが、話をシャープにするために、以下の論点は割愛します。
・未来の新サービス予測
→メタバースやブロックチェーンを活用したサービス等、テクノロジーの発展に伴う新領域は考慮せず、あくまでも既存の生産活動内のAI化を対象とします。
・AIが社会に与える脅威
→ロボットを使ったテロ行為やAIによるフェイクニュースの蔓延など、AI活用の裏で様々なリスクが発生し得ると思いますが、今回はAIによる生産性向上のみに焦点を絞ります。
・機械学習や深層学習の深い技術論
→私は技術者では無いので、AIの全体像や仕組みを捉える努力をし、技術者でない一般人でも理解できる構造整理に注力します。
・AI化に対する善悪や感情論
→善悪や感情論には立ち入らず、経済合理性(社会便益)を突き詰めた際に起こりうる未来を推測します。 ので、人間の可能性に基づいたご意見を期待しています。
生産活動の焦点
どのような生産であれ、ベースの単位をプロジェクト(PJ)と呼ぶことにします。
・PJの集合体:PJ ∈ 事業 ∈ 企業 ∈ マーケット
・PJの細分化:パーツ ∈ ユニット ∈ PJ
のように、一般的に生産は(良い悪いではなく)上流ほど複合的で継続的になり、下流ほど単一的で断続的になります。
例えば、サイト制作というPJは、上流側は設計/ユニットの品質管理が仕事で、下流側は、コード実装・イラスト納品等になります。
主にTo Bの世界では、PJの提供価値はQCD:Quality(品質)Cost(コスト)Delivery(納期)と言われたりもしますが、
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「安く」「即時に」「何パターンも」大量生成できるAIにCostとDeliveryでは人間はAIにまるで太刀打ち出来ません。
つまり、AIの対象領域では人間はQualityで勝負するしか無いのです。しかも、価値はQCDの総和なので、CとDの劣勢を挽回する程のQが必要に..
※人間[Q]> AI [Q + (CDの優位差分)]
AIが対象とする領域
論を単純化するために、AIは人の思考/動作を全て実現可能と仮定します。
※思考:AIソフト、動作:AIを搭載したロボット
本記事では、全て実現可能という極端な仮定をおき、そこからAI化の例外や社会への浸透要因を探す手法をとります。
AIがあらゆる領域で人以上の能力を持った時、QCD全てAIが優位となり、『人である事に価値がある』場合を除き、全ての生産がAI化します。逆にどんなにAI化が進んでも人領域は安泰だと思います。
「人である事に価値がある」とは、
・音楽:ライブで好きな歌手との相互作用
・飲食:感情に寄り添うスナックのママ
・販売:顔馴染みで信頼出来る人からの購入
・育成:尊敬する人からのコーチング
・スポーツ:生身の人間のぶつかり合い
など価値の源泉が人である場合のことです。
次の話でAIの進化スピード/フェーズのイメージを持って頂いた上で、現実に即したAIの対象領域を絞り込んでいきます。
AIの進化スピード
AIは、非連続的かつ指数関数的に成長します。
トヨタ式「カイゼン」のように、PDCAによる連続的成長とは異なり、ある日突然、人間を超えるAIが登場し急速に普及していきます。その理由は大きく2つの特徴があるからです。
・オープンソースの精神
グローバルなネット社会では有益情報の拡散土壌がある上、AIの技術世界ではオープンソース(コードの無償公開)が善とされており、ネットを通じて革新的な技術が全世界に一瞬で伝わり、枝分かれして発展した技術が幹を更に太くします。
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・クラウドによる学習
ある領域のAIが実用的なレベルになると社会実装されていきます。AI群はクラウド上でつながり、N乗の学習データを共有する事になります。そのため、社会実装後も急速に精度を向上させていきます。
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まとめると下記のようなイメージで、その日は突然やってきます。
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AIの進化フェーズ
各フェーズでAIの領域を広げながら、AIは3段階のフェーズに分けられると考えています。
各人がAIの向かう「ベクトル」と「スピード感」をイメージし、妄想でも感覚でも仮説を持つ事が適応の第一歩だと感じています。
現在のAI精度から「たいしたことないな」と切り捨てる態度ではなく、X年前→現在→Y年後の時間軸を持ちましょう。
正確な未来は誰にも予測出来ない大前提はありますが、技術的計算に基づいた年表仮説はbioshokさんがまとめているのでこちらが一番参考になるかと思います。
やっとAIの未来について、書き終わりました!!
