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24/7/9 モーニングスケッチ1

扇風機の音と換気扇の音が持続している
冷房の音は埋もれている
少しだけ頭がぼんやりする
雪男のくもりガラスのワンカップに水を入れて飲む
さっきまで流れていた坂本龍一の『Esperanto』は今とまったところだ
ヘリコプターが見えないところで音を立てる
キーボードを弾く音が聞こえる
扇風機はうつむいて首を振る
そういえば夢の中で、知り合った人の過去を見た
確かアルバムだったような気がするし、過去そのものようだった気がする
坂本龍一の『Esperanto』をもう一度再生する
畳の薄くなったところを人差し指の腹でいじってみる
酸素が薄いのかしらと思い窓を開ける
吹いた風は知らない間に速度を増そうとしていた
リヒターの画集をめくる。曲は『A CARVED STONE』に差し掛かった
ボーナストラックを除いたら最後から2番目の曲
シンセサイザーの音に、マリンバの音が落ちていく。その奥で、リバーブのかかった冷たいピアノが流れる。熱帯的であり冷たさがある
『A CRAVED STONE』が終わり、最後の曲『ULU WATU』が鳥の囀りと共に始まる
音階を上昇するピアノ。後ろで鳥の声、不気味な反復音、わずかな無音
パソコンの画面にLINEの通知が滑り込む
最近ちゃんと食べていないと思う
ボーナストラックに入って再生を止め、もう一度最初からかける
トレイ休憩
排水管の清掃員が階段を登ってくる音がする
チャイムがなる
勢いのある歩き方で部屋に入ってくる。特徴的な歩き方
小柄な白髪の男性。腕は日に焼け、汗がしっとりしている
ただやるべきことをやっていくその仕草に潔さを感じる
お腹が空いた。もうすぐ10時になる
リヒターの図録の白く長い帯

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