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ある日会社に行ったら会社が倒産してた話。

博士を卒業してすぐアメリカの大学で四年間ポスドクとして勤務し、その後アメリカの農業系企業(従業員200人程度、アメリカ・ヨーロッパ・中国・インドに拠点を持つ)に就職。コロナ禍でオフィスの大半はWFHになったが、ラボだけは通常稼働していた。

その日も普通に会社に出勤して朝の会議に出席した。会議は和やかな談話から始まり、その後上司の一言で場は凍り付いた。

「皆さんに報告しないといけないことがあります。今日、会社は死にました。」

『ん・・・・?会社が死んだ・・・?と、と、倒産!?』と、会社が倒産したという意味を理解するのに数秒かかったが、こうして私は突然アメリカで無職になった。

倒産に至った経緯はコロナ禍で投資家の状況がよくなくなったなど色々あったようだが、CEOがライバル会社に引き抜かれてそれに怒った投資家がもう投資しない!と資金を切った事が最後の一撃になったよう。2018年度には$14.7 ミリオン(16億円ほど)投資があったようだけど、それも今日はゼロ。

上司と一緒にCFOは会議で怒涛の謝罪をしてた。アメリカに住んで5年。アメリカで白人の男性にあんなに頭を下げられたのは初めてだった。

勤めて11ヶ月。研究ベースをにした微生物活性剤を作ってた会社。アメリカのみならずヨーロッパ、インド、中国などにも進出してるそれなりの規模の会社だった。アメリカ研究所の研究チームは活発に研究し、特に揉め事もなくうまく回ってた。私は分析主任として毎日ICP-OESやLC-QTOFなどを駆使して植物体など様々なサンプルを分析してた。論文も書き出してる最中での倒産。いいデータも出てたのでもったいないなという一言に尽きる。

会議で会社の倒産が言い渡されてから、みんなでラボに戻ってラボの片付けを開始。サンプルやら廃液処理やらで大忙し。結局片付けは2日かかった。

愛用のLC-QTOFとも今日でお別れ。内蔵ポンプが調子悪くて200万円ぐらいかけて替えたばかりだったのにね…。なるべくシャットダウンしないよつにしてきたLC-QTOF、でも今日は減圧してシャットダウン…。名残惜しくてLC-QTOFにハグした。君は今まで扱ってきた機器の中でもあまり文句を言わずもくもくと分析したいい子だったよ…次の使用者にも可愛がってもらうんだぞ…。

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さて会社が倒産した時の事務的(Benefit、FSA、失業保険や有給・給与支払いなど)な内容も記したいと思います。

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