その宣伝で良いの? ~邦題とポスター~
『レディプレイヤー1』を観てきました。
さいっっっっっっっこうに面白かったです。
オタク的には、もう、脳汁がダッバダバです、ダッバダバ。親指を立てて溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙なしには観られませんでした。
でも、こんな最高の映画なのに、はじめ全く観に行く気がなかったんです。
なぜかというと、ポスターが面白くなさそうだったから。
当初はレディプレイヤー1の感想を書こうと思ってたんですが、ポスターがあまりにもあんまりだったので、「映画の広告」の話をしたいと思います。
私的意見バリバリというか、もはや私怨の域なので「ああ、何か荒れてんな、春だなあ」と流しつつ読んでもらえると助かります。
(ご意見、ご指摘などは大歓迎です。あと「それ私は好きですけど!?」っていう方は荒ぶってくださっても大丈夫です。あくまで私見なので・・・)
ポスターでネタバレはマジ勘弁
※『レディプレイヤー1』のネタバレが少し含まれます※
先日観てきた『レディプレイヤー1』は、「仮想世界で、好きな見た目のキャラクターになって、好きに行動できるゲーム」が舞台となっています。
なので、ちょっとモサッとした感じの冴えない主人公も、仮想世界ではFFシリーズの主人公やってそうな感じの、クールでスタイリッシュなキャラ。
声はそのままですが、ボイスチェンジャーもあるでしょうから、性別すらも自由自在。そもそもヒトの形をしていなくてもオッケー。
つまり、「仮想世界」と「現実」の両方を描く映画なんですが、「仮想世界でどんなに魅力的に見えても、現実ではどんな人間かわからない」という点がひとつの重要なポイントになります。
で、特にそれが顕著に描かれるのがヒロイン。
「現実であたしを見たらがっかりする」と、主人公に仮想世界で告白されて拒絶する彼女には、とある秘密があるわけです。見た目に関する、隠したいことが。
他にも主人公の親友的なポジションのキャラや、仲間が数人出て来るのですが、そのキャラクターたちも「現実ではどんな人物か全くわからない」はずなんです。映画を最後まで観ないとね!
なのに。
ポスターにめっちゃ大きく描かれてるんですよ。
よりによって ヒロインが!!!!!!!
公式サイトのこれ。このポスターです。
引用元:http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/
いや、これネタバレってわかってなければ、ポスター見ても誰だこの女性って感じで終わるかもだけど、あまりにも大きく描きすぎじゃない???
さすがに・・・それはどうなんだ・・・?という気持ち。
役者さんへの配慮なのか、やっぱりヒロインがいないと客が入らないのか、広告業の人の意図はわかりませんが、さすがにそこは隠してほしかった・・・と思いました。
物語の”核”って、本当にそこ?
で、『レディプレイヤー1』のポスターでふつふつと怒りがわいてしまった私は、過去にも「ポスターのせいで面白さが全然わからず、神映画を見逃すとこだった」ことがあるのを思い出し、さらに荒れていきます。
例えば『モアナと伝説の海』。
私はディズニー作品は基本的に好きですが、そもそもがB級ホラー映画大好きマンなので、あまりホンワカしたファンタジーには興味が持てません。
なので、ポスター、CM、どの媒体でも「女の子が海に選ばれて明るく楽しく冒険に出るわよ!カワイイ子豚ちゃんも一緒よ!」という感じで宣伝されていた当初、全く興味がわきませんでした。
しかしSNSで似たような好みの人たちが「モアナはヤバイ、とにかく観ろ」「ディズニー版のMADMAX」と感想を言いまくっていたので、さすがにMADMAXは嘘でしょ、と思いつつ観に行ったら、本当にMADMAXだった。
スリル満点の戦闘シーン、荒れ狂う海、不気味でチャーミングな悪役、モアナのたくましさ・・・これCMで観たホンワカ映画じゃないじゃん!?
MADMAX怒りのデスロードじゃん!アツいし最高じゃん!!!あとポスターにいた子豚ほとんど出ないじゃん!!!!
またポスターで判断して選択を誤るところだった・・・と思いました。
子供向け作品として、カワイイ小動物キャラ(モアナにおける子豚ちゃん)を配置したい気持ちはわかります。モアナが明るく美しい海に囲まれているのも、まあ見栄えを重視したんだろうな、と思います。
でも、物語の核はそこではないでしょ!?というのが私の意見です。
海の恐ろしさ、立ちはだかる敵、それを乗り越えてたどり着くもの・・・
そういうアツい話がこれでもかと盛り込まれているのに、何故そんなに綺麗でキラキラしたポスターにしてしまうのか!?
