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「ヘルシーに働く」とは自分への負荷を減らすわけじゃない、という仮説

「ヘルシーに働く」って?

「ヘルシーに働く」という言葉を時々耳にするようになりました。「ヘルシー」という響きから、体を労わりながら無理せず働くというニュアンスを想像することが多いのではないでしょうか。

私もなんとなく「良さそうな言葉だな〜」と思い、使う機会もありました。

ですが、この言葉は自分への負荷の話だけでなく、周囲の人との関係性を含めた働く上での健全性にまつわるニュアンスを含むのではないかと思うようになってきました。このnoteではその意味について自分なりの視点で少し考えてみたいと思います。

「めちゃくちゃ働く」ことの反対が「ヘルシーに働く」なのか?

このことについて考え出したきっかけは、ある日の知人との会話です。

その人はどちらかというと「たくさん働くの好き!長時間稼働しても大丈夫!」というタイプでした。
その人は自分のタイプを自覚しつつも、働くことについて個々人の好みや意思も色々あることを理解していて、自分のスタイルを他者に強要することはありませんでした。
それでも「自分の働き方って、世の中でいうヘルシーではないのかな?」と感じており、自分の働き方に胸を張れないような居心地悪さがあったようです。

でも私は感覚的に「なんか違うかも?」と思いました。本人にとっては、たくさん働くことが心地よく、それによって成果が出ているなら健全な状態なんじゃないかなと。

もちろん、他の人に対して自分のスタイルを強要してその人に悪影響を与えている場合や、長時間働いてるのにまるっきり成果が上がってないようなケースは働き方を見直す必要があると思います。

ただ少なくとも「たくさん働く」の反対はあくまで「少なく働く」であって、「ヘルシーに働く」とは別ではないかと気づきました。

じゃあヘルシーに働くってどういうことなんでしょう?

ヘルシーに働くとは「自分」「チーム」「顧客」の3点全てにとって好ましい状態で働けていること

これが現時点で私がたどり着いた仮説です。自分、チーム、顧客の3の円が重なった状態で表現しています。
(ちなみに、チームとは一緒に働く関係者という意図で、場合によっては社外の人であっても同じ目的に向かっているのであればチームとして含めるつもりで書いています)

中央部分が3つの視点全てにとって好ましい状態

ではこの3つの観点のいずれかが欠けている状態とはどういうことなのでしょうか。ここからは図を用いて説明していきます。


1.  「○自分とチーム ×顧客」の状態

顧客への価値提供が欠けている状態

自分とチーム(一緒に働いている関係者)にとっては心地よいが、顧客にとっては良くない状態。
これは自分とチームは楽しく仕事をしているが、顧客が求めている価値を提供できていない状態です。自己満足でビジネスとしてはうまくいっていないということです。

近年、心理的安全性という言葉がよく使われますが、それを取り違えて成果が出ないぬるま湯の環境にいることがこれにあたると思います。
心理的安全性は、チーム内で確保されているからこそ成果を生むために率直で建設的な議論ができるようになる、という文脈で使用するものと私自身は理解しています。


2. 「○自分と顧客 ×チーム」 の状態

チームへの配慮が欠けている状態

自分は楽しく熱意をもって働き、それによって顧客への価値提供もできているが、一緒に働く人たちが不幸になっている状態。

自分が猛烈に働くタイプでそれを周囲にも強要してしまいチームが疲弊していくケースです。
または、自分が楽してサボっている状態で、周囲の人がそれを必死にリカバリーすることで顧客への価値提供がなんとか成り立っているケースもありそうです。

顧客に対しての価値は提供できているので、短期的に見れば事業としてはうまくいっているかもしれませんが、次第に周囲の人は離れていき、組織としての持続性は怪しいです。従業員の体験からすると嬉しくないし、自分がチームメンバーだったら、そのような環境で働くのは嫌だなと思ってしまいます。(ここは特に私個人の感想です)


3. 「○チームと顧客 ×自分」 の状態

自分を犠牲にしている状態

周囲の人は働きやすく、顧客への価値も提供できているが、自分が不幸になるケースです。

頑張り屋の方や、責任感が強いタイプに多いケースかもしれません。必死に働き、周囲のメンバーからの評価も高く、成果も出しているものの、自分自身の心の声を聞くことなく頑張りすぎてやがて体を壊してしまう人を見てきました。

自分の人生、一番長く一緒に過ごすのは他でもない「自分自身」です。そんな自分自身を大切にせずにヘルシーとは言えないのではないでしょうか。

これは私自身が自分を大切にしたいと思いますし、一緒に働く一人一人にもそうあって欲しいと思ってます。


4. 「○自分、チーム、顧客」 の状態

(再掲)中央部分が3つの視点全てにとって好ましい状態

自分も周りの人も楽しく熱意を持って働けて、顧客にも価値を届けられている状態。これが私が考える「ヘルシーな働き方」です。

これまで書いたとおり、自分、チーム、顧客のどの視点が欠けても成り立ちません。理想論かもしれませんが、自分が目指したい姿としての「ヘルシーな働き方」はこんな感じかなと思っています。

我が身を振り返ると、まだまだできてないところも多いです。自分自身でもヘルシーに理想を目指しつつ、周囲の人も自分らしくいきいきと働ける世の中になるお手伝いができればと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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