アイデア段階のボードゲームのルールブックをとりあえず書くためのテンプレ
新しいゲームのアイデアが浮かんだとき、とりあえず説明書を書いてみることがあります。
頭の中にあるゲームらしきものがゲームとして成立するかどうかを判定するもっとも早いやり方だからです。モックを作るよりも先のプロトタイピングとも言えます。
テキストに起こすと、ハッキリしないところが見つかったり、思いもよらない条件分岐が判明したりします。ライターの古賀史健さんが「書くことは、考えること」とおっしゃっていましたが、それは一般的なテキストに限らず、ゲームの説明書でも同様だと思います。書く過程で、「アイデア」が「企画」に進化することがあります。
本noteではそんな時に僕が使っている、とりあえず書き出すための説明書のテンプレをシェア&例を合わせてちょっと解説します。
コピペ用テンプレ
解説はいらんという方は、白紙ドキュメントに下記を貼り付けて見出しにして、それぞれ書き込んでいくとよいかと思います。
タイトル
ゲームの名前のこと。まだ影も形もないゲームなのでタイトルもつけようがないとは思いますが、項目としては用意しておくのがおすすめ。プロジェクトの呼び名にもなります。
ちなみに僕はほとんどの場合ゲームのタイトルをつけるのはゲームが出来上がってからになります。人間じゃないので、生まれる前よりも、育ててからつけた方が、体を表す適切な名付けができる可能性が高いという考え方をしているからです。
例:コトバグラム
言葉のゲーム(仮)
PTA情報
プレイ人数(Player)・プレイ時間(Time)・対象年齢(Age)というボードゲームではだいたい定められている3つの情報のこと。オインクゲームズ佐々木さんがPTAアイコンと呼んでいることから、僕もそう呼びがち。
これも作って試してみないとわからないですが、頭の中のプレイイメージでは何人が机を囲んでいるかとか、どんな人がやってるかをひとまず書いてみるといいと思います。
例:トポロメモリー
プレイ人数 2人〜 プレイ時間 5分〜 対象年齢 5才以上
ゲームの概要(ストーリー・世界観)
このゲームはどんなゲームなのかという説明のこと。誰かにこのゲームをざっくり説明するときに喋る内容を書きます。5W1Hを意識するといい感じ。XXだからXXしてXXを目指すXX人用のゲームです、など。加えて、ここがおもしろポイントだよというのを押し付けがましくない範囲で書くのもいいでしょう。解らないとことはXXでとりあえず埋めときます。
独自のストーリーや世界観がある場合は概要よりも先に書くケースが多いかと思います。
例:ジンクラフターズ
ジンクラフターズはジン職人になって巧みにボタニカルを組み合わせて素晴らしいジンを作るゲームです。
プレイヤーはジュニパーベリーやボタニカルを仕入れてジンを蒸留したり、蒸留所のブランド力を高めて評価を高めていきます。時には他の蒸留所の手助けをすることも、良い評判につながるでしょう。
そして、ゲーム終了時に最も多くの得点を集めていたプレイヤーが、当代一のジン作り名人として讃えられます。
内容物
ゲームに入っているコンポーネント一覧のこと。カードとかコマとかボードとか。ゲームを思いついたからには何をどれくらい使うかはともかく、何を使うかの検討はついてると思うのでひとまずリストを作ります。数は解らなければ「×たくさん」で乗り切ります。
例:架空のゲーム
プレイヤーカード×4枚
ゲームカード×50枚
ゲームボード×1枚
コイン×たくさん
ゲームの準備
このゲームを始める前にしなければいけないこと、並べたり配るコンポーネントの説明のこと。
内容物と続けて書くことが多いです。どんなものを使うか→どう使うか、という綺麗な流れになるからです。これを書いている途中で、もっと必要なものがあると気づいて内容物に戻ることもあるでしょう。
あと、僕は少し大きめのゲームだと、場全体の準備と、各プレイヤーの準備を分けて書くこともあります。
例:架空のゲーム
場全体の準備
・ゲームボードをテーブルの中央に広げます。
・ゲームカードをすべてウラ向きでよく混ぜて、山札とします。
・コインをすべてゲームボードの近くに置いておきます。
各プレイヤーの準備
・プレイヤーカードを1枚ずつ受けとります。
・山札からカードを3枚ずつ引いて手札とします。
・コインを3枚ずつ受けとります。
・適当な方法でスタートプレイヤーを決めます。
ゲームの流れ
このゲームはどういうプロセスで進行し、遊べるのかという説明のこと。1、2、3とステップに番号を振って順を追って書くのがよいでしょう。強度の低いイマジナリーゲームはここで崩壊します。ちょっとした関所です。
反対にここがきちんと書けたら、面白いかどうかはともかく、手続きとしては成立しそうだという見込みが立ちます。
例:架空のゲーム
このゲームはラウンドの繰り返しで進行します。ラウンドは下記のステップで構成されます。
1.プレイヤー全員が山札からカードを1枚ずつ引きます。
2.スタートプレイヤーから時計回りで、手札からカードを2枚まで選んでオモテ向きで場に出します。
3.XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
3まで終わったら、1にもどります。
ゲームの終了・勝利条件
このゲームはどうなったら終わるのか、勝てるのかという説明のこと。概要欄でもちらっと触れておいて、改めてここで厳密な条件を書いてあげる形が親切かと思います。ちゃんと決まらない時は、こういうことやる人が勝つ!みたいなメモだけでも。
例:架空のゲーム
ラウンドのステップ1で誰かが山札からカードを引けなくなったらゲーム終了です。その時点でコイン所持数が最多だったプレイヤーが勝者です。複数のプレイヤーが同数で最多だった場合は、スタートプレイヤーから時計回り順に近い人が勝者になります。
細かいルール・Q&A
これまでの見出しの中で触れられなかったけど必要な情報のこと。例外処理やプレイヤーが迷いそうなところを補足します。
ぶっちゃけ頭の中だけにあるゲームでここまで書く必要はないと思いますので、これはのちに仕上げる時用の項目かも。
例:架空のゲーム
Q. 「あくま」のカードを複数のプレイヤーが場に出した時、効果はすべて発動しますか?
A .します。「あくま」のカードの効果は都度処理してください。
クレジット
ゲームに携わった人たちの記録のこと。アイデア段階では自分以外は不明ですね。
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はい、以上です。これが書き上げられたらモックを作ってテストプレイに進んでみるといいかと思います。そしてリアルな人間から得られる思いもよらないフィードバックと反応でゲームを磨いていきましょう。
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