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【成長したのは身体か心か】



 先日、体力テストの種目の一つである20mシャトルランを行いました。
 前日から、「ちょっと練習しておきたいです!」という声が多数。
 
 ややもすれば、「苦しい」「やりたくない」となってもおかしくない種目。
 持久力を測る種目ですから、そうなってもおかしくないかもしれません。
 
 けれど、子どもたちから「準備しておきたいです!」というニュアンスの前向きな言葉あが本当に多い。素直に驚きました。

 自分で決めた目標に向かってやり抜くこと。そこで、得られる達成感の価値。自分は意外とできるかもしれないという自信。良い成果を出すためには良い準備が欠かせないこと。

 様々な経験を通して、身につけてきたものがしっかりと自分のものになっているなと感じました。

 朝の会の時間を少し活用し、「目的」「目標」「手段」の話をしました。

 「目的」は最終到着地点。公園に遊びに行きたければ、その「公園」が目的になります。
 
 「目標」は目印。「あの図書館を右に曲がって、、、」の「図書館」は目印。つまり目標になります。図書館に着くことは目的ではありません。目的地はあくまで公園。
 
 「手段」は方法。電車なのか、バスなのか、歩きなのか、、、。これが手段にあたります。
 
 では、体力テストや、20mシャトルランの目的は一体何なのか。
 
 学校教育は、「人格の完成」。
  
 つまり、体力テストにしても、自然生活体験学習にしても、運動会にしても最終的に「人格の完成」という目的地に辿り着くための行事であるわけです。
 「人格の完成」は、すごく噛み砕くと「それぞれ個人を尊重し、それぞれの力を、あらゆる他者と調和しながら伸ばしていきましょう。」ということ。
 
 今回の20mシャトルランでいうと、「人と比べず自分らしくやり抜くこと」「認め合って励まし合って高め合うこと」この2つが人格の完成と照らし合わせたときの「目的」となるでしょう。
 
 学校の「育成したい資能力」でいうところの「自分を信じ粘り強く取り組む力」「認め合い人とつながる力」が向上することともつながる。

 では、目標はというと、それが「回数」。

「40回はいきたい!」「30回は超えたい!」「80回を目指します!」といったもの。

 これは、あくまで目標。

 目印。

 粘り強く取り組む力を磨くため、認め合い人とつながる力を磨くための目印。

 だから、回数という目標を達成できなくても、目的地にたどり着くこともあるでしょう。
 
 目標にあと1回届かなくても、あなたの中で自分の力を信じて、「あと一回、あと一歩」と粘り強くやり抜けてれば良い。仲間の頑張りに心を動かし、自然と溢れ出る気持ちをそのまま声にして応援や励ましのエールを送ることができていたとしたらそれで良いのです。

 目的は、そこだから。

 子どもたちの目標を見ると、その「目標」の意味を理解していることが分かります。

 最後まで残るだとか、記録の回数で上位何番に入るとか、そういったものが一切なかったら。

 25回はこえる。
 70回か80回はいきたい。
 45回はいく。
 30回はいく。
 まわりを見ないで自分のペースでやる。
 やり抜くことを決意する。
 91回を越す。
 45回以上いく。
 40回はこえる。
 58回いく!
 あきらめないでやる(なんでも) 
 60回はこえる。
 27回から30回は走り抜く。

 本当に十人十色。誰と比べるでもなく、昨年の自分をこえること。今もっている力の最大限を発揮すること。やり抜くこと。そのために自分らしく目標を立てている。
 まさに「人と比べず自分らしくやり抜くこと」「認め合って励まし合って高め合うこと」の目的に辿り着くための目標です。
 

 
 正直、子どもたちの走る姿を見て、心が震えた。

 人の心を大きく動かす子どもたちの走りだった。

 それぞれの背景が透けて見えてくる。
 
 真剣な眼差し、凛とした表情。

 「できる!できる!」「あと一歩、あと一歩。」「30回、30回、30回。」と心で唱え、
自分の力に変えているのが透けて見える。
 
 顔を赤らめながらも腕を振る姿に、もう一回と踏ん張る足に、これまでの積み重ねが全て詰まっているようだった。

 あきらめず繰り返し挑戦する縄跳び、決して鉛筆を置かずに書き続ける振り返り、時間いっぱい使って用紙が真っ黒になるまで熟語で埋め尽くす漢字テスト、解き方の説明で真っ黒になった算数のテスト、、、。
 
