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People Experienceの担い手”PXデザイナー”に必要なスタンスとスキル

はじめに


 22年4月からMutureという会社でPeopleExperience (=PX )領域を担当しています。一般にPX (やルーツであるEmployee Experience )「社員が働くことを通じて得るすべての経験・体験」と言われます。1年半取り組む中でPXデザインは組織規模に関わらず、人材流動性が高く多様性豊かな今の社会において不可欠な経営アジェンダだと確信しています。
 他方で「すべての経験・体験」と言われるように守備範囲も広く、捉えどころがないとも感じています。そこで『PXデザインに取り組むことが当たり前になる社会』を目指し、得た知見を社会に還元できればと思っています。荒削りな部分が多くありますが、組織デザインに興味のある方の力に少しでもなれたら嬉しいです。(ご意見もぜひ!!)

 今回は「PXデザインの担い手=PXデザイナー」について。PXデザインは関連領域が広いことに加え、組織の状態によって重視する内容も流動的です。そのため、担当者(=PXデザイナー)に求められる明確なスキルも挙げづらく、属人化してしまう危険性を秘めています。必要な力を言語化することで、どんな組織でもPXデザインを取り入れやすいように、「PXデザイナーに必要なスタンスとスキル」をまとめます。(これ大事!と思ったものを整理しましたが、私自身うまく発揮できているわけではありません。日々精進…🫠)

なお今回は「PXデザインとは何か」は割愛します。よろしければパイオニアの皆さんのnoteを是非…!


マインド・スタンス

◆取り組む上で源泉となるマインド

🤝 誰よりも「人と会社が好き」であり「可能性を信じている」こと

 誰に強制されるわけでもなく無意識に人や会社のことを考えて没頭してしまう状態が、すべてのスタートラインとなるのと思います。また、PXデザインはその会社という同じ目標に向かう集団のために存在しています。PXデザイナーはそこに集う人だけでなく、会社の可能性やミッションを誰よりも信じることで力を発揮できます。

◆誰よりも「People」に向き合う役割にとって必要なスタンス

貢献
…人の喜ぶ姿を自分の喜びにでき、チーム全体の成果が上がるように行動できる
個別化
…一人一人が持つ個性に目を向け、最も良いところを引き出そうとする 誠意  人のために厳しいことを言うことも辞さない覚悟がある
冷静・中立
…正義感を持ち込まずにフラットに向き合う

 PXを作り上げるのはPXデザイナーがだけが担っている役割ではありません。会社という同じミッションに集った全員が体現するひとつひとつがPXにつながります。そういった意味でもPXの主役はメンバーひとりひとりであり、PXデザイナーは黒子です。人の喜ぶ姿が何よりも嬉しい・利他の精神など”貢献”のスタンスがないと辛くなってしまうかもしれません。(みんなの笑顔や変化は何にも変え難い喜びで、いろんなものが吹っ飛んでいきます。最高です。)
 体験構築の上で重要なのは、メンバーを一括りで捉えるのではなく「一人一人に目を向けること」であり、そのためには相手を理解し良いところを引き出す”個別化”が必要です。
 一方で、PXデザインはホスピタリティではありません。”甘やかし”や”おもてなし”になってしまいえば存在意義を失います。そのためには時には厳しいことを言える”誠意”や客観的に組織に向き合う”冷静・中立”さが大切です。

◆広い領域を担当する上で必要なスタンス

開拓
…さまざまな新しい領域への挑戦も臆せず楽しむ
頼り上手
…自分で試行錯誤しながらも、周囲に上手にHELPを出せる

 PXデザインを行う中で、目的のために思いもかけないチャレンジを迫られることが多くあります。そうした状況にも臆せず”開拓”するスタンスがあると、とても楽しいです。
 一方で、直面するすべての業務において精通するのは難しく、完璧を目指すと機動力が落ちます。仮説を持ちながらもチームや他部署のメンバーを頼れることがクオリティを上げることにつながるため”頼り上手”であることも大切です。

ソフトスキル:

◆ステークホルダーから安心して信頼してもらうために

エンパシー
…相手の立場に立ち、状況や感情を認識し理解する力
傾聴力
…相手の話すことに解釈を挟まず、熱心に耳を傾け受け止める力 
デリバリー力
…わかりやすく伝える力、状況に合わせて伝え方を変える力

 基点となるのは”エンパシー””傾聴力”です。エンパシーと似た言葉にシンパシーがありますが、シンパシーは「自分の価値観に基づく共感」であり、PXの文脈では「相手の立場に立つ」エンパシーが重要です。多様な価値観がある中で必ずしも自分の視点では理解できるものばかりではないことや、シンパシーが強すぎると相手の状態に引き摺り込まれてしまうためです。
 聴くだけでなく伝える”デリバリー力”も重要です。PXの各施策が会社のMVVとどう結びつくのかを伝える場面や、入社直後・長期在籍など会社への理解度が違うメンバーに合わせてコミュニケーションをする場面で必要となります。

◆変化に気づき対応するために

観察・洞察力
…組織やメンバの状態に目を配り、普段との差分を発見する力
視点のスイッチ力
…鳥の目と虫の目を行き来する力

 組織の状態に合わせて体験設計をおこなっていくためには、”いま組織やメンバーがどういう状態にあるか”を一次情報として把握する必要があります。そのために”観察・洞察力”が重要となります。
 細かな事象に目を向け考察する力も大切ですが、PXを構成する要素は複雑に絡み合っているため、目の前の事象が他にどういう影響を与えるか/何に起因するものなのか俯瞰して考えられるよう”視点のスイッチ力”も必要です。

◆健全にPeopleに向き合い続けるために

メンタルフィットネス
…心の健康に向き合い、常に自分のテンションを保てる力
内省力
…自分自身を俯瞰して捉え振り返る力

 すこやかな組織を作っていくには、それを信じて取り組む担当者のすこやかさ・メンタルヘルスや自己効力感が大切です。そのために”メンタルフィットネス”や自らの状態を客観的に捉える”内省力”が必要となります。

なお、「ソフト」スキルと記載しましたが、ハードスキルで強く求められるものは実はあまりないのではないかと考えています。もちろん「○○をしたことがある/XXXができる」というような経験やスキルが活かされるときはありますが、あくまでプラスαの部分であり、大事なのは前述の「マインド・スタンス・ソフトスキル」という仮説を持っています。(今後、検証が必要な部分です🫡)

さいごに


 このnoteの内容はあくまでもスタート!経験や事例、ご覧いただいた方と意見交換を通じてどんどんアップデートしてきたいと思っています。ちょっとでもご興味持っていただけたら、YOUTRUSTカジュ面やTwitterDMでぜひお話しさせてください。弊社では創業から経営アジェンダとしてPXに取り組んでいます。新しい仲間も募集中です!


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