— bioshok(INFJ) (@bioshok3) November 5, 2022
様々なレポートや予測サイトや専門家アンケート、他最新のAI動向を外挿して10年後のSF的な未来は信じられませんが、ほぼ来るだろうという結論です。
その他、汎用人工知能、超知能、ちょっと聞きなれないかもですが一般化知能の実現時期推定もあります! https://t.co/cU3y2w0OEW
AIの領域拡張のイメージとして、WEB広告の運用をあげます。
WEB広告運用は、勢いのある市場価値の高いスキルでした。しかし、現在では人間よりも自動運用の方が成果が出つつあり、プランニングではなく、自動化のための設定作業がメインになっています。
このように、人間の領域は一つずつ価値を低減させていきます。
AIはあらゆる生産世界を飲み込み、自動化され拡張を続けながら、AI領域では補集合的な仕事を人間が手伝うことになります。
そのタイミングでAIが出来ないこと、ウーバーが配送を人間に任せていたり、sansanが名刺入力でAI+人力を使ってるように、自動化が実現するまでのサポート的な仕事が生まれます。
前置きが長くなりましたが、各フェーズの説明をさせて頂きます。
①ツールとしてのAI(急速進行中)
特定分野で人間よりもAIが優位な領域が増えます。いわゆる「狭いAI」と呼ばれているものです。領域を限定して学習をさせている為、学習スピードと精度が高い一方、汎用性は低いです。
・思考:AIソフト
囲碁、翻訳、イラスト、楽曲作成、記事作成、本の要約、アバター作成、医療診断、コーディング...
・動作:AIを搭載したロボット
3Dプリンタ、災害用ロボ、積み込みロボ、窓口ロボ...
など各分野で急速に技術が進んでおり、2022年時点で人を凌駕する分野がチラホラ出てきてます
やまかずさんが最新のAI情報を沢山発信しているので過去ツイートを遡れば現時点での領域とレベル感がつかめるかと思います。
倫理/責任/投資対効果などで進まない事はあれど、「ツールとしてのAI」は後述の2次元的世界であるため、原理的にほぼ全ての領域で実現可能と考えています。「ツールとしてのAI」に不可能な領域があればぜひ教えてください。
オープンソースにより「画像生成AI」という大きな幹が生まれ、「日本テイストの画像生成AI」などニッチな領域に枝分かれするように、幹から枝が生まれ、更に幹を太くしていくという循環が生まれるはずです。
②エージェントAI(推定2027〜)
ツールとしてのAIでは、特定の枠内という制約がありますがAGI(Artificial General Intelligence)と呼ばれる学習モデルから未知の情報を推定可能な汎用的AIが出現します。
人間は仕事を進める際、課題を抽象化し過去の類似経験と照らし合わせ、推測を根拠にアプローチをしていきます。AIが人間の代わり(エージェント)として仕事をするには推論の能力とデータセットを持つ必要があります。
個人的な整理にはなるのですが、「ツールとしてのAI」から「エージェントAI」に進化するためには2次元→3次元のブレイクスルーが鍵になると考えてます。
<2次元 AIのイメージ>
・問いに対する、知識を動員した解の導出
・演算世界における、統計的分析による確率の高い手法の選定
・大量の情報を特徴量に溶かし再構築する事によるパターン生成
・コマンド操作の延長戦上にあるロボット活用
平面的で機能的で抑揚がなく、AIで完結されたイメージの世界です。
これらは正確性や精度に改善の余地はあるものの、既にある技術の延長線上なので間違いなく実用可能レベルになります。(既に各種難関試験に合格したり、実用可能な創作物も出てますが)
しかし、この延長線上で精度が上がったAIが完成しても、世の中の仕事の多くを任せられるイメージが出来ませんでした。しばらく考える中で至った結論は「文脈」の有無です。
現実世界のビジネスでは、背景情報(時代、社会情勢、商習慣、過去の取引…)や相手の理解(パーソナリティ、期待値、関係性…)など
様々な情報を統合して文脈とし、文脈に提案を乗せて精度を上げます。つまり、2次元的AIの延長線上にある「WHAT/価値」を、「WHO/文脈理解」に沿った「HOW/生産」に変換する必要があります。2次元的AI+「文脈」をAGIの成立条件と仮定します。
しかし文脈理解に関する学習データに極めて少ないため、以下の順番で社会からのFBを得ながら精度を上げていくと考えています。
1.人間の平均IQ程度の2次元AIの社会実装(2024~)
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上図はAIの学習データ量の分布図ですが、2024年に人間(30年間)のレベルに到達します。
