激怒しながら複合機を買った日

　今週は、散々だった。

　事務所のクーラーが故障し、続いてファクス付きの複合機も故障した。最近は、ファクスなどは使わず、テキストも画像もメールで送る。ほとんど必要ないのだが、なかには時代に取り残された得意先もあるのだ。

　仕方がないのでヨドバシに買いに行った。

「写真がキレイにプリントできるのは、こちらです」

「写真をプリントだと!?　私がそんな助平に見えるのかねっ!?　失敬なっ。店長を呼べっ」

　ずっと汗だくになってイライラしながら仕事をしていたせいか、非常に怒りっぽい。箸が転んでも激怒するほどである。

　ブラザーの複合機を見つけた。コピー、プリンター、ファクス、スキャナが付いて15,000円である。しかも、自動原稿送りまで付いている。

「安い、安すぎるっ。おかしいっ。店長を呼べっ」

「ブラザーと言えばミシンだろがっ。どうしてミシンを付けて1台5役にしないんだっ。店長を呼べっ」

　他にめぼしい機種もなかったので、その製品を買って帰る。コンパクトに見えたが結構重い。指が千切れ、腕が抜けそうである。

　だが、途中で置いたりしたら、「あら、あの人、重くって休んでるんだわ。男のくせに力がないのね」などと思われるに違いない。くそっ。そんなことを思われてなるものかっ。

　電車の中でも手にさげたまま堪え忍び、汗まみれになりながら仕事場に辿り着くと、西日が入り込んで室温が36度である。そして、クーラーは故障中のままである。

　ついに頭が熱暴走した。

「このコードは、どこにつなぐんじゃーっ。ちんこかあっ。このインクは、どこに入れるんじゃーっ。ちんこの穴かあっ」

　30分ほどちんこちんこと叫び続け、ようやく接続は完了した。

　今日もエアコンは故障中だ。ファクスは誰からも来ない。