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#25.ウイルス療法

前回のnoteで記載したが2019年1月に大阪医科大学へBNCT(ほう素中性子捕捉療法)の話を聞きに行った後、以前よりメディア等でも多く取り上げられていた『ウイルス療法』について話を聞く為に、2019年4月に東京大学医科学研究所附属病院へ行った

『ウイルス療法』とは以下の通り記載されている。

ウイルス療法(oncolytic virus therapy)とは、腫瘍細胞(がん細胞)だけで増えるように改変したウイルスを腫瘍細胞に感染させ、ウイルスそのものが腫瘍細胞を殺しながら腫瘍内で増幅していくという、これまでにはない発想に基づいた腫瘍に対する新しい治療法です。

ウイルスが直接腫瘍細胞を殺すことに加え、腫瘍細胞に対するワクチン効果も引き起こします。また手術や放射線、化学療法など従来の治療法とも併用が可能であることから、近い将来悪性神経膠腫の治療の重要な一翼を担うと期待されます。

現在、第三世代の遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスI型※G47Δを用いて臨床試験を行っています

※G47Δは、口唇に水疱ができる口唇ヘルペスの原因ウイルスとして知られている単純ヘルペスウイルス1型の3つのウイルス遺伝子を改変して、藤堂教授らが作製した世界初の第三世代のがん治療用遺伝子組換えヘルペスウイルスです。
                参照:東京大学医科学研究所附属病院HP

またそもそも膠芽腫は5年生存率10%程度脳腫瘍の中でも予後の悪いものの一つであるが、東京大学医科学研究所では最初の手術後に、放射線照射と化学療法(テモダール)を行うという標準治療に対して、G47Δを用いたウイルス療法を上乗せした場合に、生存期間を延長させることを有効性として検討する治験を被験者30名を対象に2015年5月から開始。

13名の被験者が治療開始から1年経過した時点で中間解析を実施する治験実施計画となっていたが、2018年7月に中間解析を行った結果、G47Δの治療効果を判定する基準に設定していた1年生存割合が92.3%(13例中12例が治療開始後1年以上生存)を示し、標準治療の1年生存割合15%(他の複数の臨床試験結果から算出)に比べ格段に高く、G47Δが高い治療効果を呈することがわかったそうだ。

また加えて中間解析の時点で16名の被験者の安全性解析を行った結果、主な副作用は発熱や嘔吐、リンパ球数減少、悪心等ということで重度な副作用はなさそうに思った

東京大学医科学研究所では、この治験結果を基づいて現在では悪性神経膠腫を適応症としたG47Δの製造販売承認申請準備を行っている状態。製造販売承認申請は第一三共株式会社が行う予定。G47Δは、厚生労働省の※先駆け審査指定品目に指定されており、製造販売承認申請から6ヶ月後の承認を目指した審査期間の短縮が見込まれている。

<先駆け審査指定制度>
世界最先端の治療薬を日本の患者に最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目に指定し、製造販売承認の相談・審査において優先的な取扱いの対象とする厚生労働省の制度です。原則として既承認薬と異なる作用機序を持ち、高い有効性が期待される医薬品が指定されます。指定には以下の4つ要件をすべて満たす必要があります。
・治療薬の画期性
・対象疾患の重篤性
・対象疾患に係る極めて高い有効性
・世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思

以上から、この治療法は悪性神経膠腫に対し、かなり期待のできる治療法だと思っている。ただ理由は分からないが第一三共株式会社が販売承認申請を未だに行っておらず、当初2019年中の承認予定であったがスケジュールが遅れている状態。

私は2019年4月に東京大学医科学研究所附属病院へ行って話を聞いたが、 ①妻の病変が松果体という場所であること
初発時に播種していたこと(播種していると治験参加も難しいので)
で『ウイルス療法』もできないと言われるのが怖かった。

ただ回答は『可能』との話があった。

先生も「早くこの治療法を広めたい。ただ当院(東京大学医科学研究所)だけで治療を施すというのは非現実的だ(全国から患者が来ても、対応できないため)。せめて全国中核都市の大学病院で施術できる様にしていきたい」との話があった。

また2019年4月時点の妻の状態も診てもらったが、主治医や東京女子医大、大阪医科大の見解と大きく変わらず「現状は標準治療しかない」ということであった。

私はその後、メディアやネット記事でも『ウイルス療法』について記載されると期待もしたし、第一三共株式会社のメルマガにも登録し早く販売承認申請を行ってくれることを願った

私は『ウイルス療法』は悪性神経膠腫に対し、かなり期待のできる治療法だと思っている一方で、不安な点も感じている

1944年に『丸山ワクチン』という末期がん治療に画期的な治療法としてデモが起きるくらい騒ぎになった治療法もある(ただその後、「当時の厚労省から有効性が認められないとして不承認になった)。

有効性についてはネット記事に記載されている内容を読んでいるだけ、話を聞いているだけなので、素人の私には正直分からない。なので医学的なエビデンスのもとで是非、承認まで進んで行って欲しいと思う。

そしてできる限り早く、この治療法が世に出てきて欲しい。

私は心の底から『妻が治る』という希望を見たい。


記事を通じて、少しでも誰かのお役に立てればと思っています。