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星野維人
2023年3月6日 01:35
バスを降りて母の入院する病院に向かう途中で、空き家となった民家の柿の木が、たわわにその実を実らせていた。大きく伸びた枝が、垣根を越えて道にまで張り出している。手を伸ばせば容易にもぎ取れる高さに、色も形も申し分ない柿が重そうに枝をしならせている。 私は母の見舞いの品を何も用意してなかった。あれこれと考えてはみたが、母の喜びそうなものが何も思い浮かばず、今日に至ってしまった。体の不自由を覚えてか