2次元的世界では人間の平均IQ以上の大規模言語モデルが登場し、(Chat gptも大幅なアップデートを確実に実施する事を発表しています)人間はビジネス理解に基づいた文脈をAIに与え生産を始めます。
AIの進化スピードで述べたように、社会実装後はクラウドで学習データが共有されるので、新たに文脈データが業界/職種ごとに蓄積されていく事になります。
2.文脈を理解した3次元AIの社会実装(2027~)
文脈データの蓄積によるモデル生成は(完全に感覚ですが…)2~3年で一旦社会実装され、精度を上げていく形になるんじゃないかなと思います。
生産価値が文脈にどれだけ依存するかを高依存/低依存とすると、低依存のPJ/職種からAIによる自動化が始まります。
③AIエコシステム(推定2032〜)
後述しますが、AIに生産が置き換わった領域からAIエコシステム(経済圏)が作られ、取引もAI同士で完結するようになると考えています。
※②から少し遅れて③が同時進行するイメージです。
データベースに商品・サービス群のスペックが登録され、過去の取引実績が信頼値として格納され精度の高い評価経済圏が成立します。to CにおけるEC的世界観に信頼度や実績が掛け合わされるイメージです。
メーカーにおける工場長のように、人間はAIエコシステムにおける全体のプロセス/リスク管理を行います。資本側/経営側、マネジメント、高度に文脈的な仕事に従事する人などが残り、生産の当事者としての従業員は極限まで減少します。
技術的には既に可能なのでAIの3次元化に進めば、合理性の重力により否応なくこのエコシステムに吸い込まれていきます。
AI化が進んだ社会制度
AIによる生産が進んだ世界では大量の人間が職を失います。※2次元的AIが人間の平均IQを超える2024年~増加する?
AI社会の成功側からその人達へ富は流れないので何かしらの社会的再分配の制度が必要になります。
一つはAIへの課税+ベーシックインカム(BI)です。
AIの生産に対して税をかけ、BIによって最低限度の生活を保障します。
失業者は補集合としての仕事、もしくはAIへデータを食わせる仕事で追加で安定的な金銭を獲得します。
経済合理性を無視した趣味的領域で突き抜ける人が稀に富を獲得します。(YouTuberのニッチでディープな領域のように)
日本でもBI制度の議論は既にされてますが、必要に迫られて初めて導入が進むと思います。でないと、社会が維持出来ないので。
AIの普及スピード関係する要因
ここまで、「技術が成立する=社会に普及する」と単純化しましたが、現実には社会への普及スピードに影響を与える要因が存在します。
資本側の論理で、[便益>コスト]となった際にAI導入は進みます。一方で、[合理性の働き]の程度が影響を与えます。
※普及スピード=[技術革新スピード]×[ 便益 ]×[ コスト ]×[ 合理性の働き ]
①AI導入による便益
AI [Q + (CDの優位差分)]>人間[Q]
※生産活動の焦点を参照。
・Cost(コスト)Delivery(納期)の影響
従来の生産活動において人間が、高コストで長期間ほど代替の便益は高まり、低コストで短期間ほど代替の便益は低くなります。
よって、高度な専門知識や思考力をベースに高いFee制を敷いているような職種は代替インセンティブが高いです。
・Quality(品質)
技術革新スピードの話に包括します。
・AI化による生産性の伸びしろ
労働集約的では無く、既に半自動的に富を生産している企業はAI化による便益が小さいと考えられます。
②AI導入にかかるコスト
AIによる生産体制に移行するコストを指します。当然コストは安いに越した事はないですが、長期の視点で投資対効果が合えば導入に踏み切ります。
・デジタル<リアル
デジタルでは、ソフト導入などコストが限りなく低い場合が多く、リアルでは、ハード(ロボット)にコストが発生します。多くの場所(店舗等)に導入が必要でコストが上がりやすいです。
・グローバル<ローカル
世界各国に生産物を提供しているという事ではなく、中央集権的/画一的な世界をグローバル、分散的/多様性的な世界をローカルとします。
規模の経済により導入あたりのコストはグローバルほど低減します。
③AI導入への合理性の働き
・規制の壁
専門性/信頼性が高レベルで必要とされ、AIの導入に行政の許可が必要なものがあります。自動運転や外科手術ロボット等、人間に危険を及ぼす可能性がある領域は社会実装に時間を要します。
また、士業等の資格産業を中心に(あくまでも最終責任者は)AIに代替される事はないでしょう。
