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(マネジメント⑦)新しいマネジメント ~知的創造プロセス

マネジメント2.0へ移行するのに必要となる「科学にプラスαとなる何か」について、いろいろなマネジメント論(経営管理イノベーション/Y理論/ビッグ・ピボット/レジリエンス)から思索を拡げ深めてきた。
これらのマネジメント論は海外の思想家や研究者などが提唱したもので、国内にもないか調べたらあった。日本を代表する経営思想家の野中郁次郎の『流れを経営する ~持続イノベーション企業の動態理論~』の中にあった。

急激な環境変化の中で組織が生き残り、持続的に発展していこうとするならば、組織は単にそうした変化に適応するだけでなく、その組織にしか創れない未来を自ら創り出していかなければならない。
( Pⅲより )

野中は経営の目的を、「その組織にしか創れない未来を自ら創り出すこと」とし、そのためには、「変化に適応して、生き残ること」が大切だと言っている。また、“生き残るヒント” を次のように書いている。

科学的分析に立脚するこれまでの経理理論は、客観的な事実とその事実を結びつけている普遍的な規則を重視するあまり、人間の直観や感情や経営プロセスの生き生きした文脈の重要性を見逃し、価値創造において人間が果たしている役割を軽視することになった。
( Pⅵより )

これは、経営管理イノベーションでハメルが問題視していることと同じ意味である。

マネジメント1.0は管理統制のために、規則・基準・ルールなどを重視している。規則などで個人の思考や感情そして行動に制限を与え、創造性と自主性を、人間らしさを奪ってきた。それは、科学を求め過ぎて人を機械のように捉え、人の役割を軽視していたから。

この奪われた人間らしさの感性の部分が、プラスαにあたる。マネジメント1.0と2.0の関係を次のように表してみた。単純にマネジメント1.0から2.0に変化するのではない。マネジメント1.0の良さを活かしながらプラスαを加えて、よりよいものに進化したのが、マネジメント2.0の姿に。

野中は、相対する暗黙知と形式知をあわせて構造化していく考えを本の中で、“知的創造プロセス(SECIモデル)” と提唱している。この考えは非常に参考になった。特に、暗黙知と形式知に分類したものをつなぎ直して構造化するプロセスが、「マネジメント1.0 + α = マネジメント2.0」という発想に大きく参考になった。

「どちらかを選ぶ(否定する)のではなく、二つをどう組み合わせていくか」が、マネジメント2.0では大切になってくる。

“新しいマネジメント論” からプラスαになるキーワードを分類して整理すると、次のようになる。


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