ドラマチック☆相対性理論解説
※エンターテイメントとしてお読みください。
第1章 さいしょに
まず、相対性理論というか、物理学の最終的な目標とは
物体の運動を完璧に予測すること
である。
この目標に向かって、古から多くの物理学者が心血を注いできた。
その結果、現在、人類はかなりイイ線まで来ていると言っていい。
次のような話を聞いたことはないだろうか:
そう、人類はすでに300年後の天体の運動を予測することが出来るのだ。ワンダフォー。しかし、一体なぜそんなことが出来るのだろうか。
最初に大きな一歩を踏み出したのは、ご存知ニュートンである。
ニュートンは、人類で最初に運動の本質を突き止めたのである。
彼が見つけた運動の本質、それは、
フォース(力、ちから、Force)
であった。
止まっていたリンゴが動き出すのも、発射された弾丸の軌道が曲がるのも、全てそこに何らかのフォースが作用した結果である、とニュートンは考えた。
ニュートン以後、物理学者はフォースを研究するようになる。
なぜなら物体に作用しているフォースの大きさが分かれば、ニュートンが開発してくれた驚くべき道具、ニュートンの運動方程式
$$
ma=F
$$
によって運動が完璧に計算できるからだ。
つまり、次のような図式が完成した:
つまり物体の運動を予測するという問題は、フォースを知るという問題に還元されてしまった。
しかもこの後、人類にとってさらに朗報が続く。
それは、
どうやらこの宇宙には2種類のフォースしか存在しない
ということだった。
それは
重力(Gravitation)
と
電磁気力(Electromagnetic force)
である。
重力はリンゴが落ちる時のアレで、電磁気力は磁石同士を近づけると感じるアレである。
まず、重力については、ニュートン自身が既にその全貌を明らかにしていた。
それがかの有名な、万有引力の法則である。
$$
F=G\frac{Mm}{r^2}
$$
重力については、これで全て分かってしまった。
こうして、300年後の天体の運動は、ニュートンの運動方程式と万有引力の法則を組み合わせることで完璧に予測することが出来るようになった。
なぜなら天体に作用しているフォースは、重力のみだからだ。
先程の図式に当てはめればこうなる:
さて、物理学者に残された最後の牙城は、電磁気力であった。
これはかなりチャレンジングな問題であったが、ついに1864年、イギリスの物理学者マクスウェルが、電磁気力の全てを解明することに成功した。
彼の研究をまとめたのが、このマクスウェルの方程式である。
これにローレンツ・フォースの式
$$
\textbf{F}=q\textbf{E}+q\textbf{v}\times\textbf{B}
$$
を合わせると、電磁気力の全てが分かる、という仕組みになっている。
万有引力の法則と比べるとだいぶごちゃごちゃしているのは間違いない。
しかし、これにはちゃんと理由がある。
というのは、電磁気力研究の過程で
我々の宇宙は、目で見て、手で触れることのできる物質世界の他に、ほぼ目に見えず、触れることもできない「電磁場」と呼ばれる謎の存在に覆われている
という驚愕の事実が判明したからだ。
そしてこの電磁場が、物体に電磁気力=ローレンツ・フォースを作用させていることが分かった。
そのため、電磁気力の研究に挑んだ物理学者は、まずこの電磁場という摩訶不思議な存在の性質を解明しなくてはならなかった。
人類という種が誕生して20万年。宇宙に満ちている電磁場の存在に気がついたのは、この時が初めてだった。
まさに、未知との遭遇である。
それでも地道な実験と研究の末に電磁場の性質を解明し、たどり着いたのが、マクスウェルの方程式であった。
兎にも角にも、こうして物理学者は、重力と電磁気力、つまりこの宇宙に存在する全てのフォースを解明した。
つまり、この宇宙の全ての謎を解明したのであった。
次回 第2章 相対性理論登場
アインシュタイン「俺たちは、宇宙の何も、分かっちゃいなかった」
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