私は板ガムがいい。
貴方はガムをご存知だろうか?
ご存知ない方の為に軽く説明すると、ガムベースと呼ばれる食べられるゴムみたいな主原料に、形を保つ為の炭酸カルシウム等と、甘味料、香料を加えたお菓子である。
これにはいくつか形状に種類があり、主に現在の主流である粒ガム、過去の主流であった板ガム、ボール型や飴の中に仕込まれているものもある。
その中で私は板ガムが良いと言っているのだ!
大部分は幼少期の思い出から形成されている様に思う。
何故だか分からないが、幼少期は狂った様に板ガム(ミント味)を噛んでいた。
今思うと、恐らく他のお菓子を買ってもらってもあっという間に食べ終わってしまうが、ガムならば長く楽しめるだろう、というような魂胆か。
そして、大人というものは「これが好き」と一度言うと、永遠にそれを買い続けてくるのだ。
どうせ買うなら好きって言ってたしこれでいいか…という気持ち。
大人になった今なら私もそうするだろうが、子供であった僕は少しのがっかり感と共に惰性で噛んでいた感もあった事は否めないだろう。それも今となっては良い思い出といえるか。
さて、板ガムは味が無くなるのが早いので、一枚口に入れて噛んでいてもすぐに物足りなくなる。
そこで私は、味のなくなったガムをそのまま口内に滞在させ、新たなガムを投入する。
そうすると味は若干薄まるが、私の口内はミントの爽やかな香りに包まれ、大きくなって歯応えの良くなったガムの食感も楽しくて、幸せな気持ちになれたのだ。
ちなみにこの方法は精々3枚目までが限界。
それ以上やると、もはや口に入れて直ぐに味がなくなり、無味で嫌にでかいゴムみたいな食感の気持ち悪い食べ物を噛み続ける事になる。
これは最悪だ。
なので、MAXでも3枚目まで。
これが私が幼少期に得た知見であり、私がこのルールを破った事はそれから一度たりともない。
過ぎたるは及ばざるが如し。
身を持って経験する事以上に学べる事はないのである。
である、なんて偉そうな口調であるがやっている事はおバカさんな行為な訳であるが。
閑話休題。
幼少期は望むにしろ望まないにしろ板ガムが供給され続けてきたが、大きくなってくると徐々にそれが減ってきた。
そして台頭してきたのが、現在の主流ガム、「粒ガム」である。
もちろん私も粒ガムを噛んできたし、今も噛むことはある。
しかし、一言でいえば私は粒ガムが「気に食わない」
なんかパリパリしてるし、味が長持ちする事がご自慢のようだが、それは逆に口の中から取り出すタイミングを失うという事だ。
海外ではガムを噛むことで集中力が増すという事で、作業中などにガムを噛むことが良しとされているだろうが、ここは日本だ!
残念ながら、奥ゆかしく伝統を大事にし、相対する人間への礼を重んじるジャパンソウルは、人前でガムを噛み続ける事を良しとしないのだ。
さぞ肩身が狭い事だろう、ざまあみやがれ!
思わず語気が荒くなってしまったが、威勢よく論じてみたところで、ここ日本でのメインストリームは粒ガム様であることは揺るぎないわけだが。
最大瞬間風速トップスピード尻すぼみの板ガムよりも、平均点の高い粒ガムの方が評価が高いというのは、ある種日本らしいといえるのかもしれない。
と、板ガムの為にあらゆる方面に喧嘩を売っている私だが、冷静に粒ガムの良さも認めている。
糖衣に包まれているためにベタベタしないし、一粒の味は長く、量も板ガムより多いからコスパも良い。女性受けを狙ってか、オシャレなパッケージのボトルタイプもある。
分かっている。粒ガム様が素晴らしい事は。
それでも私は板ガムを推したいのだ。板ガム尊み深よし。
ガム食うかい?と颯爽と差し出すには粒ガムよりも板ガムなのだ。
ボトルガムを学校や職場に持ち込み、数がたくさん入ってるからと平気で3粒も4粒も持っていかれる時の、あの身が張り裂けそうな思い、人間の醜さを私は味わいたくないのだ。
味わいたいのはいつだって、板ガムのクールミント。
CMオファー、待ってます。
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