ミッドナイト・チャイニーズレストラン
深夜の中華
夜に火を吐く
不思議と眠そうな人はいない
このまちで赤いのはここだけ
闇に囲まれている
泡、声、鉄の音、煙、炎
こんな静かなまちで
ここだけに世界があるみたいだ
闇からやってきた
プリっとしたエビも
プニっとした点心も
窓の向こうで車が現れては
音もなく消えていく
パラパラと炒飯が降る
ビールで世界に馴染む
払うものを払って帰ろう
テーブルの上で野口が呆れている
闇に塗られた透明の扉を開けて
闇の向こうに帰ろう
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