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(マネジメント⑰ 最終章)マネジメントの新しい役割 ~ハーモニー(調和)

マネジメント2.0の役割

VUCAの時代を生き残るためのマネジメント2.0について、ここまで思索・探究してきた。マネジメント1.0の役割は、管理統制して従わせることだった。新しいマネジメント論や新しい組織では管理統制をしないので、マネジメント1.0の役割は機能しなくなる。そこで、マネジメント2.0には替わる新しい役割が必要になってくる。

マネジメントには常に矛盾(ジレンマ)があって、矛盾との戦いでもある。個人的な矛盾としては時間と仕事量があるが、マネジメント全体で考えるなら、マネジメントの課題で挙げた “不確実性と確実性” がある。他にも、現実と理想/客観性と主観性/行動(身体)と理念(頭)/倫理観(正しさ)と美意識(美しさ)/機能性と審美性など数多くある。

マネジメント2.0の役割の一つに、これらの矛盾するものを乗り越えていくことがある

マネジメント1.0では、相手を管理支配(コントロール)することで、矛盾を力技で乗り越えてきた。力技ゆえに、相手を押さえつけ否定することで格差そして分断を生み、対立が起こり混沌とした社会を生みだした。
マネジメント2.0では、まず相手を否定せずに受け容れることから始める。さらに、矛盾する両者のよさをあわせて(つなげて)活かして、よりよい社会を目指す。

新しいマネジメントや組織の特徴をあげると、階層(上司)がない/組織を細分化する/権限や責任を共有し合う/管理しない/意思決定は手放す/しなやかさがある/自主性をもたせるなど。詳しくは、アカウンティングの新しい役割で一覧表にまとめている。

特徴を一言にすると、自由に任せること。しかし、この自由に任せるは、悩ましさを兼ね備えている。自由になることで一人一人がバラバラに進み、会社としての目的地に辿り着けないことが不安視されている。

不安だから止めるのではなく、不安を和らげる方法を見つけることもマネジメントの役割である。バラバラにならずに全員が一体になって目的地まで辿り着けるようにサポートしていくが、マネジメント2.0の役割になる

この二つのサポートのキーワード「あわせる(つなげる)」「一体になる」から浮かんだ言葉が、「調和(ハーモニー)を奏でる」。これが、マネジメント2.0の役割を一言で表している。「調和をはかる」ではなく「調和を奏でる」にしたのには、理由がある。

それは、音楽の流れのように動詞としての調和を顕したかったから。ある一点で調和をはかるのではなく、「変化という大きな流れの中に抗わずに、調和を奏でていく」という意味を役割に込めている。纏めると、次のようになる。

● マネジメント1.0は、成長成功するために、管理統制して従わせる
● マネジメント2.0は、生き残るために、変化の流れに抗わずに調和を奏でる

マネジメント2.0で大切なこと

マネジメント2.0について、いろいろ思索・探究をしてきた。特に大切にしたいポイントが、次の四つ。最後の「生き残る」がマネジメント2.0の目的であり、残りの三つは目的のためのプロセスでなる。

( 大切なこと )
● 未来    「企業の存在価値は、どんな未来を創るのかにある」
● 変化    「変化に適応し、変化を起こし、価値を創造する
● 方向性   「みんなで向かうべき目的地に向かう」
● 自然の摂理 「VUCAの時代を生き残る

この大切なことを意識しない限り、マネジメント2.0の実現は難しい。それに加えて大切なことが、二つある。

一つは、“西洋思考” に基にしたマネジメント1.0のマインドだけでは実現は厳しい。プラスαとなる “東洋思想” のマインドを加えることで、マネジメント2.0の実現が可能になってくる。

もう一つは、マネジメント1.0では客観性を重視するあまり、マネジメントが他人ゴトになってしまっていた。マネジメント2.0ではより主観的に自分ゴトになれるかが、実現の大きな鍵になってくる

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