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安心してフィードバックをしてもらうために意識していること

仕事やプロジェクトを成功させるためには、フィードバックが欠かせません。そしてよいフィードバックをしてもらうためには、心理的安全が必要です。

心理的安全性とは、ざっくり言うと、「なにを言っても良さそうな感じ」です。しっかり言うと、「自分の言動が他者に与える影響を強く意識することなく感じたままの想いを素直に伝えることのできる環境や雰囲気」です。

グーグルが実施した労働改革プロジェクトにおいて、「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表されたことで、この言葉を覚えているかたもいるかもしれません。

参考:BIZHINT 心理的安全性

具体的にはどういうことなのか。たとえば、いまの僕の会社のなかでは、打ち合わせ相手の口が臭かったら即座に本人に伝えます。

普通は気まずいかもしれませんが、言われて対策すれば、その後の社外の打ち合わせ相手に悪印象を持たれませんし、対面で話す自分が不快な思いをせずに済みます。そして口臭に限らず、社内ではそういうことは積極的に言い合えるようにしようとしています。

僕らは大人ですから、何かを言う前に「これを言ったらバカだと思われないかな」とか「相手を傷つけないかな」など忖度してしまいます。こうした自分と他人の恥を恐れる感覚は、社会生活をつつがなく送るためには大事です。

ですが、それゆえに発言が制限を受けるケースがあるかもしれません。本来そこで出てきていたはずの素晴らしいアイデアが、出損ねてしまうこともあるでしょう。部下から上司はもちろん、上司から部下でも起こりうることです。

僕らの会社では、それを避けよう、と決めています。いい仕事をしたいからです。

心理的安全性のつくりかた

ぼくはボードゲームのテストプレイでも同じことを意識しています。心理的安全性を欠いたためにこうした忖度が起こると、致命的な欠陥を見逃すことになりかねないからです。

テストプレイの参加者の方々は、「遊びになる前の遊び」に協力してくれるという時点で、間違いなくいい人です。ですがそれゆえに、ゲームの欠点をビシバシ指摘するのが得意でない人もいるかもしれません。

加えて、ゲームを“作品”と捉える人もいます。他人が作った作品の欠点を指摘するなんて、とんでもない…と思う人もいるでしょう。また、指摘するにしてもきちんとしたコメントをしなければならないと思うかもしれません。

そうした状態から出てくるフィードバックは当たり障りのないものになりがちです。ですがいいフィードバックとは、殺意がないのに制作者の頭をハンマーでぶん殴って半殺しにするようなものではないでしょうか。死なない程度に、もういちど立ち上がろうと思えるくらいの体力を残して叩きのめす感じです。そういうフィードバックが、ゲームをいい感じにブラッシュアップしてくれます。

そこで僕がおすすめするのは、「テストプレイ用のコンポーネントを適当につくること」です。

むろん、適当につくるといっても、最低限遊べる程度の機能は担保する必要があります。ですが、テストプレイに参加する人が「こいつ、ガチでつくってきるな…」と思わないくらいにするのです。

ぱっと見で「まだテスト段階なんだな」「色々言ったほうがいいだろうな」とわかるようにすることで、忌憚のない意見をもらえるようになります。見た目から「何を言ってもいい感じ」(=心理的安全性)を出していくということです。

反対にガチでつくってきてるな…と思われてしまうと、「台無しにするようなことを言うのは申し訳ないな…」と思われてしまうかもしれません。

ここまでやる人はいないと思いますが、テストプレイ段階で全カードにしっかりとイラストが入っていて、あとは箱に入ってればお店にならんでいてもおかしくない、みたいな状態のものを持ってこられたら、「つまらないからやめたほうがいい」とは言いづらいです。

ゲーム制作の発注をしたクライアントであれば、意向と合わないものが提出されれば全ボツを宣告するのもやむなしでしょう。でも、利害関係のないテストプレイヤーがそれに近いことを言うのは、結構大変なのではないでしょうか。

ビジネス本によくあるアドバイスでも、「頼まれた仕事は、100点じゃなくて70点くらいで提出せよ」というものがありますよね。自分で回答して自分で採点した結果の”100点”が実際に100点なことはほとんどないので、ざっくり仕上げてさっさとフィードバックをもらえということです。ただそれは、フィードバック側の言いやすさ、も担保するんじゃないかなと。

めっちゃ気合いれて提出したら、フィードバックする側の人は言いにくいということが起こるかもしれません。仕事だけど、人間だもの。

というわけで、本番前に人に見せるものは本質さえ捉えていれば、わかりやすいツッコミどころを残しておく(心理的安全性を確保しておく)方が、結果的にいいものができるのではないでしょうか。ゲームでも仕事でも。

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