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DMBOK第10章参照データとマスターデータ

要約

マスターデータは、業務に関連する共通概念を表現し、顧客や製品などの詳細を含むデータです。マルコム・チズルムによれば、参照データ、エンタープライズ構造データ、トランザクション構造データから構成されます。
マスターデータ管理は、データの正確性とタイムリーな一貫性を保つことを目的とし、データ品質向上が重要です。参照データ管理は異なる機能で一貫性を確保し、データアクセスを保障します。
ガバナンスポリシーが整備されるなど、組織全体でのマスターデータと参照データの管理が必要です。

前章

前の章である第9章ドキュメントとコンテンツ管理はこちらです。

一般的な知識

マスターデータとは

マスターデータは、業務活動に関連する共通概念を抽象的に表現することにより、その活動に意味を与えるデータです。顧客や製品、従業員、ベンダー等の組織内と外部で業務上の取引に関わる実態を記述した詳細が含まれます。

マルコム・チズルムによるとマスターデータは以下のようなものをまとめて構成されています。

・参照データ
・エンタープライズ構造データ
・トランザクション構造データ

参照データとは

参照データとは他のデータを分類するためのデータです。
例えば、コードとそのコードが表す意味を持ったテーブルが参照データです。それは単に組織が持つ、他のデータを装飾したり、データベース内のデータと外部組織の情報と関連付けたりするために使用されます。

エンタープライズ構造データとは

例えば、勘定科目表であり、業務活動報告に使われたりします。

トランザクション構造データとは

例えば、顧客識別子であり、トランザクションが発生するときに、存在しなければならないもの、つまり製品顧客ベンダーを表します。


注文データの例(マスターデータ管理(MDM)より)

データ管理

DMBOKでは、主にマスターデータと参照データについて述べられています。

マスターデータ管理

マスターデータ管理は、マスターデータの値と識別子を制御して重要なビジネスエンティティに関する最も正確で、タイムリーなデータをシステム間で一貫して使用できるようにします。目的の1つとして、正確で最新の値が入手できるようにすることが挙げられます。

データ品質の上でも書きましたが、このマスターデータ管理に関しては、どの企業も最初に品質を上げるべき対象の1つになります。

参照データ管理

ドメイン値定義、項目定義、ドメイン値内とドメイン間の関係等を制御し、保守することです。 参照データ管理のゴールは、異なる機能間で値の一貫性と最新性を保障し、組織がデータにアクセスできるように保障することです。

データ共有アーキテクチャ

参照データとマスターデータの統合には、いくつかの基本的なアーキテクチャアプローチがあります。各マスターデータの対象領域には、独自の記録システムが存在する可能性があります。

マスタデータ管理アクティビティ

目的と要件の定義

組織によって意義と障害が異なります。システムの数と種類経過年数サポートする業務プロセストランザクションと分析の両方でデータがどのように使用されるかによって異なります。マスターデータ管理を進める意義は、顧客サービスや業務効率を改善する機会や、プライバシーとコンプライアンスに関連するリスクを削除する機会が提供されます
複雑性を考慮しながらマスターデータの優先順位をつけます。最も簡単なカテゴリーから始めることが推奨されます。

データソースの評価と査定

データソースを評価する1つの要素はデータの品質を把握することです。決してデータが高品質であると想定してはいけません。最大の課題は、データソース間の差異です。データは任意のソース内では高品質かもしれませんが、類似した作成が持つ構造や、値の相違により、他のソースからのデータと一致しない場合があります。

マスターデータの使用を強制するガバナンスポリシーの確立

ユーザやシステムがマスターデータを使用し始めると、運用効率や高品質より良い顧客サービスなどが見えるようになります。全体的な取り組みには、実際のシステムが業務処理の入力にマスターデータの値と識別子を活用するためのロードマップを含める必要があります。

参照データアクティビティ

目的と要件の定義

参照データ管理を進める主な目的は、運用効率とデータ品質の向上です。複数の業務部門が独自のデータセットを維持するよりも、参照データを一元的に管理するほか、コスト効率が向上します。参照データセットの中で優先すべきものが複雑な参照データセットになります。

データソースの評価

 ほとんどの業界標準参照データセットは、それを作成維持する団体から入手できます。仲介業者もまた参照データをパッケージ化して販売しており、付加価値機能が付いている場合もあります。組織が必要とする参照データセットの数と種類によっては、ベンダーから購入する方が安いケースもあります。 ほとんどの組織は内部で作成され、管理されている参照データに依存しています。マスターデータの場合と同様に参照データの内部ソースを特定し、比較し、評価する必要があります。

参照データガバナンスポリシーの確立

組織が中央管理の参照データリポジトリから恩恵を得ることができるのは、人々が実際にそのリポジトリからデータを使用した場合のみです。そのデータの品質を管理し、リポジトリからの参照データの使用を義務付けるポリシーを設定することが重要です。

まとめ

以上、参照データとマスターデータについて解説しました。

DMBOKの参照データとマスターデータについて特に重要な点を解説しました。ただし、非常に量が多いため解説していない部分が多々あります。詳細は本書を手にとってみて下さい。


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