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"言葉の重さ"で遊ぶパーティゲーム『コトバグラム』ができました

コトバグラムという新しいゲームができました。11月25日から全国で発売予定です。

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これまでテストプレイや体験会で、色んな人たちに色んな場所で楽しんでいただけているので、どうやらいい感じに仕上がってます。

本noteはそんなコトバグラムが具体的にどんなゲームで、どんなアイデアから生まれて出来上がっていったのかをまとめます。

同じ「1万円貸して」でも、誰に言うかで"重さ"が変わる

コトバグラムは"言葉の重さ"の違いをつかって遊びます。

"言葉の重さ"とは、人が誰かにあるセリフを言うとき、どのくらいの気持ちで言うかの目安です。言いやすいなら言葉の重さは"軽い"ですし、言いづらかったり言いたくなかったりするなら、"重く"なります。

たとえば同じ「1万円貸して」というセリフでも、お父さんに言うときと、友達に言うときでは、重さが変わってくると思います。それが、言葉の重さの違いです。

コトバグラムのプレイヤーには4枚セットの重さカードが配られます。カードにはそれぞれ、重い・重め・軽め・軽いと書かれていて、これをつかって言葉の重さを考えます。

重さカード

適当な方法で親プレイヤーを決めたら、お題を決めます。お題はセリフカードとヒトカードの山札をめくってできた組み合わせです。たとえば、セリフカードが「1万円貸して」でヒトカードが「友達」なら、お題は"友達に「1万円貸して」と言うときの言葉の重さ"になります。

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このときプレイヤーたちは、親プレイヤーが"友達に「1万円貸して」と言うときの言葉の重さ"を考えることになります。まず親プレイヤーがシチュエーションを考えて重さカードを伏せた後は、質問タイムです。親が想像したシチュエーションや背景に対して質問し、重さを特定しにいきます。

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質問が3回おわったら、親以外のプレイヤーたちは、親プレイヤーが伏せたであろう重さカードがどれかを考えて、自分の手札から場に伏せます。全員が重さカードを伏せたら親プレイヤーのカードをオープン。正解していたプレイヤーは親プレイヤーから得点チップをもらえます。これを親を変えて繰り返します。

コトバグラムは、チップによる得点方法がちょっと特殊です。得点チップはゲーム開始時にプレイヤー全員に配布されます。ただし、自分の色のチップはマイナスポイントです。他プレイヤーの色のチップだけが得点になるのです。

だからゲームに勝つためには、親プレイヤーになったときに他人に重さを当ててもらって自分のマイナスポイントを放出しつつ、他人の重さを当てて得点となるチップを受け取っていく必要があります。

よってこのゲームに勝つのは「他人の気持ちをよく分かっていて、かつ、自分を分かってもらえるように上手に自己開示できる人」となります。つまり、”いい人が勝つゲーム”なのです。

『愛してる』をてんびんで釣り合わせたい

どうやってこのゲームを思いついたのか。きっかけはよざひかるさんがデイリーポータルZで書かれた天才的な記事でした。その名も、"『愛してる』をてんびんで釣り合わせたい"。

どう考えても重たい『愛してる』というセリフは、どんな言葉を足し合わせれば同じくらいの重さになるのか。それをディスカッションして検証するという挑戦的かつ遊び心満載な内容です。

読みおわって、この記事からほとばしる“面白さ”は、ここだけにとどまるものではないと直感しました。"言葉の重さ"という概念の面白さは、様々な手段を用いて多くの人に届けられるべきだと思いました。そして、僕にできるのはゲームをつくることでした。

ちょうどそのころ僕は、よざさんが所属されているチョコレイトさんにDEATH NOTE人狼の件でよく伺っていたので、「記事が最高だったのでゲームにさせてください」と直接お願いできました。よざさんには快くOKをいただけ、心おきなく企画をスタートさせることになりました。

マトリクスを描いてカードを選定する

正直、記事を読んだ時点で、他人の言葉の重さを当てるゲームになるだろうとイメージできていました。よざさんの記事に、それくらい解像度の高い面白さが表現されていたのです。

僕がいつもゲームを考え始めるときは、なんらかの面白いと思えるテーマを見つけたら、その面白さを掘り下げる作業が発生し、それからどういうゲームにしていくかを考えます。しかし今回はその掘り下げがすでに済まされていました。

なぜ面白いのか、どういうときに面白いのか、具体的にはどのシチュエーションで面白いのか、といった掘り下げで探していく要素がすべて、記事のなかにつまっていたのです。

言葉の重さという概念に伴う面白さはつまり、他人の考える重さと自分の考える重さのギャップが見つかったときや、反対に意外にも合っていた時に生じます。それが最初から判明していたのです。だから僕はそれを再現するためのゲームのルールを考えればいいだけでした。

すこし大変だったのは、ヒトカードのヒトを探す作業です。

ヒトカードは、セリフを誰に対して言うかを示します。そこで探しで意識しなくてはいけなかったのは、明確な上下関係があるヒトの除外です。たとえばセリフを言う相手が「社長」だったら、大抵のセリフは重くなるんじゃないでしょうか。それではギャップも意外性もなく、ゲームの面白さは損なわれてしまいます。

そこで人間関係のマトリクス(下図)を書いてみたところ、蛍光ペンで囲んだ関係の相手に対して何か言うとき、言葉の重さにバリエーションが生まれるという仮説が立ちました。

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これをもとにしてヒトカードを選定することで、お題として登場したときに、人それぞれの価値観が如実に出てしまうゲームになりました。

勝ち負けだけじゃなく、お互いを知る面白さも

コトバグラムはポイント獲得で勝ち負けがつくルールにはなっていますが、プレイを通じてお互いの価値観やエピソードを知る楽しみもあります。

お題で出てきたシチュエーションが実際にあったことならつい語りたくなったり、実は兄弟がいたことを知ったり、意外なかわいさが見えたり。出てくるお題がランダムだからこそ、普段は話さないような話題が飛び交います。

初対面の人同士で遊んだら、飾らなくて親しみのもてる自己紹介になるでしょう。でも、もともとの知り合い同士で遊んでも、お互いをもっと深く知るきっかけになるはずです。

そんなふうに、幅広い年代や、様々な価値観をもった人が一緒に楽しめるようなゲームになったと思います。いろんな人と遊んでみてもらえたら嬉しいです。



ナイスプレー!