・競合参入の壁
AIを導入した高生産性の競合他社が出現しなければ、自社でAIを導入するインセンティブが弱まります。カルテル的業界、初期コストが高すぎる業界など、一部の業界は外圧的なインセンティブが働きにくいと考えます。
AI時代の生存戦略/前半
AI時代は資本家の力が強まります。労働力は安価で高性能なAIによって代替され、極度に効率化したシステムで資本を増強します。
具体的な生存戦略を記述する前に、以下を前提とします。また、KPIは生涯賃金とします。
①ポジションの減少と供給過多
スピードの差はあれど、生産のAI化により大量のポジションが消滅するので、マクロで見れば労働力の供給過多と過当競争が起こり、リストラor賃金低下に重力がかかります。
その為、ポジションの耐用年数を重要視します。
②現在のキャリア論に関して
市場価値を軸にスキルのかけ算やT型人材などの考え方が主流ですが、本記事では時代に逆行した立場を取ります…
先述のようにスキルは陳腐化する運命にあるので、AIに代替されにくい業界選定を重要視します。
③その他注意点に関して
スコープの章で断りを入れたように既存の枠組みで検討します。宇宙やメタバース等の新産業は伸びると思いますし、AIを活用したサービスやコンサルも伸びると思います。逆境を逆手に取り、新産業に挑戦する循環が生まれて欲しいです。
以上を踏まえ、生涯賃金=ポジション耐用年数×労働競争倍率とします。
※上記に、業界/職種平均年収を各人でかけてください。
AI時代の生存戦略/後半
ここまで述べてきた構造に基づき、下記の図にゾーニングしました。生存戦略としては大きく4つあると考えています。生涯年収の期待値が高いと考える順番から説明していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1672749037335-585P5Rk7IU.png?width=1200)
①延命(AI化が遅れるゾーン)
ここで職種は考慮せず、AIの導入が遅れ、ポジション減少の小さい業界を選定します。
職種よりも業界の方が構造として強靭なので、マクロの視点では、最も期待値が高いです。
◎AI化による伸びしろが小さい
・資本により利潤を稼いでいる
先人達によって土地や資源に投資が行われその運用益で給料が支払われている企業は、労働生産性とは異なるロジックが働いているのでしばらく安泰だと考えています。
コンテンツIPなども一つの資本だと思います。
例:総合商社・大手デベなど。
・自動化が既に進んでいる
工場で生産の自動化を進めているメーカーなどは既にビジネスモデルにおける生産性は高止まりしているのでネガティブな影響は限定的だと思います。
むしろ、宣伝や物流など外部委託だったものがAI化によるコスト削減で筋肉質になるはずです。
例:メーカー全般
◎その他AI導入のインセンティブが小さい
・リアル/ローカル/人件費が高くない
1か所あたりの生産額が大きくない場所では、ロボットの導入のコストが見合わないため、ロボットが安くなるまでは導入が進まないと考えています。
例:工事現場や店頭接客など。
・規制/競合参入の壁が高い
いわゆるインフラ的企業や既得権益側など、外圧が小さく生産と収益が安定している業界です。
これらの業界は保守的な企業が多く、AI導入よりも現状維持に重心がかかります。行政的サービスもこのカテゴリに含まれると思います。
例:通信・鉄道・公務員など。
②回避(AI化が進まないゾーン)
AI化が進まないゾーンは大きく2つあると考えています。
・『人である事に価値がある』
営業やサービス業など人対人で仕事をしていた領域で、合理的(機能的)な領域は減少し、情緒価値がコアなポジションは維持されます。
KWは以下の3つだと考えています。
・confidence(信頼感)
→営業マンへの信頼+機能的価値の理解により発注がなされますが、AI社会では、信頼≒発注に近い領域が残ります。
機能的価値の比重が大きい領域は、合理的選択が可能なため、価格コム最安値サーチのようにAIが自動判断をするようになります。
複雑で合理的判断が難しい保険投資商材や高単価で営業への信頼感が後押しになる不動産など、特に高単価to C向けの営業は残りやすいと考えています。
→生産では無く、組織マネジメントの話にはなりますが、AI社会では非常に不安定な組織になるため、従業員の心理的ケアやモチベーション維持が重要になります。
・hospitality(もてなし)
→人は人にもてなされる事に喜びを感じます。機能的価値をコアとするホテル/カフェ/フライト等は厳しいですが、高級ホテル、スタバ、秘書などは人が残り人がいる事自体が上質さの証になります。
