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2024/03/21

私のぼやけた目には大抵光が眩しく映るので、昼過ぎの電車に揺られながら、駅のホームの内包した光がコンクリートを介して反射した魚の鱗のように、照らされて、今日もまぶたを下ろす。春が苦手になったのは、いつも置いていかれる方だと気づいてからだ。イヤホンの中にはmol-74と今でも桜で埋まった用水路が流れている。雨のように降り注ぐ桜色。歩道橋の上で踊るように歩く。いつも良い匂いがしていたパン屋さん。走馬灯のように、すべてが過去になることに気づく時、大抵わたしは壊れるために生きている。サ

    • ショートショートnote 2024/02/01

      出たカードを題材に、5分でショートショートをつくってみる。 ① スベリ 涙 究極の革を求めて、各地を渡り歩く。 どうしても必要なのだ。普通の革ではいけない。彼は焦っていた。究極の革はいつになっても見つからないのであった。 彼は靴職人であった。どうしても最高の靴を作らなければならない。なぜなら彼の人生がかかっている。 彼は、人生の転換点である大舞台で、すべってしまった。大ゴケにコケてしまった。彼は自分の靴の滑らかさを求めるがあまり、スベッスベの靴を作ってしまったのだ。 結果

      • 就活ブリッジ┏( .-. ┏ ) ┓

        就活しながら、 授業出て バイトして 課題やって 資格とか勉強して 友達と遊んで 恋愛して サークル出て 楽器練習して 趣味もたのしむし 家族と関係良好で たまに旅行とかもいって みたいなことが できる人ばっかりのように思える。 実際はそうでないのかもしれないけど。 私は、一度にひとつのことしかできない。 なにかしながらほかのことができない。 同時並行で全部うまくいくわけがなくて、 でもどれも落としたら割れちゃいそうな、 そういうこわさをかかえている。 一刻も早くこの不

        • 大事なアイシャドウなくした

          それはお気に入りで、 ちょっと高くて、 限定の色で、 大事にしてたアイシャドウ。 失くした。 すり減っていて思い出があるもの。 こんなことで泣きたくないって思いながら泣いている。 旅行に持っていった記憶はあって心当たりは全部探ったが、ない。 あ〜〜あ たぶんもう見つからない。 (この間、いろいろな回想が巡っている) たぶん大丈夫。どうにかする。 もう手に入らないであろうアイシャドウが写真の中で揺れている。 別に代わりはいくらでもある。 新しいの買う。

        2024/03/21

          ブタの青いTシャツ が嫌いだった -「かわいい」を知るまでの自分史-

          いくつの頃からだったのか定かではないが、 ピンクで可愛いものが大好きで、 身の回りのものは全部ピンクのものを欲しがっていた時期があった。 プリキュアや リカちゃんや シルバニアファミリーや うさぎのぬいぐるみ それに限らず机や筆箱、服なども。 柄などはなくていい、無地で濃くないピンクが良い。 ひかえめなピンクはかわいい。 白いレースが付いているともっと良い。 しかし親はよく 「ピンクならなんでもいいんでしょ」と言った。 あるとき親がショッキングピンクの動物がでかでかと描

          ブタの青いTシャツ が嫌いだった -「かわいい」を知るまでの自分史-