 やり抜く心が育っている。そう感じずにはいられなかった。

 自分はできる。もっとやれる。そんな自信を確かにもって。

 声が枯れるほど、応援する仲間たち。
 
 まるで自分のことのように励ましのエールを送る。
 それぞれの力が調和して、ものすごいエネルギーが体育館中に広がっている。

 それぞれらしく発揮する力のかけ算。

 そして、走り終えた表情が美しい。
 
 自分の目標に熱く向かっていたことがわかる。
 
 爽やかで、凛々しくて、笑顔。

 熱い声援と、拍手に包まれる空間。
 「今」の自分と向き合い、それをまさに越えようと戦う子どもたち。
 
 感動。

 この2文字につきます。こんな景色を見せてくれた子どもたちにどんなお礼ができるだろう。
 目一杯の溢れる思いを振り返りシートのコメントに込めました。

 そんな子どもたちの振り返りを紹介します。

 
 
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 今日やったシャトルランは39回でした!は知っている時、みんなの声が聞こえました。「がんばれ〜」や、いっぱいきこえました!そのおうえんで、前よりも回数がふえたし、自分も成長して
足がはやくなったと思いました。
  
 目標はいかなかったけど、まだいける、まだいけるって思ってたから27まで行けた。前
は18回だったから27回になってうれしいきもちでいっぱいです。次もがんばります。ちゃんと息をすってはいてをして、もうだめかな、いける、でももう息がだめだってなって、あきらめちゃってて、次やればいいやといっしゅん思って。でも、あとからできる、できると思いなおして。だからできた。

 からだ(記録)はのびなかったけど、心はのびました。
 

 目標をたっせいしたことがうれしい。「まだまだふみだせるよ。」とか「ぜったいむりとか、もうできないとかこと」と言われたので、自分の心の中で「ぜったい目標をこえるぞ、ぜったいいける」とずっと言っていたので、ふみだせたのだと思いました。・・・今日シャトルランで走っているときに、めっちゃあくたおうえんがありました。そういうクラスでよかったと思います。私は成長したなと思いました。「みんながんばったね」と思いながら給食を食べました。
 

 できた。それは「ねばり強くやる」という積み重ねをしてきから。だっから「目的」を達成できた。
 

 目標には、たどり着けなかったけど、やり切れた。その理由は、3年生にころは17回だったけど、全力でやって、成長ができたからです。

 走ってる時の心。苦しかったけど「30、30、30、30、」と言い聞かせながら走った。「30だ!!」と思って「いやまだ、、、32だ。」と思って、苦しくなったからやめた。

 
 目標は58回。そして、記録は60回だった。なんでやりきれたか?お母さんかお父さんに「55回いったら、なにか買ってあげる」といってたけど、私は「58回にする!」と言って、その先をめざした。それで、58回をこえて、60回だったからやりきれたと思う。今の気持ち「つかれたけど、うれしい☺️」シャトルランのとき「つかれる💦でも、58回はいく!!あ〜!60回!☺️✨」

 今日はシャトルランで63回いった。前は28回だったけど、35回くらいですごくうれしくて、やり抜けた!!・・・クラスで「私の方が上」などの声は聞こえなかったのもうれしかったです。最後の1人に自分がなったとき、みんなから拍手や「がんばれ」とか声が聞こえた。それが一番うれしかったです。ぼくは、63回はまだ少ないとも思ったから、まだゴールではないけれど、ぼくは1つ目のゴールはとっぱした。これが何よりうれしかったということを今日学べたと思う。うれしいとくやしいのまざったような気持ちでした。こうやって、一つのことで学べるのはすごい。

 シャトルランをやってみて12回もふえていました。自分より回数が多い人はたくさんいたけど「やりきれる」ということが、本当に大事だと思うので、とりあえず去年より多くできてよかったです。なぜやりぬけたかというと、自分の心の中で「あと1回、あと1回」と何回も線をふむたびに、言い聞かせていました。2こ目はおうえんです。おうえんがあると「自分のことを思っておうえんしているから、もう一歩」と思えるからです。来年も「去年より一歩」と思うことが大事だと思うので、来年もがんばりたいと思います。

 よかったところは、71回で目標達成したから、そこはいいけど×もあわせてだから、次は○だけで70、80にいきたい。とてもやりぬけたし、みんながみんなのことをおうえんして、元気を出せたし、走るときのコツどおりにやってみたら+12回できたからよかった。みんながやりぬけたからそれがよかったともいます。一番やりぬけた理由は、たぶんおうえんや「目標」がいけると思って走ったからそこがよかったから70回いけたのかなと思います。5年生で70回以上になりたい。

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 成長したのは、身体か、心か。それとも両方か。
いずれにせよ、子どもたちは確かにかっこよくなっている。

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