若者のすべて

山梨県富士吉田市出身、日本を代表するロックバンド

フジファブリック』さんの代表曲である『若者のすべて』を掘り下げる。

私事ではあるが私も山梨県出身でとても親近感が湧いてならない。

富士吉田市の防災無線のチャイムには実際にこの曲が使われた。

一度でいいからなまでそのチャイムを聴いてみたい。

おそらくその場に立ち尽くし、朝を迎えるほどの感慨深さが

私を襲ってしまうだろう。


若者のすべて

作詞・作曲:志村正彦


真夏のピークが去った
天気予報士がテレビで言ってた
それでもいまだに街は
落ち着かないような気がしている


夕方五時のチャイムが
今日はなんだか胸に響いて
「運命」なんて便利なもので
ぼんやりさせて


最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな
きっとね いないよな
会ったら言えるかな
まぶた閉じて浮かべているよ


世界の約束を知って
それなりになってまた戻って


街頭の明かりがまた
一つついて帰りを急ぐよ
途切れた夢の続きを
取り戻したくなって


最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな
きっとね いないよな
会ったら言えるかな
まぶた閉じて浮かべているよ


擦りむいたまま
僕はそっと歩き出して


最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな
なんてね 思ってた
まいったな まいったな
話すことに迷うな
最後の最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな
同じ空を見上げているよ



 夕方を感ぜざるを得ないイントロのメロディー。

歌詞にはリアルな日常の束の間の情景が施されている。

忙しい雰囲気が漂う夏。そのピークである真夏が去った後でも

街はまだ忙しそうという歌詞。本当は世間の忙しさは夏であるとか

あまり関係ないのだけれど言葉にはできない何かが終わってしまう

感覚が伝わってくる。

毎日鳴る夕方五時のチャイムが特別に感じられる日。

って本当にあるよなって感じる。

いつも気にしない音や空気。それがどうしてその時

特別に感じるたのかどうかは聴き手に委ねられている。

毎年やってくる最後の花火。何年経っても思い出してしまうだろうと

感じるほど特別な今年の花火。そして大事な何かを伝えたい相手は

そこにいるのだろうか。会えるのだろうか。


 世界の約束を知ってそれなりになってまた戻って

という歌詞はいったん離れた二人を指しているのだろうか。

世界の約束とは社会の厳しさや決まりごとなどの常識的なこと。

大人になったら超えなければならない壁のような何かなのかもしれない。

街頭の明かりが暗さを察知して徐々に点いていくあの感じを

うまく表現している二番Bメロはなんとも言えない寂しさが染みている。

途切れた夢のつづきを取り戻したくなる。夢とはその大事なことを伝えたい

相手にそれを伝えることだろうか。


 擦りむいたまま僕はそっと歩き出す。

決して深い傷ではないけれど、確かに擦り傷はある。

そのままそっと歩き出した。


 大サビにて 

ないかな ないかな なんてね 思ってた
まいったな まいったな 話すことに迷うな 

という歌詞は現実の部分なのだろう。大サビまでの歌詞はもしかしたら

妄想で、実際にその場面に遭遇するとまいってしまったという

リアルな感じが伝わってくる。

最後の最後の花火が終わったら僕らは変わるかな
同じ空を見上げているよ。

何かが変わるかもしれないし、何も変わるかもしれないけれど

間違いなくそこにあるのは希望で絶望や不安ではない。

同じ空を見上げているということが、仮に何も変わらなかったとしても

前へ足を進めてくれる。

そんな曲に感じた。



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