・presence(臨場感)
→人間の不完全さに価値が生まれます。人の揺らぎや高揚や空気感など生身の人間である事に人は共感します。モデルやアーティスト、スポーツ選手などいわゆるタレントはこの領域に属します。保育や教育など、子供の成長にとってもpresenceは重要だと思います。
・『高度に文脈化された職種』
3次元的なAIも発達すると思いますが、時代や社会を深く読みトレンドを作るPRのプロフェッショナルや新たなストーリーを創造するシナリオライターなど、高度に文脈化された職種まで代替できるとは考えていません。
また、一人の消費者からインサイトを掴むマーケター 、上顧客の歴史や特性を深く理解している百貨店外商など、個別文脈が重要な職種も人間が担い続けると考えています。
③適応(AI化が進むゾーン)
経済合理性の外圧が強い業界で、早期にAI化が進み、社内失業者が大量に発生します。
不要な仕事のための仕事を生み出す人、AIの使用をさぼりだと非難し反AIに巻き込む人、非常にカオスな世界線になると思います。
大前提AIリテラシーは重要ですが、以下の2点が鍵になると思います。
・高度なビジネス理解
AIツールの使用は割と直観的に出来るので、AIリテラシーだけでは差がつきません。
ビジネス文脈にAIの生産をカスタマイズし、高速なアウトプットを出せる人材が社内外で評価されます。
・社内評価
実行はAIによって代替され、マネジメント的なポジションのみ人間に残されるので、非常に熾烈な席の取り合いになると思います。
いかにAIに適応した人間であるか、社内でのアピールや政治を出来る人間が優位に立ちます。
つまり、元から仕事が出来る人の中でAIに適応した人が勝つ世界です。市場価値と言っている場合ではなく、社内価値をいかに高めるかという前時代への揺り戻しが発生します。
特に日本企業の場合、どこまでリストラが進んでしまうか分かりませんが、生存出来た場合、現在よりも高い給料をもらえるのではないでしょうか。
④解脱(競争社会からの脱脚)
資本主義の競争からおり、生涯年収ではなく、幸福度をKPIにします。
生活コストの低い地方に住み、未来では無く今を楽しみ本当にやりたい仕事を選びます。10年15年待てばどのみち多くの職は無くなりBI制度に移行するので。
親族や友達と助け合い、シェアリングエコノミーを活用し、AI社会による恩恵を得れば限りなく生活コストを削減出来ます。
自動運転や3Dプリンタでの格安住宅の実現を待ち家計に合わないローンを組むのは待ちましょう。来たる時代を待ち貯金をインデックス投資に回し家族と趣味に没頭します。
投資に対する幸福のリターン期待値が最も高く合理的な判断だと思います。
AI社会への反論
AI社会に対するアンチテーゼとしてよく耳にすることをいくつかあげていきたいと思います。
「人間は高い次元の仕事に移行する」
→部分的に賛成、総論では反対です。生産物に対する期待値の上限が存在するので高次元=高価値とは限らないのです。
TVが4Kから8Kになったり、コンビニでホテル並みの接客を受けても価値を感じにくいです。一方で、教育のインタラクティブ性向上など高次元に移行すべきものもあります。
家電量販店によるライフスタイル提案、広告代理店による経営戦略提案など、事業単位で見た際も上手くいってない印象です。
「クリエイティブな活動に集中する」
→ 一昔前の言説です。
むしろ、デザイン・音楽・コピーなどから代替可能なクオリティになってきています。曖昧さの許容度が高いクリエイティブ業務は実はAIと相性が良いのです。
皆が価値があると認識するから価値がある、ブランド力がある人の作品だから売れるという世界は変わらず存在すると思います。
「IT化で失業者は増えなかった」
→IT化とAI化は全く異なる概念です。AI化はラッダイト運動が起きた、産業革命に伴う機械化の普及に近いです。
IT化の本質はデジタル次元の生成と効率化(距離と演算)でデジタル世界構築が人間の仕事となりました。(リアルは小さく、全体のパイは大きく)
産業革命での工場内手作業の機械化に対しAIはリアル/デジタル殆どの範囲が対象となり得ます。
「政治や交渉こそが仕事である」
→従来の枠組みでは完全に賛成です。意思決定や設計を人間が担っている以上、人を巻き込み物事を進める力が重要だと思います。
しかし、そのプロセスをAIが担うようになれば合理的な演算によるプロセスとなる為、政治や交渉の出番は極めて小さくなります。
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