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飴村行『粘膜戦士』感想

短編集がめちゃくちゃ苦手という話と飴村行著作の粘膜戦士を読了したという話。

短編集が苦手。
300pの長編小説と5話入った短編集全部で300pなら圧倒的に前者。文庫本の300pが長編というかは別としてね。(今回の記事で「長編」と定義しているのは文庫本1冊以上の続いている物語のこと)

三津田信三みたいな作中作同士を繋げるような話とか、超怖い話シリーズ(平山夢明らが集めた怖い話紹介するで!みたいな語りが入るからモキュメンタリーみたいなもんだし)みたいなのは平気。
色んな短い話を読んだ結果わかる真実〜みたいなのは好きだし、SCPも好きなんだけどSS集とか短編集が苦手。独立した短い話として、たとえば新聞のコラム的に乗ってたら問題ない。不思議。
きっと何かを気負ってるから、かなと思う。
短編苦手なんだよね〜というと普通逆じゃんってな具合の反応をまぁ十中八九うけるから私はかなりのレアケースなのかなぁ。
(と、思ったけど全然先人もいた)

長編は「あらあら作者こんなに風呂敷広げて…どう持っていくつもりかしら…えぇ〜…!?こんなんあり!?頭良すぎんか?!」ってなりたいから読むみたいなところがあって、終わりのカタルシスを求めて長い間付き合えるけど短編って肩透かしをくらいがち。
よっしゃ、お前の物語に最後まで付き合ったらァ!
みたいな気持ち?って言うのかなそういうのになりにくい。

(まぁ長編でも全然そんな気にならないやつもあるけど…)

粘膜シリーズ(飴村行:作)は章分けされてはいたけど1冊の中では主人公や視点は変われど続き物で、最後に向かって話がまとまっていくのが気持ちよくて(私は人間蜥蜴兄弟は読了済み)、粘膜戦士もそうだろうと思いこみ、短編だと知らないで読み始めたから(裏面とか前評判とかよく読んでなかった)一話の途中まで読んだあたりで「それ短編集やで」ってフォロワーに言われた瞬間情熱が無くなってしまって読むのに3ヶ月ぐらいかかってしまった。
そのぐらい短編に対して苦手意識がある、本当になんでかなぁ。

星新一を母親に押し付けられたことがあって50本ぐらいのSSが入ってるものだったんだけど読むのが嫌で嫌で仕方がなくて(星新一の話がつまらないって意味じゃない)10本読んだあたりで誇張でもなんでもなく涙が出たことがあった。とにかく苦手。
adhdの特性に集中力のなさがあるんだけど、短編は読めない、長編は読める!ってのは不思議だ。過集中のなんたらかんたらもはいってくるのかなぁ。

そんな短編嫌いな人間が粘膜戦士を読み終えた感想としては「粘膜人間を読んでたから(あるいは読む予定があるなら)読んでよかったと感じる」かなぁ。
私忘れてたけど松本ニキと清水きゅん(推しキャラ)って粘膜人間に出てたらしい。そういや居たかも〜…ぐらいの記憶しかないけど特に1話目と6話目は冷静に考えたら粘膜人間のあいつって…っていう物語の深みを感じた。
もちろん粘膜人間のキャラ以外も出てくるし、全く関係がない話もある。(別に悪いとは思わないけど、かなり独立した短編だった柘榴と肉弾はやはり気が重かった)
ほとんどの話が他の巻のスピンオフみたいな感じだから、続きとか後日談とか前日譚として楽しめたけど、結局のところ、長編の続きみたいな感覚で読んだから何とかなった、みたいなとこはある。

かと言ってシリーズの中で初めて読むのに粘膜戦士が適してないかと言うとそうでもなくて、
戦士が出てから6年間、粘膜シリーズの新刊は出なかったから、6年間ずっと最新刊だったのが粘膜戦士。

最新刊は短編集だから読みやすいからとりあえず試しに読んでみて!

みたいな状態にしやすいからマーケティング的にも正解な気がする。(私みたいな短編嫌いは少数派だし)
戦士読んだからもっかい人間読むか〜みたいな気持ちに既読者がなってるんだから、戦士→人間→蜥蜴…ってよんでいく人にも向いてるし、優しい。
出版社やるじゃん、賢いじゃん。

手書きの読書ノートがだいぶん前から止まってたけど久々に編集社と筆者両方が面白い小説を読めてよかったから記入しようと思う。
今年中に消化したい積読がまだ5冊以上ある。
この勢いで粘膜探偵も読んでしまいたいな。

他に思いついたことがあれば加筆するかもしれない。


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