目標だけを求めてもいけない
私の家族がリハビリをしていた頃、
私は「今日は今週は、ここまで頑張ろう」のような
小さな目標をたてることを勧めた。
階段を一段ずつ上がるように、
小さな目標を一つずつ達成していくことが成功体験となり、
リハビリに効果的だと思ったから。
私自身リハビリではないが似た実体験があったから、
また人の成功体験を聞いていたので、当然のように、
目標をたてることを勧めた。
しかし、目標をたてることがかえって、
気持ちをネガティブにさせることを思い知らされた。
人は達成できないような、目標をたてたりはしない。
誰もが努力すれば達成できると思って、目標をたてる。
目標達成のハードルが高いか低いかの違いはあるが、
絶対達成できない目標は決してたてない。
それは、達成感や満足感がモチベーションを上げ、
次の行動へとつながっていくことを知っているから。
モチベーションは、
次の行動を起こせる人と起こせない人を分ける分岐点の一つでもある。
しかし、全く気づいていなかった。
気落ちしていた当事者にとっては、
達成できなかった時どんな気持ちになるのかを。
そして、達成できないことを想像するだけで、
モチベーションを下げることを。
私が何度も目標や目標達成について話をするたびに、
「達成できなかったら」という不安が襲ってきていたらしい。
その不安は当事者でない私の目には見えず、
言われるまで全く気づかなかった。
相手のことを想って考えているようで、
実は自分に悦になって満足していたのかもしれない。
不安の限界に達して、
「目標、目標と言わないでほしい。できなかったら、
自分がさらに情けなく惨めになる。苦しい。」
と絞り出すように言われた。
言われた私自身が、恥ずかしく情けなくなった。
その時初めて、不安などネガティブな心理状態にある人に、
無理に目標をたてることは必要ない、と思い知った。
成功者が成功の秘訣を尋ねられると決まって、
「たてた目標に向けて努力を怠らなかったから」という言葉をよく聞く。
この答えを聞くと多くの人は、
「努力は裏切ないから、努力をしなければ」と感じてしまう。
時には、結果や成果が出ない人に対して、
その人なりに努力をしているにもかかわらず、
「努力していない」と責めたて、
「努力が足りない、もっと努力しなさい」と更なる努力を促す、
いや強いる。
相手のことを思っている気になって、益々強いる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?