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見せない写真

妹とカフェに行くときは、フィルムカメラを持っていくようにしている。照明やインテリアに工夫を凝らした店が多いため、普段は見られないような美しい瞬間に出合えることがあるからだ。

例えばケーキを食べるなら、綺麗な状態の皿を写真に収める。
この日は窓際の席で光がよく入り、皿に載ったものの艶や柔らかさが鮮明に写すことができた。妹は二枚の写真を見て喜んでいた。

妹のガトーショコラ、豆乳ラテ
私のチーズケーキ

盛り付けた皿が綺麗なのは一瞬で、実は空っぽの器が目に入ったまま過ごす時間が一番長いのではないだろうか。
美しい光景ではないものの、何かがその上や中にあった名残りが、会話に有限の楽しさを与えているような気がして、私はチョコレートソースを崩した跡がある皿や泡が沈んだカップを、妹の袖越しに写真に収めた。妹はその写真を見て首を傾げていた。

私が目を向けた先

もしかすると、同じように妹が私の目の前のテーブルを撮って見せてきたなら、私はそう綺麗なものじゃないと首を捻っていたかもしれない。いや、見せてくれなくていいのだ。

#写真が好き

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