いや百歩ゆずってポスターは仕方ないとして、CMにもうちょっと戦闘シーンを入れておくべきではないのか!?モアナのアツい魂を感じてもらうべきではないのか!?
あと個人的に、ポスターと全然違うじゃん!!と思った作品としては『マジカルガール』を挙げたい。魔法少女モノだと思うじゃないですか?
全然違うんだなこれが!!!
魔法少女要素だいたい5%・・・いや3%くらい? 話のきっかけではあるけれど、そこは物語の一番重要なポイントではない、と私は感じました。
ちなみに元のポスターだと、左上の流血してる女性が主体なんだな、というのがわかるようになってます。どうしてこうなった?
邦題で避けたい5つのこと ~こういう題もういいです~
映画を、原題そのままで、日本語化して放映する。
それは難しいことだと、わかります。
カタカナにするだけじゃ意味が通じない。
日本語でニュアンスを伝えるしかない。
だからこそ、邦題(日本語版のタイトル)が求められるわけです。
『Sister Act(シスターのふりをする)』→『天使にラブソングを...』
『Frozen(凍りついた)』→『アナと雪の女王』
こういったタイトルは、原題そのままよりわかりやすいし、工夫が感じられます。直訳するより全然いい。雪の女王はおとぎ話でもメジャーですし。
しかし、元のタイトルのカッコよさがあまりにも台無しだと、悲しい。
あと、邦題がネタバレっていうパターンもある。本当にやめてほしい。
そして私が辟易しているのがこういうタイトル。
『◯◯するまでの✕✕日間』
『✕✕な私が◯◯なワケ』
『◯◯なワタシの✕✕する方法』
『✕✕までにしたい10のこと』・・・
何個あるんだよ!!!!!!!!!!!!!!
そのテンプレに当てはめないと駄目なのか!?なんか決まってるのか!?
あとなんでそういう作品は大体「頑張る女性へ♡」みたいな感じなのか!?
もうそういうタイトルはいい。もういいんだ。原題でやってくれ。
もしくは原題も書いておいてくれ。ほんと頼みます。
具体的な作品名を出すとあんまりよくない気がするので(もう手遅れでは?)特にこれ!とは言いませんが、あまりにもこういうタイトルが多いと、もうどれがどれだかわかんねえな!
あと紛らわしいタイトルもやめてほしいんですよ。
『ラスベガスを◯◯◯!』っていう作品多くない?
カジノ作品はだいたいそういうタイトルになってしまう運命なのか?
(有名作品のタイトルに似せて騙すタイプのB級映画もありますけどね 『バイオハザード3077』とかね みんな気をつけようね)
日本には日本のセンスがある
よく「日本語版ポスターがダサい」「邦題が意味不明」と言われる作品は、
・情報が多すぎる
・とりあえず”全員配置しとけ”感
・原題のかっこよさを活かしていない
・映画の内容と合っていない
のどれか、もしくは全てに当てはまってしまっているように思います。
広告的に「どんなストーリーかわからないと観てくれないだろう」という配慮があるのはわかります。だからこそ、ポスター1枚に全てを詰めようとして、情報過多になってしまう。
でも、視覚的に「気になる」ように工夫されたポスターは、できればそのままであってほしい、と私は思います。余計な文とか付けずに。
最近だと『シェイプ・オブ・ウォーター』は、緑と赤が綺麗なコントラストの、素晴らしいポスターのままだったので、そのままにしてくれて本当によかった・・・と思いました。
映画広告業界でどういった取り決めがあるのかはわかりませんが、「カッコイイもんはそのままカッコよくキメてくれ」というのはワガママでしょうか・・・。
もしくは2パターン欲しい。元題で絵もそのままのポスターと、日本人向けに色々意訳したやつで。でもネタバレだけは勘弁な!!
もちろん、カッコイイセンスのポスターやタイトルも、たくさんあります。
個人的にはピエロが殺戮しまくる『道化死てるぜ!(どうかしてるぜ!)』とかメッチャ好きです。B級ホラーだよ!って題で教えてくれる親切さ。
でもやっぱり『レディプレイヤー1』のポスターは・・・うん・・・まあ・・・映画は面白かったし、もう良いか!ってことにしておきます!
(そもそもレディプレイヤー1に関しては元のポスターの方がネタバレが激しいので 観てない人は検索おすすめできないよ!)
広告業界の人も板挟みなのかもしれませんしね。
ちなみにサムネは私の持ってるパンフレットで好きなものを並べた写真です。個人的に『ヴィー・フォー・ヴェンデッタ』がお気に入り。
荒ぶるオタク、泥水でした。
サポートしていただけると心身ともにうるおいます(主にご飯代にさせていただきます)。ここまで読んでくださってありがとうございました!