【ほめほめカード】
試練の3番勝負の一つ。
3000枚のほめほめカード。
そのほめほめカードの効果が凄まじい。
明らかに教室の雰囲気が一段と良くなったことを感じます。
いや、そもそもよかったことは間違いありません。お互いを認め合う空気感や、励ましや応援し合う文化は根付いていました。
正直な話。この子たちと過ごしていると、「本当に素敵なクラスだな〜」と客観的にしみじみ思うことばかりです。
現状に満足していたわけではありませんが、もう十分すぎるほど温かったので、それより
温かい状態や、認め合う状態を想像すらしていなかったのです。
しかし、今7月をスタートさせた教室には、明らかに一段と温かい空気があります。
上に「ほめほめカードの効果」と書きましたが、この活動をするといつでもどこでもこのような温かい教室がつくられるというわけではないと思います。
この活動自体は目的ではなく、あくまで手段。
この手段が、これまでお互いを認め合い、応援し合える関係を築く積み重ねをしてきた4年1組に思いきりフィットしたというわけです。
この手段によって、この子たちの素敵な部分が爆発的に引き出されたのです。
これまで、思っていたけれど伝えられなかったことが、ツールを手にした瞬間あり得ないほど飛び交うのです。
「あのとき、算数教えてくれてありがとね。」
「いつも人知れず、ノートを配ってくれているよね!」
「これからも、友達だよ!」
「給食のとき、おもしろい話をしてくれてありがと!」
「なんかね、一緒にいると安心する。」
こうした言葉を届け合っている。
ふと、休み時間に席を離れると、嬉しい言葉が届いていたり、「机の上、見てね〜!」と知らせを受けたり。
最も心に残る瞬間は、やはりメッセージをもらった子の表情。これは、本当に何にも変えられないほど、素敵な表情です。
自然と口角が上がる。きっと本人は無意識でしょう。
心が動いた瞬間の表情とたくさん出会います。
普段、毎日を過ごす中で、仲間同士の素敵な部分は発見していたのでしょう。それを伝え合うことができたとき、何か答え合わせのような安心感が広がっているのです。
教室の友達からどう思われているのだろう?
毎日自分が学級のためにやっていることに、みんな気づいてくれているのかな?
自分が助けたとき、相手はどう思っていたのだろう?
そんな意識するまでもないけれど、無意識のうちに心の中に生まれる思い。それがこの届け合う活動の中で、クリアになっていく。
「大丈夫だよ!いつも見てるよ!」「なかなか言えなくてごめね、めっちゃ感謝しているよ。」「あのとき、実は嬉しかったよ!」と。
大きな安心感に包まれた温かい空気感になるのは、そのためでしょう。
お互いがどう思っているかを知ることができ、安心する。
また、思いもよらない方向から言葉をもらい、新しい自分の良さを発見することもあるでしょう。これもまた大きな喜びです。
学級の仲間たちは、ちゃんと自分を見てくれている。ちゃんと仲間だと思ってくれている。自分の新しい良さまで発見してくれる。
安心感は、ますます大きくなります。
ちなみに、この「ほめほめカード3000枚」に挑むにあたって、子どもたちから提案がありました。「名簿がほしい」と。
これは、本当この子たちらしいのですが、「たくさん書くことについては、いくらでもかけます!けれど、もらう人に枚数の差が大きく出てしまうのはどうだろう?」と考えたのです。
誰は多くもらっていて、誰かは少ない。そんなことになるのは嫌だと。
だから、名簿がほしいといったのです。届ける側が、全員に言葉が届くようにすれば良いと。名簿で誰に言葉を届けたか記録することで、全員に言葉を届けることができると。
まさか、こんな話にまでなるとは思っていませんでした。
9割以上の子が名簿がほしいというのです。
「全員を見捨てない」そのための「手段」であることをしっかりと分かっているのです。
休み時間のたびに、名簿に記録しながら言葉を届ける姿で教室は溢れています。
温かい受け取ることの効果は計り知れません。
受け取る側だけでなく、送る側にも大きな効果があります。
それは、プレゼント力の向上です。
プレゼント力とは、感じ取る力と届ける力の総合です。
感じ取る力は「相手は何を届けてもらったら嬉しいのだろう?」と感じ取る力。
届ける力は「さりげなく届けようか、真正面から届けようか」と届け方を演出する力。
これは、ほめほめカードを送る側にとってものすごく磨かれる部分です。
「今、連絡帳配ってくれていたよな?このことをカードに書こう!」
「今、こぼれた給食を拾ってくれていたな?言葉を届けよう!」
こんなふうに、感じ取るアンテナが教室中に張り巡らせれています。
このアンテナが教室中に広がっていることで、「この教室のために」「仲間のために」と、行動意欲が上がります。
そうすると、教室に素敵な行動が増えるわけです。仲間が見てくれていると思うとやっぱり自然と心も上向きになる。
また、届け方もひと工夫。
いない間に筆箱の下にそっと置いておいたり、机の上に届けて「ね、あとで机の上を見てみてね!」と伝えたり、直接「これどうぞ!」と渡したり。
また、新しい発見も。
それは、即時性の効果。
とにかく素敵な行動に気付いてから、メッセージを書いて届けるまでが速い。
どれくらい速いかというと、、、
教室のゴミを拾ってくれている仲間がいて、「そういう一見人が嫌がるようなところに進んで手を出せるって素敵だよねえ。」なんて話していて、その仲間がゴミをゴミ箱に捨てて、席に戻ったら、もうメッセージが届いている。
それくらいの速さ。
連絡帳や宿題を配ってくれている仲間がいて、配り終えて席に戻ると「いつも連絡帳を配ってくれてありがとう。」というメッセージが届いている。
それくらい速いのです。
そこで、子どもたちは目の当たりするわけです。「もう届いているの!?」という驚きは、感動や喜びを倍増させるということを。
そして、驚くくらいの即時的なフィードバックの大切さに気が付くわけです。
相手により大きな喜びを届けるための術を増やしていくのです。
そして、相手を驚かすことや喜ばせることに、大きな喜びを感じていく。
届ける側も、受け取る側も双方にとって喜び溢れる素敵な時間が、朝登校してから下校までずっと続いている教室です。
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