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初めて聞いたときに良さが分からないアルバムは、年を経てその良さが分かったりする

こんにちは。

先日こんな記事を読みました。

この記事は、要約すると、「名盤ともてはやされているOK Computerを聞いたらさっぱり良さが分からなくて、レディへを避け続けていたが、その後BendsとKid Aを聴いてドはまりし、その後OK Computerの攻略の糸口を見つけた」というものです。

これに僕は驚きました。僕は真逆だったからです。

僕もご多分に漏れずOK Computerの評判を見て聴き、ドはまりしました。そしてBendsを聴いて「これもいい!」ってなった後、Kid Aで大挫折したのです。
暗いし、展開は単調だし、何がいいのこれ?ってなってしまいました。

ちなみにこれは多分理由があって、この記事には

このアルバムを最初から絶賛する人はおそらくそれなりに難しめの音楽を経験したうえでほめていることが多い。

と書いてあるのですが、その通りで、この頃の僕はプログレを好んで聴いていたため、展開が変わりまくるParanoid Androidなんかは大好物だったのです。
一方、エレクトロニクス音楽は全然聴いておらず、ポストパンクなんかも触れていなかったので、シンプルに暗い音楽というのは全然なじみがありませんでした。

その後長い時を経て、Joy DivisionとかTalking Headsとかも聴いてから、ようやくKid Aを愛するようになったのです。
(その癖微初心者編でKid Aを勧めているのですが、現代音楽に触れている人にとってはそれなりに聞きやすいのと、音楽史上絶対欠かせないからです。)

今日はこのKid Aのような、初めて聴いたときには良さがさっぱりわからなかったが、その後はまっていったアルバムをいくつか紹介します。


その1:Queen is Dead / The Smiths

最近聴いているアーティストでも、名盤の条件でも紹介しているThe Smithsです。

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Queen is Deadはその代表作で、僕が出会ったきっかけは、同級生でThe Smithsが好きな子がいたのと、NMEというイギリスの雑誌が、このアルバムをイギリス音楽史上2番目に重要なアルバムとしていたからです。

イギリスというのはロック大国で、まずビートルズがいますし、The Rolling Stones、David Bowie、Oasis、The Whoなど、数々のメンツを抑えて2位なのですから、これは半端ないんだろうなと思ったんです。


そして実際聴きました。盛大に挫折しました。

The Smithsの持ち味である、ふわふわしたサウンド、陰鬱な演奏、変な声、全てがかみ合わなかったのです。

そして僕はいろんな音楽を経て、留学中にこのアルバムにドハマりします。
きっかけは、歌詞を理解したからです。

当時の僕は歌詞をかなり軽視しており(今でもさして重視してないですが)、音的に好むものばかりを聴いていました。
しかし、色々なところでThe Smithsの歌詞のすごさが語られているのを見て、Queen is Deadの歌詞を見てみることにしたのです。

そして感動しました。
僕は自身をぱっと見陽キャ、中身陰キャだと思っているんですが、そんな陰キャ心理を完ぺきに表現していたのです。
イギリスの情勢が今の日本とそっくりだったこともあり、若者の不満や不安がうまく表現されていました。
そしてそれがまた、音とピッタリだったのです。

こうしてThe Smithsの沼にはまって以降、留学中に聞きまくり、なんと全曲歌えるまでになってしまいました。ちゃんちゃん。


その2:Pet Sounds / The Beach Boys

しばしば名盤ランキングで超上位に位置するアルバムです。

僕はこのアルバムを初めて聴いてドはまりする人なんてこの世に存在しないとさえ思っているほど難関なアルバムです。
とにかく情報量が多いです。サイケであり、ポップであり、ロックであり、アメリカのロックにおける様々な文脈における最高到達点って感じです。

コンセプトアルバムでもあるんですが、特筆すべきはやはりそのサウンドです。
ロックに、まるでオーケストラのような重厚な音作りを加え、全体の厚みを大きくしたのが特徴です。

