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読書メモ:推しエコノミー

一、読んだ本

書名:
 推しエコノミー
 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来
著者:
 中山淳雄

二、感想

1 現在のエンタメ業界は?

Twitterの書評でオススメにあがっていて、前作「オタク経済圏創世記」も非常に面白かったので、読んでみました。

前作では、日本のアニメやゲームのキャラクター関連するビジネスが、非常に大きい。特に、ポケモン関連の経済圏が、ディズニーのキャラクター経済圏よりも、大きいというデータを見て、今、日本の誇るべき産業は、ゲーム・アニメのキャラクターとその関連産業(IP産業)だ、とオタクとして誇らしくなった記憶があります。

IPとは、Intellectual Property(知的財産権)の略称。

今回の本では、現在(2020年から2021年)エンタメ業界に起こっている変化、アメリカや中国と比較した日本のエンタメ業界の違いなど、特にアニメやゲームなどキャラクターをビジネスの根幹にするIP業界の現在の状況を知ることができます。

2 特に印象に残った「推し」の解説

個人的になるほどと思ったのが、第2章の[「萌え」から「推し」へ…]にあった「推す」ことの説明、

多くの人にとって、自分の人生の中には感動するような物語にはなかなか出会えない。そんな自分の代わりに、「推し」は頑張って何かを実現してくれて、感動を与えてくれる。そこで、人々は理想の人生を「生きなおし」をするような作用を与えるものになっているのではないだろうか。

推しエコノミー

また、

推し友とそれぞれの処遇やステータスに関わらずワーキャーできていることが純粋にうれしい。

推しエコノミー

この前後により詳しく説明があるので、本をぜひ読んでいただきたいのですが、この文を見て、あぁ、わかる!!そうなんです!、「推す」をよく言語化してくださったって思いました。

推しって、自分には影響ないけれど、頑張れ〜って応援することで、特に後半の説明部分、好きなことを好きな仲間内でワーキャーと語りたい。うん、うん、よくわかる。

そして、この語る場が、過去はリアルに顔を合わす場でしかなかったのが、現在は、ネット上でTwitterやnoteなどファンコミュニティがあって、自分も投稿したいし、たくさんの人がすでに語っているから、自分が投稿しなくても、回遊して、楽しめてしまう。

いやー、よくわかるなぁって、思いました。

他にも、これまでは、消費者は商品を購入するだけだったものが、ファンはもはや消費者ではなく、商品を購入もするが、推しをSNSでシェアしたりと外に布教する、作品に関与するという行動の変化について説明もありました。

3 社会学の面白さ

著者は、エンタメ社会学者という肩書きをもっています。各エンタメ会社の売上や利益、Twitterの投稿数など数値化されたデータを用いて、その状況を説明する。

こうやって説明、言語化されたことで、これまで、うまく言葉に出来ないけど何だか感じていたことをしっかりと把握できたり、説明されるまで気づかななかったことを知ることができる。

エンタメ産業で働いているわけではないので、この本を読んで、明日から何かしようというものではないけれど、また少し世界の解像度が上がって、純粋に面白かったです。

(メモ)
この本からの学び

  • 商品は、消費するためにあればよかったが、良い体験をして発信したいに変わってきている

  • SNSで発信するや何か行動する場など、発信や参加したくなることを含めた商品を「運営」することが求められてきている

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