教育はJリーガーを豊かにするのか 井筒 陸也
先日、水戸ホーリーホックの "Make Value Project" で、僭越ながら、お話しをさせていただきました。
どんなことをお伝えしようかと迷ったのですが「井筒はJリーグを去って、ビジネス界で何を学んでいるのか?」をテーマに、がっつりプレゼンモードでやってきました。
ビジネス界のフリーザ(戦闘力が高い人)=自分の欲望を、ビジネスとして実行可能な単位まで因数分解して、実際に実行しまくれる人、とか
そもそもJリーガーは「積み重ねまくっていたらプロになれた」という成功体験を持っているので、フィードバックを前提にしたPDCAとか馴染みねえ、とか・・・
ビジネス界の門をくぐったばかりですが、比べてみてはじめてわかったことも多いので、僕なりに分析してみました。
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僕は、ビジネス界に飛び込んで、とても戸惑いました。イラストレーターが「明日から、ダンサーやってください」って言われるようなもので、フットボールとは 全然違うものだからです。
そして、いくらイラストレーターに「ダンスのビートにはこういうのがあって…」「アイソレーションとは…」と説明したところで、理解はできても、踊れるようにはならない。踊れるようになるには、自分が躍り狂うほかない、ビジネスは、ビジネスやらんとできるようにはならんのです。
同じように、ダンスの世界のことが、イラストの世界で生かせるか?と聞かれれば「生かせんこともない」が、ドンズバで「なるほど!」と膝を打つようなことを伝えるのは、無理。やっぱり、全然違うので。
だからこそ、この "Make Value Project" で何を話すべきか、非常に迷いました。ビジネス界の含蓄あるっぽい言葉を並べて「おお〜」とかは余裕ですが、その「おお〜」が、本当の意味で、選手の人生を豊かにするのかが疑問です。というか、そういうマウントの取り方は良くない。
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ZISOでもたびたび話題にあがりますが、ある一定のレベルまでは、大袈裟に言えば、努力の "量" の勝負です。努力が多いやつは生き残り、少ないやつは淘汰されていく、シンプルな競争です。
ただ、それがどこかのタイミングで頭打ちになってからは「努力すること」ではなく「努力することを選ぶこと」の重要性が高まってきます。"量" ではなく "質" の勝負になってくきます。
で、結局、努力の「質」とは、個別最適性だと思っていて、万人に平等に与えられた時間を、いかにして自分にとって最も価値の高い努力に投資できるか、です。
で、そうなってくると、個別最適性を高めるために、今度は「自分を理解する」必要が出てきます。しかし「自分を理解すること」は、古今東西の哲学者が挑み、破れてきた、人類に与えられし最難の設問やろがいと思って、この議論はここで迷宮入りです。
大人はサラッと「自分を理解することが大事」って言ってくれますが、簡単に言ってくれるなよ、大人。
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ただ、水戸がこのプロジェクトをやっていて、水戸の選手がこのプロジェクトに参加しているのは、この "質" というものの重要性に気づいているからです。直接的ではないにしても、これを繰り返すことが、クラブの、選手の、豊かさをつくることを信じているのです。他のジャンルから何かを得るのは難しい。それでも、そこに挑戦しているのです。
そのあたりを、より詳しく、ちょっと鋭く、例えば「試合の結果にはいつ結びつくのか?(あるいは結びつくのか?)」とか「なぜ、いま、それをするべきなのか?」みたいなことを、聞いてみたいと思います。
このプロジェクトを推進されている、水戸ホーリーホックのGM(ゼネラル・マネージャー)
最近まで、大ベテランとしてJリーグを生き抜いてきた、CRC(クラブリレーションコーディネーター)をお招きして、
「教育はJリーガーを豊かにするのか?」と、聞いてみたいと思います。
明日 6/2 (火) 20:00〜
ZISO TALK #13
「教育はJリーガーを豊かにするのか」
井筒 陸也(Criacao Shinjuku)
冨田 大介(水戸ホーリーホック)
西村 卓朗(水戸ホーリーホック)
配信URLは、ZISO公式Twitterより。
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