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エッセイ:大ちゃんは○○である45

レッスンの中では『一分間エチュード』という時間もあった。
エチュードという言葉。聞いたことがあるだろうか?
知っている方もいるだろうし、初めて耳にするという方もいると思うが、
簡単に言うと台本のない即興劇のことだ。
場面の設定だけがあり、セリフや動作などを役者自身が考えながら行う。
このエチュードに関しては、それこそ役者時代数えきれないぐらいやった。
時と場所を選ばず、事務所メンバーが集まれば
誰かのきっかけで突然エチュードは始まる。
一分間エチュードとは違い、唐突に始まるエチュードは、終わりを決めないまま始まるので
だんだんだんだんと熱を帯びてきて、感情むき出しの掛け合いになることも少なくなかった。
一度、夜のファミリーレストランで6人ほどでご飯を食べていた時のこと、
いつものように唐突に始まったエチュードで、公共の場所にも関わらずヒートアップしすぎて
通報されてしまったこともあった。
あの時迷惑をかけてしまった方々には本当に申し訳ないと思っている。
さて、レッスンの中で一番最初にやった一分間エチュードの場面設定だが、
今でも忘れもしない。
『待ち合わせ場所で待つ人』だった。
「よーいスタート」のかけ声で一分間の演技がスタートする。
例えば皆さんなら、演者だったとしてこの設定を出された時、
どんな演技プランを立てるだろうか?
パッと頭に絵が浮かぶだろうか?
僕は迷うことなく、パッと浮かんだ絵を一分間表現した。したのだが…
結果から言うと、それはそれは過剰とも言える一分間演技を
これでもかと自信満々に披露し、
リアリティからは遠くかけ離れた待ち人を作り上げてしまったのだ。

つづく

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