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個人的な『展覧会の絵』回想

短文バトルのおすすめにて比喩として紹介してから、久々に聴きたくなったり当時の記憶がいろいろ掘り起こされたので書くことにした。


実は、この曲をちゃんと聴いてみようと思った最初のトリガーは、音ではなくゲーム作品からだった。

小学生~中学生の頃、夢中になってやっていた東京創元社のゲームブックシリーズ。ゼビウスやドルアーガ三部作など、IP(当時は移植と称される事が多かったですね)作品もさることながら、気鋭の作家によるオリジナル作品も充実していた。

ドルアーガ三部作の刊行の合間に発行された本作。ムソルグスキーの『展覧会の絵』に登場する絵画と、楽曲の構成をステージ構成に置きかえ、斬新なゲームシステム(剣と魔法ではなく唄、チュートリアルの章なしで進めるetc.)が出色のパラレルワールドファンタジー。

熱量の高さにすでにお気づきかもしれませんが、夢中になって何度も遊んだ大好きな作品です笑。

で、何かにハマると関連情報を追いたくなるギーク体質のため、原典である楽曲もフルで聴きたくなり、当時クラシックのCDを買いあさっていた父に頼んで、買ってもらったCDがこちら。


父親の好みもあるだろうが、後年これも結構な名盤だったと知った。カラヤンとベルフィルという鉄壁の布陣なので「安牌」と思って父は選んだのかもしれない。ボレロをフルでちゃんと聴いたのもこの盤から。アルバムを流しながら、ゲームブックの該当シーンを読み返しつつサントラのようにして幾度も聴いた。


冒頭のプロムナードを聴いた瞬間、「あ、栗きんとんのCMで使われてたやつか」と思い出した。お菓子や人形の久月など、その後もよく音効的に使われることが多い。

近年だと「ナニコレ珍百景」の答え合わせ場面で使用されている「キエフの大きな門」も本作に収録されている。


本稿を書くにあたり聴きなおしてみた。当時の僕が勝手に思い込んでいた、重厚長大なカラヤン演奏(結局は楽曲によってだろう)だけでなく、やわらかな音運びやポップな解釈も散見される。また、旧作はデジタルリマスタリングされて、音質が変化することが多いが、配信版は小学生の頃にCDラジカセや安いイヤフォンで聴いていた時の印象をそんなに変わらなかった。

ということは、一番最初の録音が既に相当良かったという事なのかもしれない。







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