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ジャパニーズホラー本当に無理

どうも、親子ともども生きております、泥水です。

普段こんな記事あんな記事を書いているにもかかわらず、私はジャパニーズホラーというジャンルがマジで心の底から駄目です。
どれくらい駄目かというと、CMを見ただけでその日ちょっとトイレひとりで行くのヤダーッ!!てなるくらい。

しかし、先日、ジャパニーズホラーの金字塔、貞子嬢が出てくる『リング』を恐る恐る見たら、意外とおもしろく(”映画として魅力的”という意味で)「これならミステリーとして楽しめるんじゃないか?」と思いまして。

それで、うっかり『呪怨』に手を出してしまいまして。

やっぱジャパニーズホラー駄目だわ!!!!!!!
怖いわ!!!!!!!!!

その日はもうずっと物音に過敏になり、押入れの隙間にビビり、目を閉じると青白い顔の男の子が浮かんでくる・・・という惨憺たる有り様でした。

しかし、恐怖で眠れない中、私は考えていました。

海外のホラー映画にも怨霊は出てくる。
観客をビビらせる演出なら、最近の海外ホラーはジャパニーズホラーに引けを取らない、むしろより優れた作品も多くあると思います。

でもなぜか、見られるんです。普通に。
怖いっちゃ怖いし、音とかでびっくりさせられるとウワーーッ!!!とはなるんですけど、その日眠れなくなるとか、そういうのはない。

この違いはなんなんだ???と眠れない夜を過ごして考えてみたことについて、自分なりにまとめてみようと思います。

海外のゴースト、日本の怨霊

ジャパニーズホラーといえば、やはり有名なのは『リング』の貞子、『呪怨』の伽椰子かと思います。井戸からずるずると長い髪をたらして出てきたり、階段を血まみれで這ってきたり。

彼女たちに共通するのは「死んでなお、この世に対する恨みを持つ」という点です。そう、彼女たちはもう生きてはいない。この世のものではなくなっている。つまり、物理的な攻撃で撃退は不可能ということです。

海外ホラーは、いろいろとジャンルはありますが、金字塔といえるのはやはり『13日の金曜日』のジェイソンや『エルム街の悪夢』のフレディでしょうか。ジェイソンに関しては不死身設定がありますし、フレディはそもそも夢の中の人物なので殺すことはできません。

しかし、一応彼らに対しては攻略方法というのがあるのです。
不死身の怪物も強烈な一撃を喰らえば一瞬は立ち止まってくれますし、夢の中の怪物はそもそも人々に覚えておいてもらわないと出現すらできません。

一方、貞子や伽椰子は、攻略方法なんてそんなものは残してくれません
死体を弔えば終わり?怨念の理由を解明すれば成仏?

そんなことで満足はしないわよ!!!

と、もはや主人公たちにも観客にも逃げ場を一切残してくれないのがジャパニーズホラースタイル。勘弁してくれ!?!?

じゃあ海外ホラーは全部が全部、攻略方法を残してくれているのか?というと、そんなことはありません。

たとえば、『アンフレンデッド』という作品があります。
これは典型的な”怨霊”が出てくる作品で、現代のSNSを通じて接触してくるところは新しいですが、わりとコテコテに「恨み晴らさでおくべきか〜」という感じで、死んだはずの人間が、自分の死の原因となった人物を恐怖の渦に落としていきます。

また、以前に感想を書いた『イット・フォローズ』
これもなかなか理不尽系の怨霊(?)です。性的関係を持った相手に感染する”なにか”。”なにか”に触られると憑かれた人は死んでしまうので、誰かにうつして回避するしかない。でも、うつした相手が死ねば、また”なにか”は自分を標的にしてくる・・・と、なかなか厄介、というか回避はほぼ無理です。

・・・というわけで、海外ホラーにも、攻略方法なしの理不尽系の怨霊映画は存在するわけです。

ですが、私は『アンフレンデッド』も『イット・フォローズ』も、ヒエーーーッ!!!とは思いながらも、その夜眠れなくなるということはありませんでした。

舞台が日本ではなく、海外だから実感がない、というのはあるかもしれません。ですが、『アンフレンデッド』に関してはSNS上の出来事。Facebookで起こる怪奇現象なんですから、わりと身近なはずです。

ではなぜ、ジャパニーズホラーほど怖くないのか?

それは主人公たちのリアクションのおかげです。

叫ばない日本人

『リング』や『呪怨』をご覧になった方はおそらくご理解いただけると思いますが、あの手のジャパニーズホラーの主人公って、どんなに怖い出来事があっても大抵は「ヒッ」と息を飲むか、腰を抜かして倒れるか、叫ぶとしても「キャッ!」と小さく言うだけなんですよね。

恐怖のあまり声も出ないという意味では、リアリティがあってよろしい。
よろしいけど主人公たちが静かなぶん、余計に怖いんですよ!!!!!!