僕がこのアルバムを初めて聞いたのは小学生の時だったと思います。
もう2曲目で挫折しました。

Wouldn't it be niceは結構ポップなんですけど、You Still Believe in Meは退屈だったんです。展開遅いし、ふわっふわしていて、とらえどころがなかったです。そして4曲目のDon't Talkでとどめを刺されました。

今では、The Smithsほどドハマりはしていないものの、素直に大名作だと思います。
きっかけは、音楽史をきちんと整理してから聴いたことです。

というのも、この作品は後に与えた影響が大きすぎるのです。
ビートルズの最高傑作と呼ばれるRevolverやSgt. Peppersはこのアルバムなしでは出来ていませんし、Eric Claptonや、日本でも山下達郎や桑田佳祐など、枚挙に暇がありません。

で、そういう影響を与えたアルバムを聴いてから、このアルバムに戻ってみると、「あ、こういう部分がインスピレーションを与えたのか」というところがたっくさんあるんです。
そしてこのアルバムが当時如何に新しかったか、そしてこのアルバムが如何にそういうピースの宝庫であるかに気づくのです。そういう意味で本当に情報量が多いアルバムです。


その3:Rumours / Fleetwood Mac

もうあり得ないほど売れたFleetwood Macの代表作です。邦題は「噂」

初めて聴いたのは中学生の時だったと思います。
最初受けた印象は、「確かにいい曲多いけど地味だしアルバムとしては雑多じゃない?」というものでした。

しかし、このアルバムはいわばスルメ的で、聞けば聞くほどその雑多さにはまったのです。
要はWhite Albumみたいなものです。
当時、Fleetwood Macはメンバーの仲が最悪で、それが却って個性の発露に至ったらしいです。そういうところもWhite Albumに似てますよね。

確かに華やかではないです。
歌詞も結構暗いです。

それでも、個性がそれぞれ全然違うところにぶっ飛びながらも、良質なポップソングたちが多数入っている、そんな感じのアルバムで、気づいたら大好きになっていました。

このアルバムを特に好きになったきっかけが、留学です。
留学しているとき、ヨドバシカメラみたいなところで働いていたのですが、その時の同僚が19歳で、年が近いので仲が良かったです。
そんな彼が一番好きなのがFleetwood Macで、単刀直入に魅力を聴いたんです。

そしたら彼は、歌詞は暗いのにポップで、いろんな種類の曲があるところ、と答えました。
これは端的ながらその通りで、これこそがFleetwood Macの良いところだと思います。


まだその域に至っていないアーティスト

そして現在進行形で、良さがまだ理解できていないアーティストを何組か挙げます。

・Tame Impala
現代のサイケロックとしてとても評価の高いバンドです。
そもそもあんまサイケを聴かないのと、他のサイケバンドに比べて特別何が優れているのかよくわかっていない

・Taylor Swift
言わずと知れた人、カントリーの要素を取り入れたポップが特徴です。
そもそもカントリーをあまり聞かないので、ポップアーティストの中で特に退屈に思えてしまいます。「Mine」という曲は結構好きです。

・Frank Zappa
まずシンプルにディスコグラフィが多すぎて追いつきません。何から聞けばよくわからず、聞いてもとらえどころに困ってしまっています。

・Drake
2018年に一世を風靡し、今もHipHopの代表格ですが、特にスキルも高いとは思わないし、リリックもイマイチはまらないです。
同年代ならKendrick Lamarとかのほうが断然好きです。なんでこんなに売れてるんでしょうか…

・The Cure
The Smithsは大好きなくせに、同年代で並列に語られることの多いThe Cureはいまいちピンときてません。
単純に聴いた量があまり多くないので、今後好きになる可能性がこの中だと一番高いかもしれないです。

この辺の人たちも年を経れば良さが分かるかもしれません。

というわけで結論としては、もし聞いてみてそんなに好きじゃなかったら、数年置いてから聴いてみてください、ということです。
案外そっからドハマりしたりします。


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