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(マネジメント⑫)新しい組織のカタチ ~Teal(ティール)組織

Teal組織は、進化型組織とも呼ばれている。「進化しているのは何か」という考え方から、進化型組織の方が組織をイメージしやすいが、一般的な呼称のTeal組織で統一することに。

Teal組織については、本以外にもいろいろなカタチで、多く人が多くの組織が考え方や実践などを紹介している。SNS時代だからかわからないが、“私のTeal” を語っていることが、非常に興味深い。受け取り方や関心事によっていろいろな解釈があって、紹介記事を読むのも楽しい。
『ティール組織』の副題は、「マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」とある。この本からマネジメント2.0に関わる部分を探っていきたい。

「組織の形態の進化は、人の意識の進化が大きく関わっている」ことを、ラルーは次のように書いている。

人類の意識が新たな段階に移動するたびに、新しい協働のあり方、言い換えれば新たな組織モデルを生み出してきた。「人間の意識がどのように進化し、新たな段階に進むたびに、どのようにして新たな組織モデルを生み出してきたのか」という物語だ。
( P17より )

ここまで社会や経営の変化が組織に大きく影響を与えて、組織も変化してきたことをふれてきた。ラルーは、「人の意識の進化が社会や経営に影響を与え、組織にも影響を与えてきた」ということを、人類史の観点から紐解いていることが大きな特徴の一つ。

今までのマネジメントは科学と密接に関係してきたが、非科学の人類学と併せて組織を研究している点が、人に焦点をあてている点が、マネジメント2.0を探っていく上で大変参考になった。

「二つに共通する何か(本質)を掘り起こし、二つを併せて発展させていくプロセス」、これがこれからのマネジメントに必要になっていく。

しかし、Teal組織に変えようとしても簡単には変えられない。それは、Teal組織はTealが描く世界観(思想)に基づいた新しい組織の形態であるから。

多くの会社は、Tealの世界観とは違う世界観で経営をしている。そう、Tealの世界観は現実的ではなく理想的で、「言っていることはよくわかる、けれど簡単にはできない。」という言葉も実際あって、いざ実現するとなると難しい。

Tealの世界に行くには、大きな境界を飛び越えなければ辿り着けない。このように考えると、Tealは一つのパラダイムシフト(発想の転換)でもある。飛び越えていくためには、安心して飛べるような安全な環境を整えることが必要になってくる。相手を信頼することで安心できるが、相手を信頼できないと安心できず、不安になってしまう。

信頼でき安心できる環境を整えること、これがマネジメント2.0では重要になってくる

Teal組織の三つの大きな特徴(本では突破口と呼ぶ)の一つに、自主経営(セルフ・マネジメント)がある。自主経営とは、「階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性のなかで動くシステム」とある。
今まで何度もふれてきたが、階層をなくすことがマネジメント2.0にとっての大きな課題。分権型組織とハイブリッド型組織でふれたように、階層のない分権型組織では意思決定を手放すことが重要になる。

ここで、「手放した意思決定は誰がするのか」という新たな疑問が生まれてくる。この答えの一つが、自主経営。
ラルーは、承認プロセスから “助言プロセス” を提案している。承認という意思決定から、意思が働かない助言という機能に変えるという発想の転換で、ラルーはこの問題を見事に解決した。この助言プロセスが、階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との信頼関係を築いていくことになる。

新しい組織の形態からプラスαになるキーワードを分類すると、次のようになる。


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