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【3分De論文】反転回旋法による安全で迅速な炭酸飲料へのとろみ付け

みなさん、こんにちは。
論文を読んで勉強したいけど、忙しくてなかなか出来なという方の味方、時短言語聴覚士STサクです。
今日は3分でこの論文を説明します。説明の後に理解を深める問題も用意しましたので、お時間がある方は最後まで読んでもらえると嬉しいです。
今日の論文はこちら↓↓

反転回旋法による安全で迅速な炭酸飲料へのとろみ付け
河内 雅章先生

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdr/26/2/26_147/_pdf/-char/en

概要

炭酸飲料にとろみをつけたい時、従来はトロミ剤を加えた炭酸飲料を振盪攪拌(左右上下に振る)し、一晩冷蔵庫で静置する必要があり、提供までに時間を要していました。この論文では、安全かつ迅速に炭酸飲料にとろみをつけることができる新しい方法として、「反転回旋法」を提案しています。

反転回旋法の方法

1.準備: 550mlまたは300mlのペットボトルに炭酸飲料を準備する。
2.とろみ調整食品の投入: ペットボトルを傾けて液体の表面積を広げ、とろみ調整食品(ソフティアS®など)を液面に均一に投入する。
3.回旋: 蓋を閉め、ペットボトルの底を机上に付けたまま円を描くように数回回旋させる。
4.反転回旋: ペットボトルを優しく反転させ、キャップ部分を机に付けたまま、同様に回旋させる。30秒から60秒間回旋を続ける。
5.静置: 回旋操作後、ペットボトルを反転させ、冷蔵庫または氷水中で1分間静置する。
6.提供: 静置後、開栓して提供する。

結果

・振盪攪拌法と比較して、反転回旋法では、より多くの量の炭酸飲料に迅速にとろみをつけることができ、開栓時の噴出を抑制することができた
・室温に放置すると炭酸とろみ水の温度は上昇したが、とろみ度合いに大きな変化はなかった。

考察

炭酸とろみ水の温度上昇は、とろみ度合いに大きな影響を与えないものの、嚥下反射の潜時に影響を与える可能性がある。誤嚥リスクを考慮する必要があり、提供するまで冷蔵庫や氷水などで冷やしておくことが望ましい。
結論として、反転回旋法は、従来の方法よりも安全かつ迅速に炭酸飲料にとろみをつけることができる画期的な方法であると言える。

終わりに

いかがでしたでしょうか?
私も前はペットボトルをブンブン振って、一晩冷蔵庫に放置するという方法で行っていました。
でも、この方法ですとトロミをつけてからすぐに飲めるので、訪問時にトロミをつけてその場で試すという事が可能になり大変助かりました。
また、この方法を思いついた経緯も書かれており、それも大変面白かったので、ぜひ原文も読んでもらいたいです。
皆様はどのようの感想を持ちましたでしょうか?


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この後に理解を深めてもらえるような問題を作ってみました。
お時間がありましたら、挑戦してみてください。
お勧めは、問題にチャレンジしてから論文を読むと、内容に興味がわき頭に入りやすくなります。

理解を深めよう

質問

  1. 従来のとろみ付け方(振盪攪拌)の問題点は何ですか?

  2. 振盪攪拌法と反転回旋法の方法の大きな違いは何ですか?

  3. 反転回旋法でとろみ付けを行う際、ペットボトルを上下に動かさない方が良いのはなぜですか?

  4. 従来の方法に比べ、反転回旋法はどのような点が良いですか?

回答

  1. 従来の方法では、前日から準備する必要があり、急な要望に対応できない点や、当日になって不要になった場合に食材やとろみ調整食品が無駄になってしまう点などが問題点として挙げられます。

  2. 嚥下障害のある患者にとって、炭酸飲料は誤嚥のリスクが高いため、とろみを付けて安全性を高める必要があります。

  3. 振盪攪拌法は容器を振って混ぜるのに対し、反転回旋法は容器を上下逆さまにして回転させて混ぜる点が異なります。

  4. ペットボトルを上下に動かすと、炭酸飲料内の気泡が発生しやすくなり、とろみ調整食品がダマになりやすいためです。

  5. 反転回旋法は、従来の方法に比べて、迅速かつ安全に炭酸とろみ水を作製することができます。また、炭酸飲料を飲みたいと思った時に、すぐに飲むことができます。医療従事者にとっても、作業負担が軽減され、食材やとろみ調整食品の無駄を減らすことができます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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