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はじめてのドリップコーヒー。焙煎による味の違い。

"浅煎りで飲むと美味しい" "こっちは深煎りの方がいい" と表現されることがある。

コーヒー初心者の場合、"入れる=注ぐ"と仮定するならば、それはドリップにどれだけ時間をかけたかということなのか、はたまた、蒸すことを指すのか、実際よく分からないという人も多いだろう。

そこで今回は、焙煎レベルの違いを分かりやすく整理し、コーヒーの味がどう変化するのかを解説していく。

お店の人に任せておけば問題ないといえばそれまでだが、知っておいて損はないだろう。

01_焙煎を理解する前に把握しておきたい全体像

まず、焙煎について説明する前に、コーヒー豆が店頭に置かれるまでの大まかな流れを押さえておきたい。

コーヒーノキから出来たコーヒーチェリーと呼ばれる赤い実が、農場スタッフにより精製され、生豆が現れる。それを梱包し世界各地に届けられ、焙煎工程を経て、我々が普段飲んでいるコーヒー豆が完成するのだ。

焙煎は、農場以外の人間が唯一手を加えることのできる工程であり、ドリップスキル以上に重要視する人も少なくない。

焙煎により豆の味わいは大きく変化する為、個性にあった最適な処理をすることで、その長所を最大限活かすことができる。

※上の画像にある、第5回で解説予定の"2nd 精製"については、精製方法によって作業工程が増えたり減ったりする為、便宜上、精製とまとめさせていただいた。悪しからず。

02_焙煎度合マップ

豆の銘柄や品種によって違いは異なるが、一般的に浅煎りと言われるライトローストに近くなればなるほどが酸味が強くなり、深煎りと言われるイタリアンローストに近くなればなるほど苦味が増す

それでは、これら8段階の焙煎度合いをそれぞれの特徴と共にみていこう。

03_ライトロースト・シナモンロースト(浅煎り)

①ライトロースト
特徴 : 青臭さと濁りがあり、酸味が強い
相性 : 該当なし

サードウェーブ以降に誕生したコーヒーショップでは、ライトローストの豆を提供しているお店も多少存在するが、決してメインストリームではない。

元々は、カッピングテストと呼ばれるコーヒーの品質をチェックする目的で使われる焙煎レベルで、好んで飲用する人はほとんどいないだろう。

②シナモンロースト
特徴 : 豆の爽やかな酸味を引き出す。
相性 : キリマンジャロ、モカ

ライトローストと比べて、焙煎した感があるシナモンロースト。
豆が持っている酸味を引き出してくれるため、酸味が出やすい豆をシナモンローストで焙煎すると、しっかりとしたフレーバーを感じることができるだろう。

04_ミディアムロースト・ハイロースト(中煎り)

①ミディアムロースト
特徴 : スタンダードな焙煎レベル
相性 : エチオピア、パナマ、コナ、ブルーマウンテン

ミディアムローストは、酸味や苦味、コクがやや感じやすい焙煎レベルだろう。浅煎りに分類したライトロースト、シナモンローストに比べてコーヒーらしさが出てくる栗色の豆が特徴的。

②ハイロースト
特徴 : 品種や産地関係なく個性が出るスタンダードな焙煎レベル
相性のいい豆 : 全般

こちらもミディアムロースト同様、スタンダードな焙煎レベルとして有名である。酸味、苦味を感じやすく、コーヒーを飲み比べる際はハイローストで試すのがオススメ

05_シティロースト・フルシティロースト(中深煎り)

①シティロースト
特徴 : 苦味と酸味のバランスが最高
相性のいい豆 : 全般

角のある酸味が取れ、徐々に苦味が強くなってくる。
家庭用コーヒーとしてスーパーで販売されているモノもシティローストで入れられているものが多く、非常にバランスがいい焙煎レベルだろう。

②フルシティロースト
特徴 :やや重量感のある豆に合うやわらかい深煎り
相性のいい豆 : マンデリン

微かに感じられる酸味と甘み、深すぎないコクと苦味を感じることができるフルシティロースト。
苦味やコクが特徴的な豆にはある程度の焙煎レベルが必要になるため、マンデリンとの相性は最高だろう。

06_フレンチロースト・イタリアンロースト(深煎り)

①フレンチロースト
特徴 : 深みのある重量感のある豆がベスト
相性のいい豆 : ブラジル、パプアニューギニア

深いコクと際立つ苦味が特徴的なフレンチロースト。
この焙煎レベルではコーヒー豆の持っている酸味はほとんど消えるため、酸味が少なく、コクのある力強いボディが特徴の豆と相性がいいだろう。
アイスコーヒーやエスプレッソに使用する豆をフレンチローストで焙煎しているお店が多い。

②イタリアンロースト
相性 : エスプレッソの様な重量感
相性のいい豆 : ブラジル、コロンビア

最も深い焙煎度合いのイタリアンロースト。
黒い豆とスモーキーな香りが印象的で、イタリアンという名前の通り、エスプレッソやカプチーノに使用されることが多い。
食後に飲むコーヒーは、イタリアンローストで焙煎されたモノをオススメしたい

07_最後に

カフェオーナーでもあり、焙煎家でもあるオオヤミノル氏は焙煎の重要性について言及している。

「コーヒーの味わいは銘柄ではなく、焙煎度合い。どんな銘柄も深く焙けばスモーキーな味になるし、浅く焙けば酸っぱくなる。これはとても大事なことだから、覚えておいてほしい。」

焙煎は、コーヒーにとって豆と同じくらい重要であり、奥深いコーヒーの世界を理解するために避けては通れない道だろう。

好みのコーヒーを見つけた後は、是非焙煎にも注目してほしい。

次回は、精製方法について解説していく。気になる人は是非1度目を通してみてほしい。

それでは。



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