一方で海外のホラー。『アンフレンデッド』、ご覧になってみてください。

もう、ギャーギャー悲鳴があがるあがる。男も女もみんな叫ぶ。
NOooooOO!!HELP ME!!OH MY GOD!!!! Fワードも連発です。
挙句の果てにメッチャ泣く。恐怖で泣く、そう、それが正しい反応ですよ。

お化け屋敷とかで、連れがメチャメチャに叫んでると逆に自分は冷静になる、みたいな現象あるじゃないですか。あれがまさに起こるんですよ。
主人公たちが叫びまくってくれるので、こっちはドキドキしながらも、そこまで恐怖せずに見ていられるわけです。

なのにジャパニーズホラーは、往々にして反応が静かなんです。
だからもう、こっちの恐怖が全然おさまらないんですよ。ちょっとはギャーッ!とか言ってくれても良いじゃない!!なんでそんな静かなの!?!?

お化け屋敷で連れがめちゃめちゃ静かで冷静なのでこっちが叫ぶしかねえ!みたいな感覚でずっとヒイーッとかギエーーーッとか叫んでました。
疲れるわ・・・ほんとに・・・なんで見ちゃったんだあんな怖い映画・・・

”わからないもの”への恐怖

もうひとつ、ジャパニーズホラーにおける秀逸な”恐怖の描写”について。

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉があります。

幽霊だと思ってビックリしたけど、よく見たら枯れた植物でした、という意味です。ビビっていると何でも怖く見えちゃう、というやつですね。

そう、正体さえわかってしまうと、意外と怨霊系でも恐怖は薄れるものです。実際、私も『呪怨』は前半こそビビりまくってましたが、だんだん幽霊たちが実体化していくにつれてちょっとずつ怖くなくなっていきました。

その点で『リング』は、徹頭徹尾、ホラーとして完璧だったと思います。

「少し見ただけではただのビックリ映像だけど、よく考えたら理屈が通らない、おかしい」・・・これが、私としては、最もおそろしいものです。

具体的な例をひとつ。
『リング』の呪いのビデオテープの内容で、鏡に向かっている女性の映像があります。モノクロで、小さな鏡に向かって女性が髪をとかしている、もうその時点で十分に不気味なんですが、登場人物が気づくのです。

「これ、カメラで撮っているとしたら、角度的に鏡にカメラマンが映っていないとおかしい」・・・と。

そういうの気づかなくていいから〜〜〜!!!やめてくれ〜〜〜〜!!!!

そのね、映像として不気味だなあ、で済ませておければよかったものを、「よく考えたら理屈が通らない」と、さらにゾッとさせてくる演出。

人類は、科学という灯りで恐怖を照らしてきたのです。
墓場に出る人魂は死体から出た可燃性ガスである、とか、死んだはずの人間が呻く声が棺から聞こえるのは仮死状態を死んだと勘違いしてしまったせいだ、とか。

そうやって世の中の「わからない事象」・・・恐怖の現象は、解明されてきたわけです。一応「こういう理屈で説明できますよ」と。

なのに!それを逆手にとって!”理屈が通らない”のを気づかせることでより怖くしてくるのは!!!!!ずるくない!?!?!?怖すぎるでしょ!!
ホラーとしては非常に優れてますけど!!!

鳥肌がたつとはこういうことを言うんだなあ・・・と思いました。
いや・・・本当に『リング』は秀逸なホラー作品ですよ・・・

「枯れ尾花」でも怖いものは怖い

私は小さい頃から無駄に想像力が豊かだったので、そういったホラー映画を知る前から「天井の模様が顔に見える」「暗がりになにか見えた気がする」としょっちゅうビクビクしていました。

当然、お化け屋敷なんてもってのほかです。
入り口(マジで入り口です、入ってすぐ、とかじゃなくて、入る前の明るいところです)で号泣して受付の人を困惑させるほど。

それが、『呪怨』のCMを見て以来、もうF1レーサーもビックリの速さで怖がりが加速しました。あんな青白くて目だけ赤い子供の顔見せられたら、もう暗がりにその顔が浮かぶようになるわ!!!!!!

一応『呪怨』はフィクションなわけで、あれはつくりものですよ、子供の役者さんですよ、というのは頭では理解できてはいます。できてはいるんですが、怖いもんは怖いんです。

幽霊の正体見たり枯れ尾花。しかし、裏を返せば「枯れ尾花はすべて幽霊に見える」なんです。怖がりの私にとっては。

ただ、ホラー映画界の首領(ドン)とも言える作品をなんとか見終えたので、ちょっと自分の中でジャパニーズホラーへの見方が変わったかな、とは思います。食わず嫌いみたいなものだったので・・・。

ミステリーとしても楽しめる構成にし、恐怖の演出を素晴らしく描く。
映画ファンとして、純粋にすごいと思いました。

でも正直これ以上は見られる気がしないね!!
『残穢』とか『仄暗い水の底から』とか見たら頭おかしくなりそうだね!!

血しぶきと物理的暴力、スプラッタの世界におとなしく帰ります。
マジでビビリの泥水でした。

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