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抗いがたい 依存症ビジネス

数分の休憩のたびにSNSを確認してしまったり、せっかくの休日をyoutubeや連続ドラマの視聴に費やしてしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。私たちは自らの意思で行動しているように思えますが、現代の製品やサービスの数々には、私たちを依存症に陥れるテクニックが組み込まれているのです。ここからは、依存症ビジネスとも称される製品を紹介していきます。

インスタ ロゴ

インスタグラム
インスタグラムの画期的かつ強烈な依存を生む要素として、フィルター機能を持つカメラとSNSの融合があげられます。インスタグラムを開発したシストロムとクリーガーは人間には永遠の承認欲求があることと、ランダムなフィードバックが抗いがたい多幸感を生み出すことを知っていました。

1971年に鳩を使用したフィードバックに関する実験が行われたのですが、そこではつつくたびに餌が出てくるボタンと、ランダムで餌が出てくるボタンが用意されました。直感的には確実にえさが出てくるボタンのほうが、鳩が意欲を持つと思いますが、結果はランダムにえさが出てくるボタンをつつく鳩のほうが2倍も多くつついていました。ギャンブルやソーシャルゲームなどに触れたことがある人なら容易に納得できるかと思いますが、不確実な報酬というものに人間は強く引き付けられるのです。

美化された写真にいいねが付くという一連の体験は、承認欲求とランダムなフィードバックを満たす絶好の手段ということです。過去から現在に至るまで様々なカメラアプリやSNSが生み出されてきましたが、この二つを組み合わせたインスタグラムはあっという間にユーザーを依存症にさせ不動の地位を築きました。

ネットフリックス ロゴ

連続再生
ネットフリックスやYouTubeなどに搭載された連続再生という機能は、我々により難しい判断を迫るようになりました。数年前までは映画やドラマを見る方法といえば、リアルタイムか録画、VHSやDVDが主流でしたが、現在はサブスクリプションやyoutubeといった動画サービスが台頭してきました。 この2つには依存という観点から見ると大きな違いがあるのです。前者は視聴が終わると画面が暗いままだったり、タイトルに戻されたりしますが、後者は5秒後には次の話が始まってしまいます。我々人間にとって、やることを決断するより、やめることを決断するほうが難しいのです。

運転免許証を持っている人ならば、臓器提供の意思を確認する文言を一度は見たことがあるのではないでしょうか?実はこの文章は国によって異なるのです。文章のパターンは大きく分けて2つあり、「臓器を提供してもよい場合はチェックをしてください。」というものと「臓器を提供したくない場合はチェックをしてください。」というものなのですが、後者のほうが圧倒的に臓器提供率が高いのです。文化が似通っている国でも、質問の仕方が変わるだけで臓器提供率は大きく変わるのです。
これと同じように私たちは5秒後に始まるドラマを見ずにはいられないのです。


ここまで、私たちの時間をいたずらに奪う活用法についてみてきましたが、これらのテクニックや人間の性質を逆手に取ったものもあるのです。

2009年にフォルクスワーゲンがストックホルムで面白いキャンペーンを行いました。それは駅の階段を電子ピアノに、町のゴミ箱をゲーム機へと変貌させるというものです。これはフィードバックが人間を依存症に陥れるというテクニックを利用したもので、これにより、期間中ストックホルムは健康で清潔な街へと変わりました。

フォルクスワーゲン 階段 ピアノ


毒にも薬にもなる依存症ビジネスのテクニック、あなたはどのように使いますか?



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